BLUE MOON PRODUCTIONS
TEXT by Q'HEY

"KK"という名のクラブは、本当にリキッド・ルームを4コ丸呑みしたかのような巨大なスパースを持っていた。
天井はものすごく高くバルコニーは3層にもなっている。そして、照明機器も充実している。
5月の末の金曜日にそこ訪れた時、すでに2,000人もの人がそこに集まっていた。
テクノのパーティーをやっているワケではない。すこしボーカルの入ったハウスがプレイされていた。
デビッドが言った。
「ここは普段の週末でもやっぱりこれくらいの人は集まってる。プレイされてるのはコマーシャルなハウスがほとんどだ。テクノをここでやったことはまだないんだよ。オレ達がやるのが台北で最初のビッグ・テクノ・パーティーなんだよ。」

2度に渡る現地でのミーティングやテクノ・パーティーの視察などで感じたのは、これまでに聞いていて予想していた以上に、シーンはできてきているということ。そしてそれはまだまだ始まったばかりなんだということ。
というのは、まさに生まれたばかりのシーンが急速に成長しているということだ。
1月前に見た光景が、次の月には飛躍的に拡大している。
日本が本当にゆっくりと育んできたものが、ここではテープを早送りしているかのようなスピードで進んでいるのだ。
しかし誰かが意図的にそれを先導しているというワケでもない。
台北のクラブで遊んでいる人たちはテクノやそれに伴ったクラブ・シーンのうまそうな匂いを嗅ぎつけ、貪欲なまでに追い求め始めているかのようだった。
その服装を見ても日本人と変わらない、いや日本人以上にファッショナブルかもしれない。
ただこれには面白いことに男女差が激しくって、女の子はびっくりするくらいかっこいいのに、男の子はあきれる程ダサい。もちろんそうでないこともあるけど、全般的な印象はこの通りだ。
しかしとにかく、彼等は「遊ぶ」ということにかなり積極的だ。
一応念の為に触れておくと、ドラッグが蔓延してるワケでもない。日本よりはずっとクリーンだ。多くのヨーロッパ人が「日本はクリーンだ」と言う。ボクもそれには賛成する。しかしここはそれ以上にクリーンなのだ。
ある意味、世界一アンダーグラウンドなシーンを形成しつつあるのかもしれない。
台北を訪れるうちに、ボクはここでの可能性がかなり見えてきたような気がしていた。
これはおもしろいことになるのかもしれない。
最初無謀だと思ったパーティーの計画も、これなら成功するかもしれないという、期待に変わりつつあった。

デビッドとベンジャミン、それにその仲間たちとボクを合わせた計6人で、オフィスを設立することにした。

"BLUE MOON PRODUCTIONS"

MOON AGEを満月の日にやろうと計画したボクらは、同じようにオフィス名にも「月」の名を使うことにこだわった。
そしてパーティー名はFULLMOON。
10/24の開催日がとっても待ち遠しくなってきた。そしてそのための準備ですごく忙しくなってきたのだった。