ROSKILDE FESTIVAL '96

ロスキルド。
それはデンマークにて 6/27から6/30の日程で開催されたヨーロッパ最大のロック・フェスティバル。
そこに今年は日本からケン・イシイ、DJ クラッシュ、オーディオ・アクティブといったメンツが出演した。
現地で取材を兼ねて楽しんできたというSONY G'S FACTORYの弘石氏に、彼の旧来の友人であるDJのQ'HEY氏がインタビュー形式の対談を行った。


Q'HEY(以下Q):
まず、ロスキルドって何?

弘石(以下H):
ロスキルドはですね〜これまでに25回くらい行われているロックの大フェスティバルで、イギリスのグラストンベリー・フェスティバルと歴史的には同じ回数だけあって、今年はグラストンベリーが中止になったことで、それを越える回数に達したヨーロッパ最大の音楽フェスティバルです。
今年は9万人集まって、そのチケットもすぐにSOLD OUTになってしまったほどのすごいフェスティバルだったんですよ。
テントが7つもあって、一番大きいテントで5万人収容できたようですね。
DJとかテクノ・アーティストのテントである"DEEDAY STAGE"にも5000人の人数が集まってましたよ。
総出演アーティストは160組にものぼりました。

Q:
こりゃまたデカいイベントだったんですね〜。で、今回の日程はどんな感じで?

H:
日程はですね、6/27から30日の4日間だったんだけど、27日は前夜祭という感じで夕方の遅くから始まって、28、29がメインで、30日が後夜祭的な感じ。内容的に"DEEDAY STAGE"は結構トリップ・ホップ、ヒップ・ホップ系でちょっとチルアウト系入りーのって感じでしたね。

Q:
そこに日本からもケン・イシイ、DJ クラッシュ、オーディオ・アクティブといったアーティストが参加したというワケですね。

H:
そう。後、坂本龍一トリオっていうのもありましたね。
ケン・イシイは"DEEDAY STAGE"で28日の夕方4時くらいからやって、盛り上がってました。

Q:
で、弘石さん的には、見所はどういったところでした?

H:
見所はですね〜これまでの従来のスタイルのRAVEには何度か行ったことがあったんだけど、今回はそれこそセックス・ピストルズやデビッド・ボウイ、そういうロック系の中にいわゆるクラブ系にアーティストが混じってて、最初は観客の方も好きなアーティストですごく別れるのかなって思ってたけど結構「ケン・イシイの後はピストルズ見よう」とか、ロック系とテクノ系がすごくいい感じでクロスオーバーしてるところを生で実感できたとkろがおもしろかったですね。
やっぱりそういったカタチに移行してるっていうね。

Q:
なるほど。で、実際出演していたケン・イシイあたりはどういった感じで話してました?

H:
彼も自分の出番が終わった5時くらいとかホントにこれから楽しもうって感じでこれからいろんなところ回ってくるって言ってたけど、彼が言ってたのは、日本の野外フェスティバルもまだ始まったばっかりじゃないですか。 で、一度来たらまたもう一度来たくなるような、、アーティストのセレクションだけじゃなくって、雰囲気作り、露店が出てるとか、インターネット・カフェがあるとか、遊園地みたいなのがあるとか、そういうのはホントに楽しめるから、こういうものが日本にもだんだんと定着していくといいなって話してました。

Q:
日本人のアーティストが参加したのは今回が初めて?

H:
ん〜だと思いますね。

Q:
会場の全体の広さっていうのはどれくらい?

H:
見当もつかないですね(笑)
代々木公園の4倍くらいあるのかな?

Q:
代々木公園の4倍!?

H:
そう、それくらい。
で、その周辺にある地帯が、来ている人たちの、テント用のスペース。基本的にみんなお金のない人たちばっかだから、テントでしのいでるって感じかな。

Q:
テントは主催者側で用意してるの?

H:
場所だけ提供して、後はみんなが持ち込むの。

Q:
普段この地域一帯は何なの?

H:
何だかわかんないけどほんとフェスティバル会場としか使ってないんじゃないかな?
ロスキルドっていうのはここの地名で、コパンハーゲンから車で30〜40分くらいのところで、何もないんだよ。

Q:
日本でいうと、レゲエのフェスティバルなんかがあったりする横須賀みたいなもの?

H:
う〜ん。横須賀よりももっと田舎だね。
コペンハーゲン自体が30分くらいで全部見て回れるような街だからね。

Q:
来ている人たちは世界中から遊びに来てるのかな?

H:
やっぱり北欧の人たちがメインみたいだね。もちろんUKから来る人たちもいるし。
でも日本人はほっとんど見なかった。

Q:
やっぱりロスキルド自体、日本の人にはあまり知られてないみたいだもんね。
レディングは知ってる、ラブ・パレードは知ってる。でもロスキルドは知らないって感じだよね。
何ででしょ?

H:
やっぱり北欧って土地柄もあるし、情報もそんなに届けられてないよね。
英語圏じゃないってこともあってか。
ボクが思ったのはUKのフェスティバルとかともアーティストのセレクトは変わらないし、つーか今年はロスキルドが一番よかったみたいだけど、ノリが基本的にビールのノリなんだよね。
みんなガーッてビール飲んでオオ!って大騒ぎしてる感じ。
その辺がやっぱUKとかとのノリとはちょっと違うよね。
逆にこっちの方がポジティブな感じがする。

Q:
なるほど、イリーガルな匂いがしないと。

H:
そう。みんな4日間汚いカッコで飲んで酔っ払ってその場で寝ちゃったりとか。
そしてホントに音楽が好きなヤツら。
次はこっちだその次はあっちだって感じで。
みんなホント音楽を楽しみに来てるっていうピュアな感じがしたね。

Q:
全体的にはかなり混雑してた?

H:
やっぱりそうだね。
マッシブ・アタックとかピストルズとかビヨークとかのビッグ・アーティストの時は列の前の方に行くのは無理っぽかった。
でもダンスもののテントではみんな踊る感じだからそんなにぎゅうぎゅう詰まってなかったね。でもアンダーワールドがロック・テントでやった時はすごかったね。

Q:
観客はみんな好きなアーティストが目当てで来てるのかな?そのフェスティバル自体に遊びに来てるのかな?

H:
もちろん好きなアーティストがいっぱい出るから遊びに来てるという人は大いだろうけど、基本的にみんな4日間ここに住んで、その環境を楽しんでるよね。
その生活の中に自分好きな音楽があるって感じだね。

Q:
今後は日本からも遊びに行く人が増えるかもね。

H:
うん。今回こうやって初めて日本から取材に行ってそれを紹介できることによって、日本でのロスキルドの認知度も高くなるだろうしね。

Q:
他の日本の取材陣とかには会わなかった?

H:
うん。もしいても顔会わせられないかも。なんせ9万人いて、スタッフ含めると10万人になるみたいだからね。
スタッフだけでも15000人いたんだって。ゴミ掃除とかも含めて。
で、思ったのはみんな環境について考えてて、ゴミをその辺に捨てたりしないという雰囲気が漂ってたね。みんなが捨てないから自分も捨てないって感じ。
それにビールの空瓶とかも子供たちが拾ってて、それを50個集めるとお金をもらえるようになってたみたい。
で、9万人とかいても、全然ゴミがない。
そこには25年間の歴史によって得たノウハウが生かされてるんだろうなあって思ったよ。

Q:
出演アーティストについてどうでした?

H:
システム7のスティーブ・ヒレッジはいいオヤジだったよ。
ライブはショーアップされてて、ノンストップでいろいろ展開してた。
前回の来日したときとは少し違った感じだったね。
ナイトメア・オン・ワックスは編成がドラム・マシン/シーケンサーが一人と、キーボードとギターベースの生で、後はラッパーとか女性ボーカルが入ったりって感じでおもしろかった。テクノとかヒップ・ホップとかを好きじゃない人が楽しめるようなステージだったね。
レフトフィールドはライブというかサウンド・システム的な感じだった。レフトフィールドというサウンド・システムがあって、そこにとっかえひっかえラッパーが出たり女性ボーカルが出たりという感じだった。
ガイ・コールド・ジャラルドは一人で渋くジャングルやってましたね。ジャングルはヨーロッパ全土に広まりつつあるようで、集客もかなりのもんだったよ。
あとボクは全然知らなかったんだけど、オランダのエボマン(EBO MAN)って知ってる?

Q:
エボマン?

H:
エボマンっていうのがいてどこのレーベルのアーティストかもわからいんだけどボクはこれが個人的には一番おもしろかったかな。
ケミカル・ブラザーズをハードにしたようなユニットで、編成としてはDJがひとりいてスクラッチガンガン入れてて、コンピューターでコントロールして音を出してるヤツと、ビジュアルをそれに連動させて見せてるメンバーがいるのね。
その映像ってのが音とシンクするようになってて、単純な映像が20とか40とかあるんだろうけど、それには日本のアニメとか誰かが歯磨してるヤツとかがあって、例えばスクラッチの音を入れたら歯ブラシがキュッキュッて動くのね。
コミカルなんだけど音と映像がホントにマッチしてて、これからが期待できるユニットだと思いますよ。

Q:
ケン・イシイについては?

H:
彼は結構早い時間の夕方4時のスタートで、空はまだ明るかったんだけど、5000人のフロアーが埋めつくされてて、うまく尻上がりに盛り上げていって、最後にエキストラをやった時には爆発してたね。

Q:
あと何かおもしろかったことってある?

H:
そだね〜野外だから当然仮設トイレがあるんだけど、みんなガンガンビール飲むからすごくトイレ行きたくなるじゃん。
で、すごい行列になるのね。
男はさ、立ションで済むけど女の子はそうはいかない。
でもどうしても我慢できなくなった子とかはその辺で座りション始めちゃうのね。
最初はビックリしたけど、そのウチここにもあそこにも、って感じでしまいにゃまたやってるよって感じになっちゃいました。
基本的にみなさん白いお尻してました。そしてデカイ(笑)。

Q:
ボクも来年は見に行きたいなあ。

H:
何を?

Q:
いや、だからその...


こんな感じで、このロスキルドはこれからも目が離せないイベントになりそう。
今から来年が楽しみです。
ただデンマークは寒いところなので、出かける時は防寒等の準備はしっかりしてから行きましょう。


お詫びと訂正
文中で

       ロスキルドはですね〜これまでに25回くらい行われているロックの大フェステ
       ィバルで、イギリスのレディング・フェスティバルと歴史的には同じ回数だけ
       あって、今年はレディングが中止になったことで、それを越える回数に達した
       ヨーロッパ最大の音楽フェスティバルです。
と以前あったところの「レディング」は、「グラストンベリー」の誤りでした。
ここに訂正し、お詫びいたします。