期待のTECH-BREAKテロリスト!
Melody Maker (Feb.1998)

世界どころか、宇宙全体でも例を見ない新しい音だ!
NME (Nov.1997)

数限りないアーティストが試みたが、優雅さと凶暴性をこれほどまで完璧に融合させたアーティストは彼等だけだ。
NME (April.1998)

彼等の悩みどころは、近い将来のスタジアム・デビューをケミカル・ブラザーズの前座、それともオジー・オズボーンの前座のどちらにしたらいいかということだろう。
Jockey Slut (May. 1998)


 まずこれだけは言っておきたい。この日本の地において、彼らは「かつて存在しえなかったロック・バンド」であり、彼らの音楽は「かつて存在しえなかったダンス・ミュージック」であることを。

 ブンブン・サテライツはロック・バンドが叩き出すロックでなければ、ダンス・ユニットが繰り出すダンス・ミュージックでもない。そんなもんじゃない。極めて98年的なロック・バンドが極めて98年的なダンス・ミュージックで時代のカギ穴をこじ開けていく――そういう知的なる怪物なのだ、ブンブンは。90年代のポップ・ライフは、リズム革命に追い回され続けてきた。それはロックも然り。ロック・バンドの本質的な生命力である8ビートのグルーヴは、そのプライドをズタズタにされながらなおも進化し続けてきたのだ。そう、そもそもロックにとってダンス・グルーヴはあらゆる意味で仮想敵であり、大いなる矛盾であった。だからこそブンブン以前のロック・バンドが仕掛けたダンス・ロックは、いつも頭デッカチで何だか恥ずかしそうだった。正直いって、つい最近までのブンブンも、僕にとってはそういうものだった。

 しかし"プッシュ・エジェクト"だ。この曲から映し出された彼らの姿は憂鬱な時代との快適なる付き合い方を不敵な面構えで示してみせる極めて野性的なロック・バンドの姿そのものであり、放り出されたグルーヴは荒れ地をエッジの効いたステップでハネ廻るダンスの跳躍力そのものだった。つまりこの曲においてブンブンは、日本で初めてロックの攻撃性とダンスの楽天性を本能的に合わせちまったのだ。

 彼らのことを、打ち込み&ダンス・ユニットがロックの旨味エキスをたくみにふりかけた確信犯、などという奴らも多いことと思う。全くわからない。"プッシュ・エジェクト"が放つ「うつむきがちだけど、とてもストイックなファイティング・ポーズ」は、もっと切羽詰まったものだ。凄く信用がおける。何も起こらないし何も変わらないかもしれない。しかし確実に何かが始まらねばならないという想い――ブンブンとはそういった感情が静かに冷たく燃えたぎったものである。僕らは彼らと共に、10年前のマンチェスターのような、絶望も希望も全てを含んだ一瞬のきらめきを作り出すことが出来るのだろうか?

1998・9・9 鹿野 淳(buzz)

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