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カール・コックスについて
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- TITLE ARTIST LABEL
1 ACORN ARTS BLAKKOUT W.W.U.RECORDS
2 DAVIDE SQUILLANCE UNACTERABLE WAVE PRIMATE
3 THOMAS SCHUMACHER WHEN I ROCK (JOHANESS HEIL MIX ) BUSH
4 PREVIOUS OPERA TORTURED
5 CHRINTIAN SMITH VS. JEAN PHILLIPE AVIANCE GOLDRUSH (ORIGINAL MIX) TRONIC
6 INFUSE ATTAR OF BACILBER PRIMATE
7 A.PAUL SEMILANCEATA ONH.LET
8 INFUSE CROSSTALK PRIMATE
9 NICO AUTSVENTIN JUMPING JUPITOR ROTATION
10 SAMUEL ONERVAS INTER PRIMATE EXPRESS PRIMATE
11 REJUVINATION PRESENTS PHASE ii VERTIGO MUSIC MAN RECORDS
12 KAZUSHI MATSUI WALK NOISE BUSH
13 MARCO BAILEY SWEETBOX (ORIGINAL MIX) NO LABEL
14 TENTH CHAPTER PROLOGUE (CONTINUOUS COOL MIX) CYBER
15 LES RYDER & STEVE BURNS WHO MOVED THE FLOOR (MAIN MiX) W.W.U.RECORDS

ここで選曲されているトラックの多くは、あえてカテゴライズするとしたら「ミニマル・テクノ」の部類に入るものが多い。しかしのジェフ・ミルズ系のストイックなものとは違い、幾分アッパーなテイストのものをセレクトしている。また、終盤にはブレイクビートものも織り交ぜ、その懐の深さを見せてくれている。ここに多少端折った形にはなるが、幾つかの曲を紹介してみよう。

まずカール本人によるスクラッチからスタートする「ブラックアウト」は、93年頃に活躍していたプログレッシブ・ハウスのアコーン・アーツというユニットによるもので、そのメンバーであったマーク・ウィリアムスが昨年あたりから活動を再開して復活したもの。この曲は2ヶ月程前にリリースされた最新盤だ。2曲目はミニマル系のレーベルでは重要な存在である「プライメイト」からのデヴィッド・スクゥイランスによる曲。続く3曲目、トーマス・シューマッハによる「フェン・アイ・ロック」は昨年末からのスマッシュ・ヒット。トーマス・シューマッハは、電気グルーヴの「かっこいいジャンパー」のリミックスを手掛けているアーティスト。現在イギリス・マンチェスターのレーベル「ブッシュ」の代表格的なアーティストになっている。このリミックスはトーマスと同じくドイツに住むヨハネス・ハイルによるもので、ヨハネスは先日「リアリティー・トゥ・ミディ」というフルアルバムを発表し、注目を浴びているところ。また、トーマス自身もマイク・ヴァン・ダイクと共同製作したシングルがスーパースティションから発表されたばかり。5曲目のクリスチャン・スミスは、かつてニューヨークでニューロマンサー名義で活動していたアーティストだが、スエーデンに留学して以降、近所に住んでいたというスエーデン・テクノ・シーンの中心人物カリ・レケブシュとの親交を深め、最近めきめき力をつけてきている。彼の作品はミニマル・シーンのみならず、ワープ・ハウス系のDJに受け入れられるアッパーなものが目立つ。「ゴールドラッシュ」は彼自身のレーベル「トロニック」からのリリース。6曲目と8曲目はともにインフューズによるもので、プライメイトからのシングル「クロストークEP」に収録されているA面とB面の曲だ。良質なミニマル・トラックをリリースし続けているプライメイトらしく、颯爽たるスピード感に溢れている。そしてデイヴ・エンジェルのレーベルとして知られ、透明感のあるトラックをリリースしているローテーションからの曲を挿んでの10曲目は、プライメイトのオーナーでもあるサミュエル・オナーヴァスのトラックで、2枚組のシングルとして発表され、現在注目度の高いスエーデンのジョエル・ムルやトーマス・クロームによるリミックスも収録されている。12曲目には日本人アーティストであるカズシ・マツイがピックアップされている。彼は以前にもスティーブ・ストールのレーベル「プロパー」のコンピレーションにも参加していて、これはブッシュからリリースされた最初の作品。金属的な響きが気持ちいいトラックで、このCDでは曲の最後までのほぼフルコーラスが収録されている。ちなみにブッシュからは、ワタル・キシダという日本人アーティストもリリースしている。14曲目のテンス・チャプターは、これまた懐かしのレーベル「ゲリラ・レコーズ」で活躍していたユニットで、最近また活動を再開したようだ。ラストのレス・ライダー&スティーブ・バーンズのトラックは、アッパーなサンプルとブレイクビーツをフィーチャーしたチューン。そしてここでこのCDは終了する。もっと聴きたいぞ!

さて、全体を通しての印象だが、さすがはトップDJ、カール・コックスの一言に尽きる。流れのある展開、丁寧なミックス。特にミックス・テクニックに於いては、どれも「超」がつく程のロングミックスをしていて、非常に丁寧に音を重ねている。例えばジェフ・ミルズのような素早いフェーダーさばき、次から次へと繋いでいくスピード感のあるものとは違い、ダイナミックさは無いものの、曲をじっくり曲として聴かせ、寸分の狂いもないピッチ・コントロールで落ち着いたプレイをしている。もちろんそのどちらのスタイルがいいと言うわけではないが、どちらも世界トップ・レベルのプレイとして、既発売のジェフによるMIX-UP vol.2と聴き比べてみると面白いと思う。

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