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■ハードフロア・第一期総括


Jacket Image B−303という楽器がある。日本製の、ちっぽけでしかも随分と昔の電子楽器だ。この楽器の究極のマスターとも言えるのがハードフロアではないだろうか。
彼らはこの楽器を巧みにあやつり(時にはTB−303のバグさえも使って!)、いわゆる「ハードフロア節」と呼ばれる独特のスイングしたグルーヴをつむぎだしていった。泣きのベースのようにうねったTB−303は、当時新鮮な感動を与えてくれた。
 ハードフロアはその後もさまざまな手法で音楽の追求をし、その第一期の完成として、今回のベストアルバム"THE BEST of HARDFLOOR"をリリースした。
 今回のベストアルバムは、いままでのハードフロアの総括としての意味あいだけでなく、日本のテクノシーン黎明期を記録しておくという意味でも重要な役割を持っていると思う。すなわち、ちょうどハードフロアの第一期のはじまりが、日本にもテクノシーンが形成されはじめた頃とオーバーラップするのである。
 今聴いてみると初期の曲などはちょっと懐かしい音にはなっているが、ハードフロア、そして日本のテクノシーンがどのように紆余曲折していったのかを思い返して聴くのもたまにはいいのではないだろうか。
 いい意味でも悪い意味でも「ハードフロア節」という色をこれで一旦区切りをつけ、次に来るハードフロア第二期に期待をしたい。彼らは当然第一期のノスタルジーを引きずっていくだけで終わるようなタマではない。第二期にどんな展開が待っているのか、今後の活躍が非常に楽しみである。

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