Interview
■ハードフロア・特別インタビュー


8月9日のレインボー2000に出演し、ステージであるコズミック・グラウンドをいっぱいにしたオリヴァー・ボンツィオとラモン・ツェンカーの二人組からなるハードフロア。1992年の「ハードトランス・アクペリエンスEP」が第2次シカゴ・アシッドの火付け役として、シーンに大きな影響を与えた彼らは、1995年ハートハウスからリリースされたコンピレーション「ダークハーツ2」収録の「ペッパー・ペアルティ」を境に、今度はBPM100以下のエレクトロ・ファンク/ヒップ・ホップへとさらにそのスタイルを変貌させていこうとしている。そんな彼らの今後はどうなっていくのか? 大柄なオリヴァーは大きな目をまんまるくさせ、小柄で予想以上にシャイだったラモンは英語が少し苦手なのもあってさらにちっちゃくなりながら(笑)インタビューに答えてくれました。 2ショット


オリヴァー・ボンツィオ
オリヴァー・ボンツィオ
■レインボーのステージはどうでしたか? あいにくの天気だったけど、オーディエンスは盛り上がってましたよね。
オリヴァー・ボンツィオ(以下OB):たしかに天候は良くなかったけど、それはしょうがないからね。オーディエンスは最高だったよ。これはお世辞でもなんでもなく、日本のオーディエンスが世界で一番だね。2か月前にはカナダ、アメリカの10都市をツアーして回ったし、ヨーロッパのフェスティバルにも参加してきたけど、オーディエンスのリアクションは日本が断然トップたね。

■2曲目にやったのはあなたたちがリミックスを手がけたモリ・カンテの「イェケ・イェケ」ですよね。他のアーチストの曲もああやってステージで演奏することがあるんですか
OB:いや、あれだけ。実はモリ・カンテ自身も彼らのステージであのリミックスをプレイすることがあるんだ。バックに僕らのトラックを流してね。それで僕らがやってみるのも面白いと思ったんだ。
ラモン・ツェンカー(以下RZ):僕らがやったリミックスの中でこれが多分最大のヒットだと思うし...リミックスではこの曲さえやればいいだろう?

■その後にアルバム「ホームラン」からの「ビーヴァス・アット・バット」を演奏しましたよね。実はアルバム聴いた時にはこのタイトルの意味がよく解らなかったんです。けど、あの曲を演奏するときに、最初「ビーヴァス・アンド・バットヘッド」の笑い声から入ったんで、「あぁ、これか!」って解ったんです。家に帰って聴きなおしたらたしかにその笑い声の断片がCDの方にも入ってて、きっと私のように感じた人もいたと思うんですけど...
OB:そう?(笑) 実はボタンを押すとあの二人の笑い声が出てくるっていうリモコンがあって、ロンドンで見つけたんだけど、それが面白くてそっから音をサンプリングしたんだよ。

■間もなく日本でリリースされるあなたたちのベスト盤にも含まれていますが、これまでに発表された2枚の「ダ・ダム・フリーク・ノイズ・ファンク?」やアルバム「ホームラン」にもみられるようなダウンテンポな曲が最近作には多く見られますよね。以前のインタビューでラッパーをフィーチャーしたいという話しもあったようですが...。まずラップの使用について話してもらえますか?
OB:まだ次のアルバムに関しては白紙の状態だけど、ラッパーは以前から使いたいと思っているんだ。ドイツで英語のラップができるやつを探したこともあるんだけど、みんなどうしてもドイツなまりになってダメだった。イギリス人のラッパーでもいいけど、できればやっぱりアメリカのラッパーを使いたいね。 ヒップ・ホップは1979年くらいのオールド・スクールものから最近のものまで、ほとんどすべてのタイプのものをいつも聴いているし、だいたいのラッパーについては知っているつもり。だからいっしょにやってみたいアーチストもたくさんいるんだけど、アメリカのビジネスはデカいからね。ゲットー・ボーイズのブッシュウィック・ビルにコンタクトをとったこともあったけど、彼のマネージャーが要求してきた金額はとても大きくてあきらめざるを得なかった。今はニューヨークあたりの新しくて才能のあるラッパーを探しているところだね。

2ショット
ラモン・ツェンカー
ラモン・ツェンカー

■じゃ次にダウンビートなトラックを取り入れだした背景について聞かせてくれます?
OB:最初にダウンビートなトラックを取り入れたのはリミックスだったんだ...マイク・オールドフィールドのだったっけ?
RZ: タウハーだよ。
OB:そうそう、ドイツのアーチストでタウハーというのがいて、彼の「インフィニティ」という曲を16分のリミックスにしたんだ。そのリミックスは最初130bpmくらいの速いテンポで始まって、途中で90bpmくらいにテンポを落すように作ったんだけど、それをやった時に「ダウンテンポでの303の音が面白いね」ってことになって、その直後にハートハウスがコンピレーション「ダークハーツ2」の企画を持ってきて、「テンポの速いダンストラックじゃないものが欲しいんだけど」ということだったんで「ペッパー・パネルティ」で、初めてそれを取り入れてみようということになった。僕らはそのレコーディングをすごく楽しめて、それに僕らはそれまでもヒップ・ホップが好きでその影響を受けてきたから、その後もダウンビートなトラックを作るようになったんだ。

■けど、あなたたちの作るダウンビート・トラックはアメリカをはじめとするヒップ・ホップのサウンドとは明らかに異なるものですよね。ヒップ・ホップがブレークビーツ、つまりターンテーブルやサンプラーから出る音をその主体としているのに対し、あなたたちの作る音は303や909の音が主体となっている...
OB:確かに。それは現在が僕らの変化の過程だからだと思う。1枚目、2枚目のアルバムで僕らは303や909の音をメインに、テンポの速いトラック中心に発表してきた。3枚目ではサンプラーを使い、ダウンテンポの曲を作るようになった。次のアルバムではサンプラーの比重はさらに増え、ダウンテンポな曲ももっと増えると思うよ。グランドマスター・フラッシュなんかのトラックからのサンプリングも使ってみたいし。

■ヒップ・ホップの中で特に好きなスタイルはあります?例えばオールド・スクールものだとか。
OB:いや、全てのヒップ・ホップ・サウンドに興味があるね。特に今はすべてのものを吸収したいと思っているから。西海岸のものも、東のものも聴く。個人的にもっとも好きなのはDJプレミアが作るジャジーなものだけど。ベストアルバムにも収録されている「ダ・ダム・フリーク・ノイズ・ファンク?」のボリューム2の1曲目、「エイント・ノッシン・バット・ア・フォーマット・サング」で僕らもジャズ・ブレイクを使っているよ。

■最近アメリカのヒップ・ホップ・アーチストのUKミックスに面白いものがありますよね。
OB:ジャングル・ブラザーズのステレオMCミックスとかちょっと前だとメソッドマンのプロディジー・ミックスとかね。
■メソッドマンはケミカル・ブラザーズもやってましたよね。そういうヒップ・ホップ・アーチストのリミックスなんかには興味はあるんですか?
もちろん!絶対やってみたいね。

■さて、二人とも自身のレーベルをもってますよね。それぞれ自分のレーベルの今後の方はどうです?
OB:僕のレーベルは今夏休み中なんだけど、9月から12月までは毎月1枚ずつのシングルをリリースしていく予定。中にはシカゴの新しいアーチストのものもある。地元ドイツの若いアーチストもどんどん育てていきたいね。2枚目のコンピレーション・アルバムも予定してて、そこにはスティーブ・ストール、マイク・ディアボーンといったアメリカのアーチストやドイツのアーチスト、全部で8アーチストの8曲が収録される予定。

■ラモンは?
RZ:...うぅん...今1曲は手がけているトラックがあるんだけど...まだはっきりしたスケジュールはないよ。

■じゃ最後に二人のオールタイムのトップ5を教えてくれます?
OB:いいよ。DJとしてのがいい?それとも個人的に聴くものでの方がいいかな?

■できれば両方教えてもらえます?
OB:オーケイ。順不同だけどいいよね。書く度に変わるんだけど、その時々で変わるから。

■ラモンもお願いしますね。
RZ:(うつむき気味)僕はイイよ。

■3つでもダメ?
(さらにうつむき気味)...いやぁ、特にないから(苦笑)。



Oliver Bondzio - ALL TIME TOP 5 (Listening)

  • Geto Boys / "Geto Boys" (2nd Album)
  • Grandmaster Flash & The Furious Five / "SuperRappin' No.2"
  • OST / "Street From San Francisco" - Theme
  • Kiss / "I Was Made For Loving You"
  • The Bee Gees / "Staying Alive"

Oliver Bondzio - ALL TIME TOP 5 (DJ)

  • Phuture / "Acid Tracks"
  • Armando / すべて (R.I.P.)
  • House Master Boys / "House Nation"
  • Blake Baxter / "Sexuality"
  • Rythim is Rythim / "Strings Of Life"
オフィスにて
ソニーミュージック・エンタテインメント、オフィス7にて
BACK