Interview - Dave Angel


昨年"Classics"をリリースしたデイヴ・エンジェルが髪をバッサり切って来日!

1月17日のリキッド・ルームでDJプレイ前の緊張した!!...ではなく、極めてリラックスしたムードの控室での彼は、ご覧の通りのキュートなまなざしでインタビューに応えてくれました。


- まだ着いたばかりでそんなには感じれないと思うけど、前回の来日時と今回とで、日本の印象に変わったところってある?

デイヴ・エンジェル(以下D): うん、ホント昨日着いたばかりだからわかんないけど、けど話で聞いてるだけでも例えば、僕がはじめて日本に来たときには東京に1つしかなかったテクノ系専門のレコード屋が今は3つ以上あるらしいね。 日本でもそういったシーンが広がりを見せているのは感じ取れるね。

- 確かに日本でのテクノサウンドの広がりはここのところ急激だからね。

D: そうだよね、ヨーロッパにいてもケン・イシイなんかはもうメジャーな存在でみんながその名前を知っている。 他のジャンルの音楽でもそうだと思うけど、今日本のアーチストがヨーロッパやその他の国でだんだん知られるようになってきているのは確かだね。 テクノロジー自体は僕らのいるヨーロッパに比べて君たちのいる日本は、2年は進んでると思うし...  僕にとって東京ってブレードランナーに出てくる都市のようなイメージだなぁ。


- ケン・イシイのリミックスをいくつか手掛けてるよね。自分ではやってみてどうだった?

D: すごく気に入ってる。 一番最初の「エクストラ」の時、ちょうどR&Sのスタジオに入っていたんだけど、レナート(R&S代表)がやってきて、「デイブ! ちょっと来てくれよ! 日本のケン・イシイってヤツの曲とビデオが来たんだけど、スゴいんだ! 観てみろよ!」って言うんだ。 それで彼のいる部屋へ行って、スゴくデカいTVに大音量で観たんだ。 実を言うと、最初は映像がピンとこなかったんだ。 それまで"MANGA"ってものを見たことがなかったからね。 それでそのビデオを家へ持ち帰って、何度もそれを観ながらリミックスをやっていったんだ。 もちろん今は映像もすごく気に入ってるよ。

-「エクストラ」のヴィデオに見られるような日本のアニメーションやゲーム・カルチャーもヨーロッパやアメリカに少なからず影響を与えてると思うんだけど...

D: うん、ゲームは僕も好きなんだ。 自宅のスタジオの隣の部屋にはゲームができる部屋があって、家で仕事する時は夜中までスタジオに入ってて、それから朝までゲームやって、疲れて寝て、起きるとまたスタジオルームへ...って感じ。

-「ワイプアウト XL」とかは音楽もすごいよね。

D: そう。 けど、ゲームの操作性は前に出てた「ワイプアウト 2097」の方が好きだな。 まぁ、僕はどちらかというとスポーツ系のゲームが個人的には好きなんだけど。

- スポーツ系ってどういうスポーツの?

D: サッカーとか、ホッケーとか、テニスとか、ボクシングとか、バスケットとか.... ゲームソフト屋をやってる友達のとこには他のショップより3週間位早く新しいゲームが少数だけど入ってきて、そいつから「新しいのが入ったぞ! 来いよ!」って電話がかかって来ると、すぐに買いに行ってね。 最近忙しくてその時間もあまり取れないのが残念なんだけど。


- サウンド・エンフォーサーの名前でも作品を発表してるよね。 自分の中ではどうやって区別してる?

D: サウンド・エンフォーサーはクラブ向けの力強くてテンポの速い曲だけを発表し、デイヴ・エンジェルの名前で出すときはもっとジャズやいろんな音楽の要素も取り入れてたものにしている。 僕はジャンルにとらわれず、音楽そのものが好きだし、そのなかでサウンド・エンフォーサーでやっているようなある程度フォーマット化された音楽のみをやっているだけでは、当然自分の中で満たされないものがあるからね。 303の音なんかも6ヵ月前だったら良かったかもしれないけど、みんなもうその音自体に飽きてきている。 最近新しく買ったキーボードはブレス・コントロールができるようになってて、最新のシンセサイズされた音にもリアルな感じを出すことができるんだ。 デイヴ・エンジェル名義での作品は、落ち着いた雰囲気で且つ新しい音を模索してゆくという方向に向いていると思うね。


- 日本でケン・イシイの他に好きなアーチストとかはいる?

D: フミヤ・タナカはすごくイイDJらしいね。 今日は楽しみだよ。 僕が一番最初に日本に来た時に彼のプレイを見たけど、その頃はハウスっぽい曲をかけてたなぁ。 さっきも言ったけど、日本の優れたDJやアーチストはこれからもっとヨーロッパでも紹介されるようになると思う。 まだ現状ヨーロッパでは日本のアーチストの作品は入手するのがとても難しいんだけど。


- 前回の来日時、キミは自分の番になるとターンテーブルをドライバーで開けて普通より速いピッチが出るように調節してたよね。 あの頃に日本でそういうことをやるDJは一人もいなかったからすごく驚きだったんだけど...

D: 今でもそうしてるよ。 クラブに来るみんなは僕がかける曲の何曲かは家でも聴いたことがあると思う、ただ通常のピッチでね。 だからそういう曲を僕はクラブでプレイするときには、ピッチを思いっきり上げてフロアを沸かせようとする。

- どうしてそんなターンテーブルの中のことまでわかんの?(笑)

D: 鍛練のタマモノだよ。

- けど、これまでに何台かくらいはターンテーブル壊してるんじゃない?

D: 15年近くDJやってて、針1本折ったことないぞ!(笑)

- 自分の曲をかける時もやっぱりハイピッチ?

D: 全部じゃないけどね。 もちろんプレイの流れってものがあるから、自分のレコードでもその中でフィットするようにはするよ。

- 逆に、例えばサウンド・エンフォーサーの曲を作っているときなんかに、それをハイピッチでプレイする時のことを考えて作ることはある?

D: それはないなぁ。 だってサウンド・エンフォーサーの曲はそれでなくてもハイピッチで有名だろ。(笑) 

- まぁ、キミはジャズ・ミュージックの中で育ってきたアーチストだし、例えばデューク・エリントンの曲には今のテクノ・ミュージックよりハイテンポの曲があるからね。

D: まさにそうだよ。 だから今の自分のDJスタイルは自分にとってとても自然だと思う。 今よりその頃の方がハイピッチだったからね。(笑)


- 初期のキミの音にはデトロイト・テクノの影響があったと思うんだけど...

D: 確かに、今でも精神的には影響を受けていると思う。 

- 現在のデトロイト・テクノのシーンに関してはどう思う?

D: う〜ん、(言葉を濁しつつ) 悲しいことだけど、今のデトロイトはスロー・ダウンしていると思う。 けど、これは時間の問題だと思うよ。 どんなアーチストにも波があるように、きっとマッド・マイクはデトロイトをまた、エキサイティングなシーンにできると信じているよ、絶対にね。


- キミは今のテクノシーンでも、最も長く第一線で活躍し続けているアーチストの一人だと思うんだけど、最後に今後の活動について教えて下さい。

D: 新しいアルバムを今作っているところなんだけど、あと少なくとも5曲作らなくちゃいけなくて... 5月の予定だったんだけど、出るのは9月頃になると思う。 リミックスも数多く手掛けたいと思ってるし、自分のレーベル(ローテーション)の方も力を入れていきたいしね。 もうすぐヴィンス・ワトソンの新曲が出るんだ。  それからDJも続けていくしね。 もう9月まではブッキングが詰まっているんだ。

- 9月まで?! それじゃスタジオに居れる時間ももっと欲しいんじゃない?

D: うん。スタジオに居れる時間はできるだけ長く欲しいね。 ゲームができる時間も、もっと欲しいんだけど...(笑)。



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