SUN ELECTRIC


INTERVIEW

1990年の結成以来、アンビエントの枠だけにとらわれないユニークな活動を続けているサン・エレクトリックは、ベルリンに住むトム・スィエルとマックス・ローダバウアーの二人からなるプロジェクト。通算3枚目にあたる今回のアルバム「プレゼント」はドラム・ン・ベースのリズムも取り入れたりと、彼等の新たな一面を体験できる。その彼等に、ドイツという土壌が彼等の音楽に与えた影響やまた、1997年の活動予定などをきいてみた。



きみたちの音楽って単純にアンビエントとか、そういったひとつのジャンルに括れないタイプのものだと思うんだけど、そういうスタンスを持つようになったいきさつみたいなものってあるの?

僕らはふたりともずっとレコーディング・スタジオでの仕事をやったから、そこでホントにいろんな、違ったタイプの音楽と接する機会に恵まれてたんだ。また、そこでは音楽のテクノロジー・サイドの進化に関しても常に目のあたりにしていたしね。 あと、マックスは20年間クラシック・ピアノを勉強してきているから、きっとそのことも僕らの音楽に少なからず影響を与えているんだと思う。



ドイツってVIVA(ドイツ国内でドイツ語で放送されている音楽テレビ局)で夜中によくかかっているような極めてコマーシャルなエレクトリック・ハウスから、きみたちが表現しているようなとてもアート的アプローチのものまで、ホントいろんなタイプのエレクトリック・ミュージックが混在していると思うんだけど、そういう土壌も影響してると思う?

ドイツで特にエレクトリック・ミュージックが伝統的に発展してきたのには、ドイツ人には気質的に「完璧さ」を指向するところがあるからだと思う。初期のエレクトリックな楽器って、スゴく扱い方が難しくて半分サイエンチストで半分ミュージシャンみたいなひとが多かったらしい。そういう国民性的なところでは当然根付いているところはあるだろうね。



ベルリンって街についてはどう?

ぼくらはふたりともベルリン生まれじゃないんだけど、ここに8年住んでて感じるのは、ベルリンのような大きな街に暮らしていると当然、文化的な幅広さに影響を受けるね、それはクラブであったり、絵画の展覧会だったりいろいろだけど。 この街にはDJやミュージシャンをやってる多くの友人たちがいて、そういういろんな人間とコミュニケーションを保つことはぼくらの創作上、とても大切なことなんだ。 もっと地方の街で暮らしながら今と同じ様な音楽をやってゆくことは考えられないよ。



新作「プレゼント」はドラム・ン・ベースのリズムも取り入れたり、新しい試みを導入しているよね。イギリスではこういうタイプの音楽が台頭してきている訳なんだけど、ベルリンという街からそのシーンをみて感じることなんかある?

シーンとしてのドラム・ン・ベースといのはよく知らないんだけど、そこからは確かに素晴しい音楽が生まれてきているよね。 ぼくらはいつも何か一つのスタイルやコンセプトに縛られるということはしない。 クラブに行くといろんなドラム・ン・ベースの曲を耳にするから、自然とそれがぼくらの作品に影響を与えるということはあるだろうけど、ぼくらは決してコピーはしない。 ぼくらなりの独自の解釈でそれを表現しているんだ。



じゃぁ、最後に来年のきみたちの活動予定を。

月でライブやるぞ!(笑)[joke!] 日本にはまた行きたいね。
実はこれまでになかった新しいスタイルでのライブを始めたところなんだ。 ぼくら二人にトーマス・フェールマンのDJを加えたもので、「グローバル・エナジー・ジャム」と呼んでいる。 これは以前のスタイルよりクラブを意識したもので、また更に即興的要素も多分に含んでいる。 1997年はこのスタイルで多くのライブもこなしていきたいと思っているよ。 あと、ニュー・オーリンズに70になるダルシマー(チターに似た四角形の弦楽器)とハープの女性名手がいるんだけど、彼女とレコーディングしたいと思っているところなんだ。






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