ナンバーワン・ムービー・ヒッツ
 

大好きな曲は、ぜんぶ映画が教えてくれた。思い出の1980年代から最新2010年代まで、心に残る映画主題歌/テーマ曲を一挙収録!

Posted by Sony Music Japan International on 2016年1月12日

収録曲

DISC1

01. ミッション:インポッシブルのテーマ (ゴースト・プロトコル・バージョン)|マイケル・ジアッキーノ

映画 『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011)

IMF(Impossible Mission Force) の凄腕諜報員イーサン・ハントに扮するトム・クルーズの代名詞にして、人気アクション"M:I"シリーズ第4弾のテーマ。お馴染みのラロ・シフリンによる『スパイ大作戦』のテーマ曲に大胆なオーケストラ・アレンジを施したのは、前作『M:i:III』 と同じくマイケル・ジアッキーノ。『エイリアス』 『LOST』など数々のテレビドラマ時代からコラボが続く盟友、J・J・エイブラムス監督のハリウッド連続作へのサウンド祝砲を鳴らすかのような豪快な響きだ。そのエイブラムスの最新作は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』('15年)。もしかして音楽は……と脳裏をよぎったが、巨匠ジョン・ウィリアムズが譲るわけがないし、SWファンも許すわけがないか!?

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02. ハッピー|ファレル・ウィリアムス

映画 『怪盗グルーのミニオン危機一発』(2013)

10週連続全米1位(年間1位)をはじめ世界19か国で1位を獲得、CDだけで600万枚、DL配信を合わせると1000万枚のセールスを突破した、2014年最大のヒット曲。”史上最強のアニメキャラ” と評されるミニオンズを擁する怪盗グルーシリーズ第2弾作の挿入歌として、恋に目覚めたグルーがウキウキで街に繰り出す時の最高のハッピー・ソングとして使用された。劇中アニメと同じように、軽快なリズムに合わせて人々が踊り出すミュージック・ビデオが世界中で流行し、再生回数は5億回を突破。記録づくめで様々な栄誉を戴冠した楽曲だが、第86回アカデミー賞の最優秀オリジナル・ソングの栄冠だけは"あの曲"に譲るしかなかった……。

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03. レット・イット・ゴー|デミ・ロヴァート

映画 『アナと雪の女王』(2014)

ファレルの「ハッピー」を退けた、第86回アカデミー賞の最優秀オリジナル・ソング受賞曲(作家のロペス夫妻が受賞)。アニメ作品史上世界歴代1位、実写作品を含めた総合でも歴代5位を記録し、社会現象的な特大ヒットとなったディズニー長編アニメの主題歌。日本では『千と千尋の神隠し』『タイタニック』に次ぐ歴代総合3位を記録し、愛称で親しまれ大人から子供まで愛される文字通り"アナ雪"現象を巻き起こした。「レット・イット・ゴー~ありのままで~」は、松たか子が歌う劇中歌とMay J.が歌うエンドソングが共に大ヒット。本国でもイディナ・メンゼルの英語版劇中歌と人気を二分したのが、このデミ・ロヴァートのエンドソング。2014年1月には2曲一緒に全米トップ40入りしている。

(ジャケット写真協力:Walt Disney Records)

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04. パワー・オブ・ラヴ|ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース

映画 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)

80s洋画興収ランキングTOP10に2作(part1=7位、part2=2位)を送り込む、80年代に最も愛された映画シリーズの主題歌を奏でたのは、こちらも“80年代最高のアメリカン・ロック・バンド”の名をほしいままにした、サンフランシスコ発ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース。向かうところ敵なしの勢いのまま、ヒューイ自身は主演のマイケル・J.フォックスのギター演奏にダメ出しするバンド審査員役でカメオ出演していた。ドクやマーティも出演(デロリアンも!)したミュージック・ビデオもMTVでヘヴィローテーション、'85年8月に初の全米1位(年間15位)を記録した。当年12月、日本武道館4days。会場が揺れた♪POWER OF LOVEの大合唱は個人的に生涯の想い出のひとつ。

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05. She|エルヴィス・コステロ

映画 『ノッティングヒルの恋人』(1999)

ロンドン西部のお洒落な下町ノッティングヒル。ハンサムだけれど冴えない店主ウィリアム(ヒュー・グラント)が営む小さな旅行専門書店を、ある日突然、スーパースター女優アナ(ジュリア・ロバーツ)が訪れて……。フランスの国民的歌手シャルル・アズナブールの名曲「She」で始まる男性版 “プリティ・ウーマン” とも言われたロマンティックコメディ。クライマックスの記者会見シーンで効果的に使われたのが、主題歌でもあるエルヴィス・コステロのカヴァーヴァージョン。英国ニューウェイヴ/パンクの御大のセンチメンタルな歌唱には、往年のロックファンも一目置いた。2000年の来日公演のステージでも喝采を浴びながら熱唱している。

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06. デンジャー・ゾーン|ケニー・ロギンス

映画 『トップガン』(1986)

トム・クルーズの人気を決定的にした、'86年度世界No.1興収作品『トップガン』。当初、パラマウント映画サイドから主題歌の書き下ろし依頼を受けたのは、当時快進撃を続けていたカナダのブライアン・アダムスだった。しかし、ブライアンは米ソ冷戦下での露骨な米軍寄りの内容を懸念し降板。急遽、ジョルジオ・モロダーらが手がけた楽曲をケニー・ロギンスが歌うことになったという経緯は、実はあまり知られていない。全米だけで900万枚を突破することになるサントラからの1stシングルで、'86年7月に全米2位を記録した。『フットルース』('84年)主題歌に続く大ヒットで、ケニーは “サントラの帝王” の名をほしいままにすることになった。

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07. アイ・オブ・ザ・タイガー|サバイバー

映画 『ロッキー3』(1982)

前作『ロッキー2』('79年)でヘビー級王者となったロッキー・バルボアだったが、人気スターとしての惰性的な防衛戦の中で、かつてアポロ(最新作『クリード チャンプを継ぐ男』では、ロッキーがアポロの息子のトレーナーに!)に襲いかかった挑戦者としての“虎の目”を失っていた……。監督・主演のシルベスター・スタローンが、『ロッキー3』 の冒頭10分間のテスト映像を以前からファンだったサバイバーに自ら送り、メンバーが映像からインスパイアして完成させた。物語と完全一体となった本当の意味での“映画メインテーマ”だ。'82年7月から6週連続全米1位(年間2位)のダブルミリオンセラー、同9月に4週連続全英1位、日本でも洋楽チャートのトップを独走し、総合チャートでも10位を記録した“スーパーヘビー級のヒット曲”だ。

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08. 新・仁義なき戦いのテーマ(BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY)|布袋寅泰

映画 『キル・ビル』(2003)

日本/香港映画へのオマージュたっぷりの、クエンティン・タランティーノ監督による人気シリーズ"キル・ビル"のテーマに採用されたのは、日本を代表するロック・ギタリスト、布袋寅泰だった。元々は布袋自身も出演した映画『新・仁義なき戦い』('00年/阪本順治監督)の新しいテーマ曲としてスクリーンを飾ったが、"仁義なき戦い"シリーズ('73~'76年)の大ファンだったタランティーノの熱望により"キル・ビル"シリーズのテーマ曲としても使われた。布袋が「キル・ビル用に書き下ろす」と進言したのを、監督が「あのままがいい」と断ったというエピソードは、こだわりのフィルムマン=タランティーノらしい逸話だ。

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09. フットルース~メイン・テーマ|ケニー・ロギンス

映画 『フットルース』(1984)

ダンスもロックも禁止の田舎町にシカゴから越してきた高校生の奮闘を描いた青春映画。名優ケヴィン・ベーコンと、『SEX and the CITY』 のサラ・ジェシカ・パーカーの、事実上ブレイク作。ロック/ポップスと映画が蜜月関係な “MTVムービー”の代名詞として時代の最先端を飾った。ケニー・ロギンス最初のスクリーンヒットとなった主題歌は、'84年3月に3週連続全米1位(年間4位)を記録してミリオンセラーに輝き、日本でも大ヒット。シングルカット曲が連続ヒットしたサントラも、アメリカだけで900万枚(年間9位)、日本でも100万枚(年間2位)、全世界で2000万枚のセールスを突破するモンスターアルバムとなった。

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10. グーニーズはグッド・イナフ|シンディ・ローパー

映画 『グーニーズ』(1985)

アルバム 『シーズ・ソー・アンユージュアル』(’83年)と 『トゥルー・カラーズ』(’86年)、まさに人気絶頂インターバル期にシンディ・ローパーが放ったヒット曲。当時の彼女の真骨頂とも言うべき元気で陽気なポップナンバー。家族で楽しめるアドベンチャー映画 『グーニーズ』 の主題歌で、'85年7月に全米10位を記録した。日本では、シンディのシングルとしては10万枚を突破した「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」に次いで売れたドーナツ盤で、約5万枚のセールスをマークした。映画も’86年度お正月作品として、年間4位のヒットを記録している。劇中、喘息で苦しんでいたあのマイキー少年(ショーン・アスティン)が成長して、のちにロード・オブ・ザ・リングな旅に出るとは……誰が予想した?

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11. インディペンデント・ウーマン Part 1|デスティニーズ・チャイルド

映画 『チャーリーズ・エンジェル』(2000)

キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リュー主演。ワイヤーアクションも楽しい探偵映画 『チャーリーズ・エンジェル』を、タメの効いたビートと艶やかなヴォーカルが流れるように迫るミディアム・テンポのナンバーで華やかに彩ったのは、ビヨンセ、ケリー・ローランド、ミシェル・ウィリアムズからなる、当時人気絶頂の (同じく女性3人組)R&Bグループ "デスチャ" の代名詞。劇場公開と同時にヒットチャートをかけのぼり、'00年11月に全米1位(10週)、12月に全英1位を記録する、デスチャ最大のヒット曲となった。『フラッシュダンス』('83年)をはじめとする歴代ヒット映画のパロディが連発の続編『~フルスロットル』('03年)も個人的にオススメだ。

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12. サムデイ、サムハウ、サムワンズ・ガッタ・ペイ|ザ・パワー・ステーション

映画 『コマンドー』(1986)

『ターミネーター』('84年)で究極の悪役(T-800)を好演したアーノルド・シュワルツェネッガーが一転、ビルドアップされた隆々の肉体を活かして勧善懲悪のヒーローを演じ、シルベスター・スタローンと並ぶ80'sアクションスターの名を不動のものとした大ヒット作。"シュワちゃんが娘を救いに行く!"という1行で語られる物語とド派手な火柱が立ち上る活劇を盛り上げたのは、'85年のロックシーンを賑わせたスーパー・バンド=パワー・ステーションの隠れ名曲。ロバート・パーマーが突如脱退、ジョン・テイラー、アンディ・テイラーのデュラン・デュラン組が白羽の矢を立てたマイケル・デ・パレスが歌っている。公開当時の曲名は「We Fight For Love」だったが、初CD化時に現題に変更したいわく付きのナンバーだ。

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13. アンチェインド・メロディー|ライチャス・ブラザース

映画 『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990)

デートの帰路に凶弾に倒れたサム(パトリック・スウェイジ)は、その場で泣き崩れるモリー(デミ・ムーア)を置いて天国には行けず、“ゴースト” になって彼女の側にいることを決意する……。世界中の恋人たちが涙した、NYが舞台のロマンティックなサスペンス・ストーリーを包み込んだのが、ライチャス・ブラザースの往年の名曲だった。25年ぶりのリバイバルヒットとなり、'90年10月に全米13位を記録。全英では11月に4週連続1位を記録し、'90年に最も売れたシングルとなった。粘土を整形するろくろと、レコード針がなぞるドーナツ盤の45回転を重ね合わせた演出は、恋愛映画史上に輝く最高にロマティックなシーンとなった。

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14. パシフィック・リム~メイン・テーマ|ラミン・ジャヴァディ feat. トム・モレロ

映画 『パシフィック・リム』(2013)

日本の怪獣映画/ロボットアニメへのオマージュたっぷりのギレルモ・デル・トロ監督による超SF大作のメインテーマ。スコアを担当したのは、同郷ドイツ出身の映画音楽の巨匠ハンス・ジマーの目に止まり、活路を見いだしたラミン・ジャヴァディ。師匠仕込み(?)の壮大なオーケストレーションとダイナミックなロックのオリジナルな融合は、『アイアンマン』(’08年)で第51回グラミー賞の最優秀スコア・サウンドトラック・アルバム部門にもノミネートされる評価を得た。映画にも通じる、ほど良い緊張を切り込んでいくような鋭いギターワークを聞かせるのはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロ。近年はブルース・スプリングスティーンとの共演でも存在感を放っている。

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15. THIS IS IT|マイケル・ジャクソン

映画 『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』(2009)

2009年6月。1か月後に迫ったロンドンでの復活コンサートを控え、歌唱、ダンスから、照明、美術、会場で流れる映像の細部に至るまで徹底的にこだわり、情熱をかたむけるアーティストの姿がステージ上にあった。唯一無二のKING OF POPと称されたマイケル・ジャクソンだった……。本作は、世界中に衝撃を与えた悲報の2日前まで行われていたリハーサル映像を編集したドキュメンタリー映画。失ってしまった者の大きさと非凡さを受け止めながら観る感動のエンドクレジットのバックで流れていた美曲だ。マイケル没後初めて公開された楽曲だったこともあり、出典憶測が飛び交ったが、全ての噂を打ち消すかの様に、ポール・アンカが「マイケルとデュエット曲として制作した」と公言し一件落着。

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16. スタンド・バイ・ミー|ベン・E.キング

映画 『スタンド・バイ・ミー』(1987)

公開当時に多感期だった80sリアルタイマーにとっては、No.1胸キュンシネマとして愛される名作。1950年代のオレゴン州の田舎町で、心に傷をもった4人の少年たちが、線路づたいに“死体探し”の旅に出るひと夏の冒険物語だ。主演の1人だったリバー・フェニックス('93年没)がもうこの世にはいないという事実も、本作をよりセピア調の想い出に転化させている…。主題歌は、元々は1961年の大ヒットで、ジョン・レノンなど多くのアーティストにもカヴァーされるベン・E.キングの代名詞。'86年12月に全米9位、'87年2月に全英1位を記録するリバイバル大ヒットとなった。ベンは'15年4月に死去。享年は76歳だった。合掌。

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17. コブラのテーマ~アメリカズ・サンズ|ジョン・キャファティー&ザ・ビーバー・ブラウン・バンド

映画 『コブラ』(1986)

ロサンゼルスを舞台に、凶悪殺人集団を相手に孤軍奮闘する刑事、通称コブラ(シルベスター・スタローン)の姿を描いたコップアクション。主題歌を担ったのは、ブルース・スプリングスティーンを彷彿とさせるハートランドなサウンドを放つアメリカン・ロックバンド。'85年の1stアルバム 『傷だらけのヒーロー』 のジャケットに “Voice of EDDIE AND THE CRUISERS” と記されているように、青春映画 『エディ&ザ・クルーザーズ』 の覆面バンドでブレイク。80sの男臭いアメリカンな映画とは縁があるバンドで、スタローンとは『ロッキー4』の挿入歌「ハーツ・オン・ファイヤー」に続く映像コラボとなった。

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18. キープ・ホールディング・オン|アヴリル・ラヴィーン

映画 『エラゴン 遺志を継ぐ者』(2006)

クリストファー・パオリーニの世界的ベストセラーを、空前のスケールで映画化したファンタジー・アドベンチャー。主題歌を担当したのは、当時飛ぶ鳥を落とす勢いでシーンのフロントを駆け抜けていたロック・ディーヴァ=アヴリル・ラヴィーンで'、06年12月に全米17位を記録した。時に映画音楽は、映像から一人歩きして愛されることが少なくないが、この曲も人気絶頂期のアヴリルが書いた、エヴァーグリーンな輝きを放つ秀曲。アメリカの人気ドラマ 『glee/グリー』 の中でも効果的にクローズアップされていたことは記憶に新しい。覚えていない? シーズン1のエピソード7とシーズン5のエピソード12を要チェック!クイン(ディアナ・アグロン)の涙が美しいんです……。

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DISC2

01. ミザルー|ディック・デイル&ヒズ・デル・トーンズ

映画 『パルプ・フィクション』(1994)

第46回カンヌ映画祭で最高栄誉のパルム・ドールを獲得、世界中でタランティーノブームを巻き起こした大ヒット作。ギャングを題材にした過激な暴力シーンや、露骨な四文字言葉の連続に眉をひそめる保守的な映画ファンも少なくなかったが、往年のナンバーをフロントに引っ張り出す演出も含めて、90sムービーのエポックメインキングとなった逸品だった。サーフロックの古典ともいうべきディック・デイルのインストを現代的な解釈で画面と重ねた手腕は何度見直してもお見事。『サタデー・ナイト・フィーバー』('77年)で時代の寵児となったジョン・トラヴォルタの、第2次黄金期の除幕作ともなった。

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02. オー、プリティ・ウーマン|ロイ・オービソン

映画 『プリティ・ウーマン』(1990)

ロサンゼルスを舞台に、リチャード・ギア扮する青年実業家とジュリア・ロバーツがキュートに演じたコールガールの恋愛を描いたラブコメ。ロイ・オービソンの代名詞を四半世紀ぶりにスクリーンでリバイバルヒットさせたのは、"プリティな魔術師"ゲイリー・マーシャル監督。現代版 『マイ・フェア・レディ』(’64年制作)をロイ・オービソンの同名曲('64年9月全米1位)で包みこみ、彼の “ヴェルヴェットボイス” を影の主役に仕立てたのは演出の妙。デヴィッド・リー・ロス在籍時代のヴァン・ヘイレンによる、陽気で豪快なハードロック・カヴァー('82年4月全米12位)も、80sリアルタイマーなファンには懐かしいかもしれない。

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03. マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン|セリーヌ・ディオン

映画 『タイタニック』(1997)

『アバター』('09年)に抜かれるまで12年間、歴代世界興収1位の座をキープした90年代を代表する映画(監督は共にジェームズ・キャメロン)。1912年に実際に起きたタイタニック号沈没事件をベースに、船内に潜り込んだ貧しい青年(レオナルド・ディカプリオ)と一等船室の上流階級の娘(ケイト・ウィンスレット)との、たった数日間の悲しい恋愛に世界中が涙した。壮大な物語を包み込んだセリーヌのエモーショナルな歌声も世界中で愛され、'98年2月に全米1位(年間13位)、同全英1位(年間2位)を記録した。第70回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、最優秀歌曲賞を含む11部門を 『タイタニック』 が独占した。第41回グラミー賞最優秀レコードも受賞する大成功を収めた。

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04. セント・エルモス・ファイアー ~愛のテーマ|デイヴィッド・フォスター

映画 『セント・エルモス・ファイアー』(1986)

80s青春アメリカ映画の金字塔。ワシントンの名門ジョージタウン大学をそろって卒業した7人の仲間が、社会の壁にぶつかりながら大人になっていく過程をジョエル・シュマッカーが描いた群像劇だ。ロブ・ロウ、エミリオ・エステベス、アンドリュー・マッカーシー、デミ・ムーアら当時の若手人気スター勢を包み込んだのは、デイヴィッド・フォスターがピアノで奏でる美曲「愛のテーマ」だった。映画インスト曲としては珍しく、85年11月に全米15位を記録した。フォスター作でジョン・パーが歌うエモーショナルな主題歌、「セント・エルモス・ファイアー」も、同年9月に全米1位を記録している。サントラは80s名盤として今も多くの人に愛され続けている。

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05. フラッシュダンス...ホワット・ア・フィーリング|アイリーン・キャラ

映画 『フラッシュダンス』(1983)

昼間は溶接工、夜はバーで踊りながらプロダンサーを夢見る物語は、無名女優ジェニファー・ビールズをスターダムに押しあげた、まさにオーバーナイトサクセス。主題歌は、80sサントラムーヴメントの火付け役となった金字塔ナンバーに。'83年5月から6週連続全米1位(年間3位)を獲得。80年代に日本で最も売れた洋楽シングルでもあり、同9月5日付オリコン総合チャートで堂々1位を獲得し、70万枚のセールスを記録した。同年、麻倉未稀の日本語カヴァーが大映ドラマ 『スチュワーデス物語』 の主題歌に起用され、「ドジでノロマな亀」の曲としてもお茶の間を"テイクユアパッション"している。※本作には、'95年の再録ヴァージョンを収録

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06. 愛はとまらない|スターシップ

映画 『マネキン』(1988)

アンドリュー・マッカーシー主演のロマンティックコメディで、物語の舞台となったフィラデルフィアの老舗デパートが、ちょっとした観光名所にもなった。劇中のハイライトシーンと、スターシップのWヴォーカル=グレース・スリック&ミッキー・トーマスがショーウィンドウで"マネキン"に扮する映像をミックスしたミュージック・ビデオは、MTVでも大人気を博した。'87年4月に2週連続全米1位(年間5位)、同5月に4週連続全英1位(年間2位)を記録し、'87年のポップシーンを代表する大ヒットとなった。綿密に音を重ねた"ウォール・オブ・サウンド"が耳に心地よい。

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07. エンパイア・ステート・オブ・マインド(Part2)ブロークン・ダウン|アリシア・キーズ

映画 『セックス・アンド・ザ・シティ2』(2010)

'09年11月に全米1位(5週)を記録、第53回グラミー賞の最優秀ラップソング賞、最優秀ラップ歌曲コラボレーション2冠に輝いた、ジェイ・Z and アリシア・キーズのNY賛歌「エンパイア・ステート・オブ・マインド」。ヴォーカルとしてフィーチャーされたアリシアは、自身4枚目となるアルバム 『エレメント・オブ・フリーダム』('09年)で、「エンパイア・ステート・オブ・マインド(Part2)ブロークン・ダウン」としてこのアンサーソングを発表した。翌年、NYを舞台とした 『セックス・アンド・ザ・シティ』 劇場版シリーズの第2弾に同曲を提供、予告編から効果的に使用されていた。

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08. ホール・ニュー・ワールド|ピーボ・ブライソン&レジーナ・ベル

映画 『アラジン』(1993)

『ライオン・キング』('94年)と並ぶ90sディズニー長編アニメの代表作。前作 『美女と野獣』('92年)でのセリーヌ・ディオンに続き、"Voice of Disney"ことピーボ・ブライソンが、クワイエットストーム(死語)な歌姫レジーナ・ベルと再びハートウォーミングなデュエットを披露。‘93年3月全米1位(年間18位)を記録し、第65回アカデミー賞では最優秀作曲賞・歌曲賞の2冠に輝いた。作者アラン・メンケン&ティム・ライスは、第36回グラミー賞のSONG OF THE YEARも受賞。'06年には、当時人気絶頂の倖田來未がピーボ・ブライソン本人とこの曲をデュエットし話題になった。

(ジャケット写真協力:Walt Disney Records)

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09. アイ・ドント・ウォント・トゥ・ウェイト|ポーラ・コール

映画 『シティ・オブ・エンジェル』(1998)トレーラー

ニコラス・ケイジ、メグ・ライアン主演による、ヴィム・ヴェンダース監督作 『ベルリン・天使の詩』 ('87年)のハリウッドリメイク。主題歌のアラニス・モリセット「アンインバイテッド」、挿入歌のグー・グー・ドールズ「アイリス」など音楽の話題も豊富だったが、最も印象を残したのがイメージ曲として予告編/CMのみに使用された本曲。劇中未使用にも関わらず、ファルセットヴォイスと劇中シーンがアタマのなかで重なってしまうほどだ。'98年1月全米11位(年間10位)、計56週間チャートインする空前のロングセラーとなった。収録アルバム 『ディス・ファイア』 で第40回グラミー賞7部門にノミネートされ、最優秀新人賞を受賞した。

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10. アリス|アヴリル・ラヴィーン

映画 『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)

『不思議の国のアリス』 とその続編 『鏡の国のアリス』 のヒロインであるアリスの新たな冒険を、鬼才ティム・バートン監督がイマジネーションあふれる世界観で描いた傑作ファンタジー。主演ジョニー・デップ人気も追い風となり、日本では'10年度の興収ランキングで 『アバター』に次ぐ2位を記録する特大ヒットとなった。『エラゴン 遺志を継ぐ者』('06年)に続くサントラ参加となったアヴリルだが、本曲は映画のテーマに沿った書き下ろしとなり、気心の知れたブッチ・ウォーカーが好プロデュース。デイヴ・メイヤーズが監督したビデオは、アヴリルが黒いドレスを着て不思議な森の中を歩いてるという内容で、ビジュアルも完全に映画とシンクロしていた。

(ジャケット写真協力:Walt Disney Records)

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11. ディーパー・アンダーグラウンド|ジャミロクワイ

映画 『GODZILLA』 (1998)

日本が世界に誇る最大の映画キャラ=怪獣王ゴジラが『インデペンデンス・デイ』(’96年)のスタッフによってハリウッドで映画化!この仰天ニュースに追い打ちをかけたのが、サントラにジャミロクワイ参加の一報だった。アシッド・ジャズを昇華した独自のサウンドを放ちながらシーンに登場した“ジェイ・ケイ”は「ヴァーチャル・インサニティ」でその人気が爆発。この頃すでに90年代最大の洋楽アーティストのひとりに躍り出ていた。各国宣伝曲が異なるなか、日本ではもちろんディープでアンダーグラウンドなこのナンバーがGODZILLAを盛り上げた。’98年7月に全英1位を記録している。

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12. 愛と青春の旅だち|ジョー・コッカー&ジェニファー・ウォーンズ

映画 『愛と青春の旅だち』(1982)

脱落者が続出する13週間の教練を経て海軍士官学校を卒業した軍服のザック(リチャード・ギア)が、軍人との愛を信じない、街工場で働くポーラ(デブラ・ウィンガー)を迎えに行き、ヒョイと抱き上げて拍手の中真っ白な“未来”へと歩いていく…80s青春映画史に残る感動のラストシーンを包み込んだ情熱的な歌声は、ジョー・コッカーとジェニファー・ウォーンズのものだった。80年代に数多く登場した“映画音楽の男女デュエットソング”のなかでも最も親しまれた曲のひとつで、映画と共に世界中で大ヒットを記録している。'82年11月に3週連続全米1位、1983年2月に全英7位を記録したミリオンセラー。

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13. ココモ|ビーチ・ボーイズ

映画 『カクテル』(1989)

トム・クルーズの華麗なフレアバーテンディングが話題となった青春映画の挿入歌。バーテンダーのブライアン(トム)が相棒ダグ(ブライアン・ブラウン)とのコンビを解消してジャマイカで新生活をスタートする場面で爽快に使われている。'88年11月に、ビーチ・ボーイズとしては「グッド・ヴァイヴレーション」以来22年ぶりとなる全米1位を獲得したミリオンセラーだが、ブライアン・ウィルソンは参加していない。やはり全米No.1に輝くボビー・マックファーリーの「ドント・ウォリー・ビー・ハッピー」も、この映画から生まれた特大ヒットナンバーだった。

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14. ベスト・キッド~ザ・モーメント・オブ・トゥルース|サバイバー

映画 『ベスト・キッド』(1985)

「君にカラテを教えてあげよう──」。『アウトサイダー』 で注目されたラルフ・マッチオ主演、『ロッキー』 のジョン・G・アヴィルドセンが手がけた青春カラテムービー(原題『The Karate Kid』)。有名な“ワックスがけ”を伝授したミヤギ役の日系人パット・モリタ(’05年没)もこの作品で一躍、時の人となった。エモーショナルで躍動感のある主題歌は、やはり“ロッキーのテーマ”を手がけたビル・コンティらが中心となって作曲し、『ロッキー3』 の「アイ・オブ・ザ・タイガー」で人気バンドになったサバイバーが担当した。’10年、舞台をアメリカから中国に移し、ジャッキー・チェンが師範役に扮したリメイク版 『ベスト・キッド』 が公開され世界中で大ヒットした。

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15. キッシング・ユー~ロミオ+ジュリエット 愛のテーマ|デズリー

映画 『ロミオ+ジュリエット』(1997)

アロハシャツ、高層ビル、カラフルな色彩……。何度も映画化されているシェイクスピアの古典に90年代型の新しい息吹を吹き込んだのは、『ムーラン・ルージュ』('01年)のバズ・ラーマン監督と、『タイタニック』('97年)のレオナルド・ディカプリオ…共に代表作の前夜だけに、自由で若い感性が詰め込まれた。慈愛に満ちたアルトヴォイスで“愛のテーマ”を聴かせたのはデズリー。収録アルバム 『スーパーナチュラル』 の名の通り、“等身大”で体現する柔らかさの中に強い意志を誇示。エリカ・バドゥ、インディア・アリーらと並び、“オーガニック・ソウル”と呼ばれ称された(懐かしい)。

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16. スピード|ビリー・アイドル

映画 『スピード』(1994)

『ダイ・ハード』(’88年)の撮影監督だったヤン・デ・ボンの初監督作品にして、90sアクション映画の金字塔。時速80km以下になるとバスが爆発するという、ゲームにも似た手に汗握る設定が、観る者をスクリーンに釘付けにさせた。キアヌ・リーヴスとサンドラ・ブロック双方の大ブレイク作としてもハリウッド史に刻まれている。同名主題歌はかつての“反逆のアイドル”。80年代の盟友で凄腕ギタリスト=スティーヴ・スティーヴンス(『トップガン』でグラミー賞)と再合流したこの曲で、ビリーは水を得た魚のようなスピードロックを聴かせた。

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17. タイム・フォー・ミラクルズ|アダム・ランバート

映画 『2012』(2009)

劇場公開から3年後にあたるマヤ暦の2012年終末説を題材に、『インデペンデンス・デイ』('96年)、『GODZILLA』('98年)のスタッフが更なる最新CGを駆使して完成させたSF超大作。ローランド・エメリッヒ監督が得意とするディザスター・ムービーの集大成ともいえる作品の中で、かえがえのない人への愛を歌ったのがアダム・ランバート。のちにクイーンのヴォーカルを務めることになるきっかけを作った人気オーディション番組 『アメリカン・アイドル』 での圧倒的パフォーマンスで一躍TVスターとなっていただけに、映画と共に大きな注目を集めた。大物らしくハリウッド・タイアップ付きのこのデビュー・シングルを含む1stアルバム『フォー・ユア・エンターテイメント』('09年)で全米初登場3位を記録、時代の幕を開けた。

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18. オールウェイズ・ラヴ・ユー|ホイットニー・ヒューストン

映画 『ボディガード』(1992)

90年代ムービー・ヒッツの金字塔にして最大のヒット曲!ホイットニー・ヒューストンの初主演作の役柄は、そのキャリアを地で行くスーパースター。彼女を警備するSPを好演したケビン・コスナーは当時のハリウッドNo.1アクター。ビッグ2共演の話題も追い風となって、クライマックスに流れる♪えんなぁぁい~は本国アメリカだけで'92年11月から14週連続1位という、当時の最高記録を樹立('93年度年間1位)。イギリスでも同年12月から10週連続1位('92年度年間1位)。日本でも80万枚を突破、サントラは200万枚に迫る特大ヒットとなった。オリジナルはカントリー歌手ドリー・パートン。デイヴィッド・フォスターのプロデュースのなかでも群を抜く逸品だ。

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(文:安川達也)