摩天楼を魅了!NYで行われたピアフ・ナイトに出演。
9月19日ニューヨークの伝統あるホールビーコン・シアターで行われたスペシャル・ピアフ・ガラのレポートが届きました。
フランスを代表するシンガーがニューヨークに集って、今年没50年となるピアフのナンバーを歌った豪華なライヴ・・。ZAZは冒頭のデュエットと、ソロの2曲で登場!
<9/19のセットリスト>
1/ NOLWENN LEROY & ZAZ : La foule
2/ HARRY CONNICK JR : La vie en rose
3/ OLIVIA RUIZ : Milord
4/ MADELEINE PEYROUX : Padam Padam
5/ JEAN LOUIS AUBERT : Je t’ai dans la peau
6/ DUFFY : Hymn to love
7/ CHRISTOPHE WILLEM : Mon Dieu
8/ NOLWENN LEROY ; Je ne regrette rien
9/ CŒUR DE PIRATE : Mon manege a moi
10/ ZAZ : Dans ma rue
11/ BETH DITTO : L’homme à la moto
12/ ELODIE FREGE : Les amants d’un jour
13/ PATRICK FIORI : L’accordéoniste
14/ CHARLES DUMONT : Les amants
15/ CHARLES DUMONT : les flonflons
16/ ALEX HEPBURN : Jezebel
17/ EMMANUEL MOIRE : Sous le ciel de Paris
18/ PATRICIA KAAS : la belle histoire d’amour
19/ CAMELIA JORDANA : L’hymne à l’amour
20/ ANGELIQUE KIDJO : Johnny tu n’es pas un ange
21/ ALL : LA VIE EN ROSE
NY在住、小林伸太郎氏によるレポート
ニューヨークのアッパーウェストサイドにあるビーコン・シアターは、ニューヨークでも最も古い劇場の一つだ。
客席3,000席、1929年築の歴史を誇るステージは、ローリング・ストーンズからボブ・ディラン、マイケル・ジャクソンなど錚々たる顔ぶれのアーティストがライヴを行ってきた。去る9月19日は、フランスで最も愛されている歌手の一人、エディット・ピアフの死後50年を記念した、A Tribute to Edith Piaf / Hommage à Edith Piafという一大イベントに、今をときめくフランスのシンガー、ZAZが出演するというのでさっそく出かけてみた。
当日の会場は、フランスの国民的歌手であったピアフへのオマージュというだけあって、フランス語圏の人々がさすがに多い。ソールドアウトの客席は、洗練と猥雑が同居したかのようなフレンチの雰囲気というか、いつものニューヨークと何だか違う。いや、その言い方はきっと、正しくない。これもやっぱりニューヨークなのだ。かつてニューヨークがピアフを愛したように、ニューヨークはどんな文化でも、地元のものにしてしまうところがある。ピアフのナンバーばかりだということで、客席の平均年齢はかなり高いと思っていたのだが、以外に若い観客も多い。ピアフはやはり、フランス人、フランス語圏の誇りなのだろう。
開演予定からやや遅れて始まったオープニング・ナンバーは、ノルウェン・ルロワとZAZによるいきなりのデュエットだった。曲は「群衆 (La Foule)」。もちろんピアフのヒット曲なのだが、二人ともすっかり自分のものとして歌っているところ、何とも爽快だ。そしてフランスの大御所シャルル・デュモンからハリー・コニックJR、パトリシア・カースなど新旧の錚々たる顔ぶれが、次々にノンストップでピアフのヒット曲を披露。ZAZがソロで歌ったのは、「あたしの通り(Dans Ma Rue)」。彼女のルーツ、ストリート・ミュージシャンだった頃の彼女の十八番であり、ファースト・アルバムにも収録されている、彼女のシグネチャー曲の一つだ。ブラックのシンプルなドレスにハイヒール、髪を下ろしたZAZのニュートラルな姿は、シビアな歌詞をちょっとドライに、でもちょっとウェットな絶妙な距離感で語りかけてくる。ちょっとハスキーな声が、そのまま高音へ上り詰めるとき、観客のハートも鷲掴みされてしまう。その言葉への鋭い感覚は、ピアフからZAZに繋がる、フレンチ・アーティストの一つの伝統なものなのかもしれない。
デュエットとソロで2曲、他の歌手より1曲多く歌ってくれたZAZだったけれど、もっと聞きたいと思った観客は多かったに違いない。今度彼女がニューヨークに来る際には、ぜひソロ・リサイタルを聴かせて欲しいと思った夜であった。
Beacon Show by Pavel Antonov