英国ロイヤル・オペラが明日より4年ぶりに来日公演、テノールの俊英ヴィットリオ・グリゴーロ、『ファウスト』主演で待望の日本でオペラ・デビューへ
巨匠アントニオ・パッパーノ率いる世界五大歌劇場のひとつ、英国ロイヤル・オペラの日本公演のため来日し、日本でも圧倒的な人気を誇るテノールの俊英ヴィットリオ・グリゴーロが『ファウスト』主演で、待望の日本でのオペラ・デビューを飾ることになった。
世界五大歌劇場とは、ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、パリ・オペラ座、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場、そしてロンドンの英国ロイヤル・オペラのこと。その中でも、いま一番勢いがあるのが英国ロイヤル・オペラだと言われている。1732年にコヴェント・ガーデンに最初の劇場が建てられた英国ロイヤル・オペラは、5つのなかでウィーンに次いで2番目に長い歴史をもっていて、ウィーンやイタリア、ドイツの歌劇場が自国の作曲家の作品に重点を置いて発展してきたのと異なり、英国ロイヤル・オペラはイタリアもの、ドイツもの、フランスもの、ロシアものなど、幅広い作品をレパートリーとすることで発展してきた。
伝統に固執せず、新しいアイデアを取り入れる姿勢は“演劇の国”の劇場文化に根ざした英国ならではのもの。そうした劇場の歴史を背景に、こと21世紀に入ってから英国ロイヤル・オペラを充実させる原動力となったのが、2002年から音楽監督を務めるアントニオ・パッパーノの存在だ。パッパーノは、バイロイト音楽祭でバレンボイムのアシスタントとして研鑽を積み、弱冠32歳でベルギー王立モネ劇場の音楽監督に就任、ウィーン国立歌劇場やメトロポリタン歌劇場、バイロイト音楽祭などへのデビューを経て、英国ロイヤル・オペラ音楽監督に迎えられた。
そんな世界最高峰のオペラハウスの引っ越し公演、『ファウスト』でタイトルロールを歌うのがソニー・クラシカル所属のテノールの俊英、ヴィットリオ・グリゴーロだ。23歳のとき、ミラノ・スカラ座に最年少テノールとして登場。英国ロイヤル・オペラのデビューは2010年で、『マノン』のデ・グリュー、『ファウスト』のタイトルロール、『椿姫』のアルフレード、『リゴレット』のマントヴァ公爵、『ボエーム』のロドルフォ、『愛の妙薬』のネモリーノ、『ホフマン物語』のタイトルロールと、錚々たる役を歌っている。
単独の来日公演は、2015年と2018年に行い、大盛況となったヴィットリオ・グリゴーロだが、オペラを日本で披露するのは今回が初めて。それも自家薬籠中の演目『ファウスト』を披露するということで、話題を呼ぶことは間違いない。
|CD情報|
ヴィットリオ・グリゴーロ ディスコグラフィ
グリゴーロのこれまでの成功と強く結び付いているフランス・オペラのアリアをたっぷり収録。
ザ・ロマンティック・ヒーロー
SICC 30218 ¥2,600+税
自身の音楽のルーツともいえる、美しい宗教曲のアリアを収めた充実のアルバム。
アヴェ・マリア
SICC 1775 ¥2,400+税
さらに進化した歌唱力を証明する数々のオペラ・アリアと、本人が愛するイタリア民謡で構成。
アリヴェデルチ
SICC 1505 ¥2,400+税
ソニー・クラシカル専属第1弾となるオペラ・アリア集。ヴェルディ、プッチーニ、ドニゼッティの名アリアをたっぷりと収録。
イタリアン・テナー
SICC 1442 ¥2,400+税
英国ロイヤル・オペラ 来日記念盤
ヴェルディ:歌劇「オテロ」(全曲)
ブルーレイディスク SIXC 28 ¥5,556+税 ※ 日本語字幕付き
ヨナス・カウフマン(テノール=オテロ)、
アントニオ・パッパーノ指揮 ロイヤル・オペラ
[仕様]2層MPEG-4 AVC|COLOR
[画面]16:9 1920×1080 59.94i
[音声]リニアPCM/STEREOおよびDTS HD Master Audio / 5.1chサラウンド
[収録時間]150分 [特典映像]10分
|英国ロイヤル・オペラ 公演情報|
◇C. F. グノー作曲『ファウスト』(全5幕)
9月12日 (木) 18:30|東京文化会館
9月15日 (日) 15:00|東京文化会館
9月18日 (水) 15:00|東京文化会館
9月22日 (日) 15:00|神奈川県民ホール
◇G.ヴェルディ作曲『オテロ』(全4幕)
9月14日 (土) 15:00|神奈川県民ホール
9月16日(月・祝)15:00|神奈川県民ホール
9月21日 (土) 16:30|東京文化会館
9月23日(月・祝)16:30|東京文化会館
<入場料(税込)2演目共通>
S=¥59,000 A=¥52,000 B=¥45,000
C=¥37,000 D=¥30,000 U29シート=¥8,000
<チケット申し込み・問い合わせ>
NBS WEBチケット ▸詳細はこちら
NBSチケットセンターTEL03-3791-8888(平日10:00~18:00、土曜10:00~13:00)
|アントニオ・パッパーノ[指揮者] プロフィール|
ロイヤル・オペラ音楽監督
2002年から英国ロイヤル・オペラ音楽監督。これまでにモーツァルト、ヴェルディ、ワーグナー、プッチーニ、R.シュトラウス、ラヴェル、ベルク、ショクタコーヴィチ、ブリテンのほか、バートウィスル作曲『ミノタウロス』(2008)、タネジ作曲『アンナ・ニコール』(2011)の世界初演も含む幅広い作品を指揮している。また、バレエでも指揮をとっている。2018/19年シーズンには、《ニーベルングの指環》、ヴェルディ『レクイエム』、『スペードの女王』、『運命の力』、オーケストラ・コンサートを指揮。
イタリア人の両親のもとロンドンに生まれたパッパーノは、幼いころから父親の生徒のためにピアノを弾いていたという。10代の頃、家族とともにアメリカに移り、21歳の時、ニューヨーク・シティ・オペラでコレペティートルとして働いたことから、オペラと演劇への関心を高めた。その後、バルセロナのリセウ劇場、フランクフルト歌劇場、シカゴ・リリック・オペラで仕事をし、バイロイト音楽祭ではダニエル・バレンボイムのアシスタントを務めた。
1987年にオスロのノルウェー歌劇場で指揮者としてデビュー。その3年後に英国ロイヤル・オペラにデビューを果たした。32歳でブリュッセルの王立モネ劇場の音楽監督に任命された(1992年就任2002年まで)。2005年からはサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団の音楽監督も務めている。
ウィーン国立歌劇場、メトロポリタン歌劇場、バイロイト音楽祭、サンフランシスコ・オペラ、シカゴ・リリック・オペラ、シャトレ座、ベルリン国立歌劇場、ザルツブルク音楽祭、ミラノ・スカラ座など、オペラ指揮者としての活動に加え、アメリカおよびヨーロッパでのオーケストラ・コンサートの指揮、さらにピアニストとしての数々の録音も行うなど、幅広く活躍している。
2018/19 年のシーズン終了を迎えると、英国ロイヤル・オペラ音楽監督として最長の在任となるが、昨秋、さらに2022/23年シーズンまでの契約延長が発表された(2020/21年の1シーズンは除く)。
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