【初来日公演にファン熱狂!本日は大阪!】米国民的バンド<ウィルコ>の頭脳=ジェフ・トゥイーディのサイド・プロジェクト<トゥイーディ>初来日ライヴ・レポート!ジム・オルークもサプライズ登場!
「アメリカ最高峰のロックの印象派」(米ローリング・ストーン誌)等と評され、グラミー賞に5作連続でノミネートされているシカゴ出身のロック・バンド<ウィルコ>の中心人物、ジェフ・トゥイーディ(vo,g)と息子スペンサーによるプロジェクト<トゥイーディ>が初来日、東京/大阪を回るジャパン・ツアーをスタートさせ、初日の東京公演が昨夜大盛況で終了しました。
TWEEDY Japan tour 2016
<終了>3/30(水) 東京: 恵比寿リキッドルーム
3/31(木) 大阪: 梅田クラブクアトロ
http://www.smash-jpn.com/live/?id=2415
バック・メンバーを地元シカゴ界隈の盟友プレイヤーで固め、アットホームな雰囲気の中、前半はトゥイーディ楽曲を、中盤はジェフ一人でウィルコの代表曲をアコースティックで演奏、そしてアンコールでは、ソニック・ユースに在籍していたことでも有名なミュージシャン/プロデューサー、ジム・オルークもサプライズ登場して会場は熱狂に包まれましたが、まさに“ファミリー”だからこその結束の強さと優しさに溢れた初日公演となりました。
<ライヴ・レポート>
最初から最後まで、えも言われぬ幸福感に包まれたライヴだった。
ステージには、ジェフ・トゥイーディ (vo/g)とジェフの息子スペンサー(ds)に、ジェフが「友達」と呼ぶ、ダリン・グレイ(b)、ジム・エルキングトン(g)と、リアム・カニガム(key/g)の3人。グレイはジム・オルークの、エルキングトンはリチャード・トンプソンやイレヴンス・ドリーム・デイの作品などに参加経験があり、カニンガムはKids These Days(彼らのデビュー作はジェフがプロデュースしている)のメンバーだった。みな地元シカゴ界隈の、まさに「音楽友達」である。
5曲目の「サマー・ヌーン」を紹介するまでMCはなく、アルバム『スーキーレイ』の曲を次々と披露していくバンドはしかし、カントリー調もあればフォーク調もインディ・ポップ調もあり、アバンギャルドなミニ・セッションまでを、実に気持ちよく調和の取れた演奏で聴かせていく。20歳のスペンサーが繰り出すリズムは手数に無駄がなく、シンプルにして軽やか。それでいて、これぞという場面では若々しい力を込めてエネルギッシュにリズムを刻む。
「ここに来ることができて嬉しいよ、僕らを招いてくれてありがとう」とジェフの短いMCに続き「ワールド・アウェイ」でノイジーなギターを絡ませて観客の興奮をさりげなく煽った後、ステージにはコーラス担当のシーマ・カニンガムを迎えた。シーマもまたシカゴを拠点に活動するシンガー・ソングライターだ。アルバムでもデュエット曲だった「ウェイト・フォー・ラヴ」を、生でもデュエットで、実に楽しそうに歌うジェフの姿を見ながらを聴けるとは、なんたる幸せ。シーマの登場でステージの雰囲気が和らぎ、リラックス度が増した感がある。
中盤、一旦バンドはステージを去り、始まったのはジェフの弾き語りだ。「ヴィア・シカゴ」に始まり、「アイ・アム・トライング・トゥ・ブレイク・ユア・ハート」、「ワン・ウィング」「ハミングバード」(ウィルコの時のようにはステップ踏めないけれど)、「ボーン・アローン」ときて、「ジーザス・エトセトラ」では、もちろん合唱がおきた。そして「次の曲は、今日ここにいる妻に捧げます」と言って「アイム・ザ・マン・フー・ラヴズ・ユー」を歌った。思えば、トゥイーディのアルバム『スーキーレイ』は病気の妻と彼女を支える家族の思いが投映されたアルバムだった。妻スーザンが家族と共に日本に来られたことを嬉しく思う。この夜のライヴをさらにトゥイーディ・ファミリー・コンサートらしくしてくれたのは、ジェフが「ア・ショット・イン・ジ・アーム」で弾き語りを終えた後、再び登場したバンドと共に現れた次男坊サミーだ。ほぼ直立不動で彼が歌ったのは、「サーティーン」(ビッグ・スター)。これがあまりにも初々しく素朴で泣きそうになった。サミーにとっては人生2度目のステージだった、とジェフが付け加えた。本編ラストはエレクトリックなロック・バンド然とした演奏で、ジェフがメイヴィス・ステイプルズに提供した「オンリー・ザ・ロード・ノウズ」を聴かせたが、これがブルージーでめちゃくちゃカッコよかったのだ。エレクトリックなセットがあと2曲くらいあってもよかった、と思うくらいに。
アンコールの1曲目では、ジェフが弾き語りでニール・ヤングの「ルージング・エンド」を演り、その後、ジム・オルークをゲストに迎えたら、やはりこれでしょ、のルース・ファー(ジェフ、オルークとグレン・コッチェによるプロジェクト)2連発で、ギターを唸らせながらの終幕。ライヴは約2時間に及んだ。
トゥイーディ一家のみならず、ほぼ家族のような仲間たちが集結したライヴ。欲張りな内容が、各人の演奏力を活かしてウェルメイドに仕上げられ、オーディエンスは心地好い疲労感に満足しながら帰路についただろう、私がそうであったように。忘れ難き時間の余韻は今もまだ続いているけれど。
(Mika Akao)
photo by Kazumichi Kokei
トゥイーディは本日大阪にて最終公演を行います。
【トゥイーディ: 商品情報】
最新アルバム『スーキーレイ』
発売中
EICP-1616 / 2,400円+税
ボーナス・トラック1曲収録
●iTunes購入先:
https://itunes.apple.com/jp/album/sukierae/id939668006?app=itunes&ls=1
【ウィルコ: 商品情報】
最新アルバム『スター・ウォーズ』
発売中
SICX-30002 / 2,400円+税
日本盤のみBlue-specCD2仕様
●iTunes購入先:
https://itunes.apple.com/jp/album/star-wars/id1026467787?app=itunes&ls=1
*iTunes、iTunes Storeは、Apple Inc.の商標です。
【ウィルコ/トゥイーディ: バイオグラフィー】
トラディショナルなアメリカ音楽とギター・ロックをベースに、各メンバーの超絶テクニックから生み出される圧倒的な音楽と存在感を誇るアメリカの国民的ロック・バンド。昨2015年、期間限定無料ダウンロードを緊急発表して、デビュー20周年記念作を彼ららしいユニークな方法でファンと喜びを分かち合った9thアルバム『スター・ウォーズ』は、米ローリング・ストーン誌に「少なくてもここ10年間のウィルコ作品の中で、最も簡潔でキャッチー、かつナチュラルに美しい旋律が詰まった作品」と評価され、グラミー賞にも5作連続でノミネートされている。
各メンバーがウィルコ以外にも別名義で活動しているが、中心人物であるジェフ・トゥイーディ(vo,g)が息子スペンサーと始めたプロジェクトがトゥイーディ。当初はソロを考えていたそうだが、デモ段階からスペンサーが協力していたため”ソロ”ではなく”デュオ”として正式始動、ジェフの妻でありスペンサーの母親であるスーザンのニックネームをもじったタイトル『スーキーレイ』を2014年に発表した。