再評価が進む後期ロマン派最後の大交響曲。
ブルックナーとブラームスの衣鉢を受け継ぐフランツ・シュミットの最高傑作を
ビシュコフとウィーン・フィルが精魂傾けて描き出す。ネーメ・ヤルヴィ盤以来久しぶりの国内盤登場!
&R.シュトラウス:炉端のまどろみ
セミヨン・ビシュコフ&ウィーン・フィル
FRANZ SCHMIDT: SYMPHONY NO. 2 & R. STRAUSS: DREAMING BY THE FIRESIDE
SEMYON BYCHKOV & WIENER PHILHARMONIKER
■品番 1CD:SICC-30428 ■発売日: 2017年4月26日
■定価: ¥2,600+税 ■Bluspec CD2 ■レーベル: Sony Classical
■収録曲
フランツ・シュミット(1874-1939)
交響曲第2番変ホ長調(1914)
1 第1楽章 いきいきと
2 第2楽章 アレグレット・コン・ヴァリアツィオーニ
シンプルに、かつ柔らかに
第1変奏 同じテンポで 第2変奏 いくぶん流れるように
第3変奏 速くしかも軽やかに 第4変奏 速く(同じテンポで)
第5変奏 とても速く 第6変奏 ゆっくりと穏やかに
第7変奏 とても速く 第8変奏 とても情熱を込めて、速すぎずに
第9変奏 スケルツォ:とても生き生きと 第10変奏 トリオ:とても穏やかに
3 第3楽章 フィナーレ ゆっくりと~穏やかに、しかも流れるように
リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)
4 歌劇「インテルメッツォ」作品72からの4つの交響的間奏曲 より
第2曲「炉端のまどろみ」(1923)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:セミヨン・ビシュコフ
[録音] 2015年9月1日~4日、ウィーン、ムジークフェラインザール
[プロデューサー] ホルガー・ウアバッハ
[バランス・エンジニア] クリスティアン・ゴルツ
[アシスタント・エンジニア] スザンネ・ヴィルティッシュ
■近年再評価が急速に進みつつあるオーストリアの作曲家、フランツ・シュミット(1874-1939)は、シェーンベルクと同年生まれながら、ブルックナーとブラームスの伝統を受け継ぐ重厚な後期ロマン派的な作風で知られています。マーラー時代のウィーン国立歌劇場およびウィーン・フィルのチェリストをつとめ、1927年からはウィーン音楽アカデミー院長に就任し、オーストリア音楽界に多大な足跡を残しました。
■昔から間奏曲が有名なオペラ「ノートル・ダム」、ヨハネの黙示録に基づくオラトリオ「7つの封印の書」のほか、4曲残された交響曲は近年演奏・録音の機会が増えており、日本でも交響曲第4番は大野和士指揮東京都響(2014年12月ライヴ/フォンテック)、寺岡清高指揮大阪響(2012年3月ライヴ/キング)の2種類の録音が発売され、「7つの封印の書」もアルミンク指揮新日本フィルによる2009年7月のライヴがCD化(フォンテック)されるなど、フランツ・シュミットについての認知度が少しずつ高まってきています。
■1911/13年に書かれたこの交響曲第2番は、8本のホルン(マーラーの交響曲第3番と同じ!)や打楽器を含む巨大編成で知られる大作。3つの楽章がモットー主題で結びつけられ、ナイーヴな抒情性・和声の繊細な変化が美しく、さらに変奏曲形式の第2楽章にはスケルツォとトリオが内包されるという個性的な構成です。初演の1年後にヴァインガルトナー指揮によって取り上げて以来、作曲者自身のほか、クナッパーツブッシュ、ミトロプーロス、ラインスドルフなど当代一流の名匠とともにこの曲を演奏してきたウィーン・フィルが、巨匠セミヨン・ビシュコフと2015年9月に定期のほかヨーロッパ・ツアーで集中的に取り上げて絶賛を博した時に、ムジークフェラインで組まれたセッションで収録されたのが当盤です。
■ビシュコフは2014年5月にもこの交響曲をウィーン・フィル定期で演奏し、2014年9月にライプツィヒ・ゲヴァントハウス管と演奏した際にはMDR/accentusによって映像収録されTV放映されています。また2014年3月には、自らが指揮科の教授を務めているロンドン王立音楽院のオーケストラと演奏するなど、この交響曲への溺愛ぶりが伺えます。実弟だった指揮者ヤコフ・クライツベルク(1959-2011)もネザーランド・フィルと交響曲第4番の優れた録音を残しているので、そうした縁があるのかもしれません。
■交響曲第2番の国内盤としては、1990年に発売されたネーメ・ヤルヴィ/シカゴ響盤(英シャンドス)以来26年ぶりの登場となります。ちなみにフランツ・シュミットの4つの交響曲で国内盤が出ていないのは交響曲第1番のみです。交響曲第3番:ネーメ・ヤルヴィ/シカゴ響(英シャンドス)、リボール・ペシェク/スロヴァキア・フィル(スプラフォン)、交響曲第4番:上述の日本人指揮者による2種類のほか、ズービン・メータ/ウィーン・フィル盤(デッカ)。
■カップリングはやはりウィーンと所縁の深いR.シュトラウスが1923年に書いた歌劇「インテルメッツォ」から編まれた4つの交響的間奏曲から第2曲「炉端のまどろみ」です。
■ライナーノーツ:ハラルド・ハスルマイア「ウィーンの森のささやき」、木幡一誠
国内盤ブックレットにのみ「フランツ・シュミット年表」、「ウィーン・フィルによるフランツ・シュミット作品演奏記録」掲載
■セミヨン・ビシュコフは1952年、レニングラード 生まれ。レニングラード音楽院でムーシンに師事。1973年、ラフマニノフ指揮者コンクール優勝。1980年に渡米し、バッファロー・フィル音楽監督、パリ管音楽監督、ドレスデン州立歌劇場首席指揮者、ケルン放送響首席指揮者を歴任。ウィーン・フィルにも定期的に客演している。