9/27発売! タワーレコード x "Sony Classical" 究極のSA-CDハイブリッド・コレクション第3回発売 モーツァルト:ピアノ協奏曲第15・17・21~24・26・27番/ロベール・カザドシュ&ジョージ・セル
タワーレコード x "Sony Classical"究極のSA-CDハイブリッド・コレクション 」
20世紀を代表する稀代の2人のモーツァルティアンの邂逅。カザドシュとセルが共演したステレオ録音を集大成。
モーツァルト:ピアノ協奏曲第15・17・21~24・26・27番
ロベール・カザドシュ&ジョージ・セル
Mozart: Piano Concertos / Robert Casadesus & George Szell
NOW PRINTING
■品番:SICC10245~8
■ハイブリッドディスク4枚組|SA‐CD層は2ch
■発売日: 2017年9月27日
■定価: ¥8,400+税
■音匠レーベル使用
■各ディスクは通常のジュエルケースに封入し、三方背ボックスに収納
■レーベル: Sony Classical
■日本独自企画 ・完全生産限定 ■世界初SA-CDハイブリッド化
■20世紀の類稀なるモーツァルティアン、カザドシュの遺産・初SA-CD化。
20世紀を代表する最高のモーツァルト演奏家の一人であった、フランスの名ピアニスト、ロベール・カザドシュ。当4枚組のボックスは、カザドシュにとって最大の盟友であったジョージ・セルと1959~68年にかけてステレオで残したモーツァルトのピアノ協奏曲8曲の録音を集大成したもので、特別収録として、カザドシュの妻ギャビー、息子のジャン、オーマンディ/フィラデルフィアと共演した二台と三台のピアノのための協奏曲をカップリングしています。透明で高雅な趣を湛え、文字通り真珠の珠を思わせるカザドシュの美しい音色はモーツァルト作品に打ってつけで、装飾を加えずモーツァルトが楽譜に記した音符だけを極上の色彩感で音にしてゆくカザドシュの演奏は、まさに20世紀にスタンダードとされたモーツァルトの作品像そのものです。20世紀の類稀なモーツァルティアンであるワルター・ギーゼキング、リリー・クラウス、クララ・ハスキル、クリフォード・カーゾンらが残した名演と並ぶ、モーツァルト演奏の理想の姿の一つといえるでしょう。
■カザドシュの長い盤歴の中で重要な部分を占めるモーツァルト録音
カザドシュは長い盤歴を誇るピアニストで、初録音はSP時代の1928年に遡り、亡くなる3年前の1969年6月まで、約40年以上にわたります。モーツァルト作品を初めて録音したのは1937年12月で、ピアニストだった妻のギャビーと共演した「ロンドニ長調」でした。協奏曲の初録音であるビゴー指揮パリ音楽院管との第24番も同月に行なわれています(以上仏コロンビア)。モーツァルトの協奏曲の録音が活発化するのは第2次大戦後になってからのことで、1948年にシャルル・ミュンシュ指揮ニューヨーク・フィルと第21番を米コロンビアに録音した後しばらく時間が空いて、1954年の第24番と第26番を皮切りに、いよいよセルとの共演による録音が開始されます。このコンビでは1955年に第10番(二台)と第12番、1956年には第18番と第20番が録音され、1959年の第22番・第23番以降はステレオ録音となり、1961年に第21番、それに第24番の再録音、1962年に第26番の再録音と第27番、そして1968年に第15番と第17番が録音されました。モノラルしかない3曲の再録音なども予定されていたと思われますが、1970年のセルの死によってこのプロジェクトは中断し、カザドシュも他の指揮者とモーツァルトのセッション録音を残すことなく1972年に亡くなりました。結局約30年間で、ソロの協奏曲が11曲、二台ピアノと三台ピアノの協奏曲がそれぞれ1曲と、合計13曲が録音として残されました。1968年10月の第15番と第17番は文字通りカザドシュによるアメリカでの最後のセッション録音(この後には1969年6月の自作の協奏曲第2番をマルティノン指揮フランス国立放送管と録音しているのみ)であり、その意味でもカザドシュの全録音の中でかけがえのない重要性を持っています。
左:ピアノ協奏曲第15番&第17番のLPジャケット(当CDではDISC1の投げ込みに使用)
右:ピアノ協奏曲第22番&第23番のLPジャケット(当CDではDISC3の投げ込みに使用)
■個性的なカデンツァのチョイス
カデンツァはモーツァルトの自作が残されていない場合は、自らが卓越した作曲家でもあったカザドシュ自身(第21番・第22番・第10番)やサン=サーンス(第24番)作を弾いているのも今となっては極めて個性的なチョイスといえるでしょう。また第26番にはモーツァルト自作のカデンツァは残されていないのですが、第26番の旧全集に誤って収められていたモーツァルトのピアノ協奏曲第16番(第26番と同じ調性のハ長調)のカデンツァをそのまま弾いているのは、旧全集でこの作品を習得した世代らしい、ある意味で時代の反映の証左といえるでしょう。
■もう一人のモーツァルティアン、セルの理想的なバックアップ
カザドシュの名演をバックアップしているのがジョージ・セル指揮する躍動感あふれるオーケストラ・パートであることは論を待ちません。明解で清潔なフレージング、透明感あふれる響き、有機的に絡みあう各パートの立体感、気品あふれる歌心など、文字通りカザドシュが指向するモーツァルトと同一の方向性を持つセルのモーツァルト解釈が、これらの協奏曲の演奏の価値を大きく高めています。モーツァルトの主要交響曲やディヴェルティメントで優れた録音を残しているセルは、1970年の日本公演におけるモーツァルトの交響曲第40番の名演でも当時の日本の音楽ファンに衝撃を与えたことからも伺えるように、20世紀を代表するモーツァルト解釈の大家でもありました。そのセルの実力が余すところなく発揮されているのが、このカザドシュとの共演なのです。なおオーケストラは「コロンビア交響楽団」「クリーヴランド管弦楽団のメンバー」とクレジットされていますが、これはレコーディング・コスト削減のために通常のクリーヴランド管弦楽団とは異なる枠組みで録音のために契約されたことによるもので、メンバーは基本的に全てクリーヴランド管の団員であり、実質的にはセルの手兵であることに変わりはありません。
ピアノ協奏曲第26番&第27番のLPジャケット。この2人の写真は、再発売の際背景の色や文字デザインを変えて何度か使われています。当CDではDISC4の投げ込みに使用。
■カザドシュとセルの間で結ばれた深い友情の証
カザドシュがセル/クリーヴランド管と初めて共演したのは1948年4月のことで、セルがクリーヴランドに着任してから2シーズン目のこと(モーツァルトのピアノ協奏曲第21番と第27番)。それ以来カザドシュはほぼ毎シーズン同管に客演し、その際は必ずセルが指揮していました。レパートリーはモーツァルト、ベートーヴェン、フランス音楽(ダンディ、フランク、ラヴェル、サン=サーンス、フォーレ)を中心に、ウェーバー、リスト、ファリャ、そしてカザドシュの自作にまで及んでいます。1969年、カザドシュの70歳の誕生日に際して、「貴方の音楽の高潔さ、高貴な趣味、そして広汎な知識はいつまでも私にインスピレーションを与え続けることでしょう」と賛辞を呈しています。これらの録音は、こうした心の通った共演の積み重ねによる深い友情の賜物といえるでしょう。
左:モーツァルトの三台ピアノのための協奏曲のLPジャケット。カップリングはバッハの三台協奏曲。当CDではDISC1のバックインレイに使用。
右:モーツァルトの二台ピアノのための協奏曲のLPジャケット。カップリングはラヴェルの左手。当CDではDISC3のバックインレイに使用。
■もう一つの心の通った共演~妻・息子・オーマンディ/フィラデルフィア管との複協奏曲
特別収録として、カザドシュの妻ギャビー、息子のジャン、ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管と共演した二台と三台のピアノのための協奏曲を収録しています。ギャビー・カサドシュ(1901~1999)はパリ音楽院でルイ・ディエメとマルグリット・ロンに師事し、生前のドビュッシーとも親交があった才媛。1921年にロベール・カザドシュと結婚し、2人でカサドシュ・デュオを結成するかたわら、ソロ活動や教育活動にも積極的で、夫ロベールの没後はその名を冠した国際ピアノ・コンクールを設立しています。ジャン・カサドシュ(1927~1972)は、パリ音楽院とプリンストン大学に学び、1947年にデビューし、ソリストおよびピアノ教師として活動。1972年にカナダで交通事故に巻き込まれ悲劇的な最期を遂げ、悲嘆にくれた父ロベールの体調を崩し、同年亡くなりました。ギャビーとのデュオのみならず、ジャンも加えた三人によるステージでの共演も多く、録音ではモーツァルトの2台・3台の2曲のほか、バッハの2台ピアノ協奏曲2曲、3台ピアノ協奏曲1曲が残されています。カザドシュ一家の息の合ったソロ・パートを美しくバックアップしているのは、オーマンディ/フィラデルフィア管で、カザドシュとはこのほかにフランク、ダンディ、ラヴェル(左手)とフランス音楽の名演を録音として残しています。
■リマスターについて
セルとのステレオ録音による8曲/LP4枚をボックスセットにまとめる企画は、すでに1970年代前半にドイツCBS盤で実現しており、1974年には日本でも4枚組LPとして発売されています(SOCZ377~80)。初CD化も同じ形で1987年に世界に先駆ける形で日本で実現しています(00DC946~9)。これはアナログ録音の名盤のCD化を積極的に推進していた日本のCBSソニーのイニシアチブによるもので、日本からの要請で、アメリカ本国でオリジナルのアナログ・マルチ・マスターから新たにステレオ用にリミックスが行なわれた上で、デジタル化されたのでした。その後モーツァルト・イヤーの1991年には海外で第21番以降の曲がSBM/20ビット・リマスターされ、そのマスターを使っての国内盤は2006年にSICC482~4として発売されています。2014年には第21番と第24番が海外でDSDリマスターされ、同年カザドシュのステレオによるモーツァルト作品全曲が24ビット・リマスターでも発売されました。今回は一部を除き26年ぶりにオリジナルの3チャンネル・マスターからアンドレアス・K・マイヤーによってリミックスとDSDリマスターが行なわれることになります。
■ライナーノーツ(予定)
ギャビー・カザドシュ「夫ロベール・カザドシュの思い出」
ジャンシャルル・オフレ「輝く率直性~カザドシュのモーツァルト」
ジョージ・セル、ピエール・バルビゼ、ラファエル・クーベリックほか「ロベール・カザドシュへのオマージュ」
増田良介「カザドシュとセルのモーツァルト」
カザドシュ&セル/クリーヴランド管弦楽団演奏記録
ロベール・カザドシュ モーツァルト作品ディスコグラフィ
曲目解説(山野雄大ほか)
アンドレアス・K・マイヤー「リマスタリングノート」 ほか
[収録曲]
モーツァルト
DISC 1
1.ピアノ協奏曲 第15番 変ロ長調 K.450 [カデンツァ:モーツァルト]
2.ピアノ協奏 曲第17番 ト長調 K.453 [カデンツァ:モーツァルト]
3.3台のピアノのための協奏曲 第7番 ヘ長調 K.242
DISC 2
4.ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 K.467 [カデンツァ:カザドシュ]
5.ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491 [カデンツァ:サン=サーンス]
DISC 3
6.ピアノ協奏曲 第22番 変ホ長調 K.482 [カデンツァ:カザドシュ]
7.ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488 [カデンツァ:モーツァルト]
8.2台のピアノのための協奏曲 第10番 変ホ長調 K.365 [カデンツァ:カザドシュ]
DISC 4
9.ピアノ協奏曲 第26番 ニ長調 K.537「戴冠式」[カデンツァ:モーツァルト(ピアノ協奏曲第16番K.451)]
10.ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595[カデンツァ:モーツァルト]
ロベール・カザドシュ(ピアノ)
ギャビー・カザドシュ(第2ピアノ)[第7番・第10番]
ジャン・カザドシュ(第3ピアノ)[第7番]
クリーヴランド管弦楽団のメンバー[第15番・第17番・第21番・第24番]
コロンビア交響楽団[第22番・第23番・第26番・第27番]
指揮:ジョージ・セル
フィラデルフィア管弦楽団[第7番・第10番]
指揮:ユージン・オーマンディ
[録音] 第15番:1968年10月18日 第17番:1968年10月18日・19日・21日 第21番:1961年11月5日 第22番:1959年11月13日 第23番:1959年11月14日&15日 第24番:1961年11月3日&4日 第26番:1962年11月2日&3日 第27番:1962年11月4日 以上、クリーヴランド、セヴェランス・ホール 第7番:1962年12月9日、フィラデルフィア、アスレチック・クラブ 第10番:1960年11月15日、ニューヨーク、マンハッタン・センター
[プロデューサー] 第7番・第21番・第24番・第26番・第27番:トーマス・フロスト 第15番・第17番:アンドルー・カズディン 第22番・第23番:ハワード・H・スコット 第10番:ジョン・マックルーア
[初出] 第7番:MS6495(1962年、J.S.バッハ「3台のピアノのための協奏曲」とのカップリング) 第21番・第24番:MS6695 (1965年) 第26番・第27番:MS6403 (1963年) 第15番・第17番:MS7245 (1971年) 第22番・第23番:MS6194 (1961年) 第10番:MS6274 (1963年、ラヴェル「左手のための協奏曲」とのカップリング)
[日本盤初出] 第7番:OS174(1962年1月) 第21番・第24番:OS571 (1966年2月) 第26番・第27番:OS270 (1963年8月) 第15番・第17番:SOCL249 (1971年5月) 第22番・第23番:OS144 (1961年9月) 第10番:OS251 (1963年5月)
[アナログ・トランスファー、リミックス、リマスタリング・エンジニア] アンドレアス・K・マイヤー(マイヤーメディアLLC)
シリーズ・コンセプト ソニー・クラシカルおよびRCA Red Sealの歴史的名盤を、これまでのリマスターも含め最高のクオリティを追求し、ハイブリッドディスクとして「究極」の形でフィジカル・リイッシューする「タワーレコード "Sony Classical"究極のSA-CDハイブリッド・コレクション」。ソニー・クラシカル秘蔵のオリジナル・マスターに遡り、アンドレアス・K・マイヤーをはじめとする経験豊富な名手が復刻を手掛ける究極のコレクションです。