【ネタばれあり】2/21ロサンゼルス公演レポート完全版!
2月21日メーガン・トレイナー「ザット・ベース・ツアー」、ロサンゼルス公演レポート(完全版)!
※<ネタばれ注意>4月来日公演をご覧になる方には、ライヴの内容が含まれておりますのでご注意ください。
弱冠21歳のメーガン・トレイナーのデビュー曲「オール・アバウト・ザット・ベース」は、2014年に全米シングル・チャートで8週連続1位を獲得する大ヒット曲となっただけでなく、カーヴィーで健康的な彼女が放った「私はこのおっきなおシリが魅力なの!」というメッセージによって、「モデルみたいに痩せているよりもお尻が大きい方がクール」という、従来のアメリカのファッションとカルチャーに対抗する斬新なトレンドを生み出すほどの影響力を持っていた。続くセカンド・シングル「リップス・アー・ムーヴィン」では、過去数年ソングライターとしてハンター・へイズを始め数々のスターに曲を提供してきた実力を改めて証明し、満を持して年末に発表されたアルバム『タイトル』は、全米と全英で1位に輝いた。さらにグラミー賞でも主要2部門でのノミネートを獲得、今やメーガンは世界的な大スターだ。
そのメーガンの、初のロサンゼルス公演。ロサンゼルスは、マサチューセッツ出身の彼女の新しいホームタウンだ。21日、22日と2日間の公演が完売になったスタンディングの会場には、小さな子供から年配の男女まで、驚くほど幅広い層のファンが詰めかけていた。「ガール・パワー」を打ち出した曲が多いだけにメーガンと同世代の女の子達が大半かと思いきや、男性ファンもかなりいる。通常のポップ・コンサートでは見かけない年配のファンは、ドゥーワップを取り入れたメーガンの音楽性に惹かれているのだろう。
オープニング・アクトの後、9時半に、イントロの音楽に合わせてステージ後方に掲げられたLEDスクリーンがカラフルに点滅し、メーガンとバンド、そして4名の女性バック・ヴォーカリスト達が登場した。オープニング曲は、「ディア・フューチャー・ハズバンド」。芯の通った力強い歌声が、場内に響き渡る。CDやラジオで聞いていた声の何倍も強力で豊かで、ソウルフルな声だ。そしてメーガンは、そんな圧倒的な声で観客を唸らせるのではなく、ステージを右に左に動き回りながらダンスをして、客席に手を伸ばし、「カモン!」といって皆を盛り上げる。そのパーティのような楽しい空間に一気に引込まれた。数曲踊りながら盛り上げる曲を続けた後は、引きもタイミングよく入れて、「タイトル」でシルバーのウクレレを奏でながら、バンドメンバーのアコースティック・ギターに合わせて素敵な歌声を響かせた。続く「ウォーク・シェイム」では「ヘイ、ヘイ、ヘイ」コールをファンとやり取りして再び彼らをパーティに取り込み、そこで一旦バンドを残して退場した。
すぐに戻って来た彼女は、赤いタイ付きの黒いトップスとゴールドのフレアスカートに着替えている。そして、「私のクイーンはどこにいるの?」と、笑顔で問いかけた。次の瞬間にはいつ用意されていたのか男性ファンがステージに上がっている。トミーという名のラッキーな男性は、メーガンに冠のカチューシャをつけてもらって幸せそうだった。この夜、何度もファンから「愛してる!」と叫ばれて、その度に「私も愛してるわよ!」と返事を返していたメーガンだが、「アイム・ゴナ・ラヴ・ユー・ライク・アイ・ルーズ・ユー」では、「この曲はメガトロンズ(彼女はファンのことを「メガトロン」と呼んでいる)に捧げる曲よ。私はあなた達のことが大好きなの、好きすぎて怖いぐらい」と、胸に響く言葉を投げかける。歌い上げた後でメーガンはハートマークを手で作ってみせて、「メガトロンズ、愛してる!」。ファンにとってはたまらない瞬間の連続である。
そこからは「ダンスの準備はいい?」とまた盛り上げにかかる。ドラム・スティックを両手に持って踊りながらの「バング・ゼム・スティックス」。この曲のビッグなサウンド、それからメーガンがバック・ヴォーカリスト兼ダンサーと一列になって踊るところなど、ブルーノ・マーズのショウに近いものがあると思っていたら、途中から曲が「アップ・タウン・ファンク」(ブルーノがフィーチャーされているマーク・ロンソンの全米ナンバーワン・ヒット曲)につながった。バンドは演奏を続けているものの、流れている音はサンプルでブルーノの声も入っている。メーガンはマイクから離れてダンスに徹して、ダンサー達と並んで踊りまくり、観客を熱狂させた。この曲を終え、「ベースツアーにようこそ!」と叫んだ後、メーガンは「あれは私のエクササイズ・ソングよ!」と観客を笑わせて、「私と一緒に踊りに来てくれてありがとう!」と感謝をのべた。
「次の曲は元彼の曲で、私って別れるのがすっごく下手だから、この曲書いてメールしちゃったの」、と友達に打ち明けるような気さくさで裏話を語ってから、「マイ・セルフィッシュ・ハート」を披露。その後は、「私の新曲、リップス・アー・ムーヴィングを知ってる?」と声をかけて大歓声があがったところで、「用意はいい?」と2回繰り返して観客の興奮をピークまで上げ、キュートで軽快なダンスをしながら現在大ヒット中の新曲を熱唱してショウを終えた。何もかもが上手い。歌も上手すぎる上に、この慣れたエンターテイナーぶりが、全く新人とは思えない。まるで何十年もステージに立っていたかのような鮮やかさだった。
アンコールで大音量のメーガン・コールに応えて再登場した彼女は、「冗談、冗談よ、あなた達を残して帰るわけないじゃない」と、またしてもファンがときめくような言葉を投げかけ、「ホワット・イフ・アイ・ウォント・トゥ・キス」の後、「オール・アバウト・ザット・ベース」で大合唱を巻き起こしてショウの幕を閉じた。4月の初来日公演でも、この驚異的な歌唱力とキュートなダンス、そして愛さずにはいられないキャラクターを駆使して、ファンの心を鷲掴みにしてくれそうだ。
鈴木美穂