FUJI ROCK FESTIVAL 2019でのライヴレポートが到着!
2019年7月27日(土)。今年23年目の開催を迎えたFUJI ROCK FESTIVALに、遂に世界No.1 DJ、マーティン・ギャリックスが降臨した。
イギリスの大手ダンス・ミュージックメディア<DJ MAG>が、ファンの人気投票により世界人気DJランキングを公表している、“Top 100 DJ’s”という企画で、2016年から3年連続で1位に選ばれ続けているマーティン・ギャリックス。同じ週末にベルギーで開催されている、EDMフェスの中でも最大規模の<TOMORROWLAND>の出演を見送り、今年フジロックへ初出演を決めたという経緯もあってか、マーティン登場前のグリーン・ステージには少し緊張したムードさえ感じられた。あいにくの豪雨となったこの日だが、ライヴ前から前方にはお手製のフラッグを持ったファンや、マーティンのシンボルである「+x」のロゴが入ったTシャツやキャップを着たファンが大勢詰めかけた。
ライヴ開始前より、今回異例の規模と伝えられていた、巨大なLEDスクリーンのセッティングが行われ、オーディエンスの緊張感は益々上昇。18:40、今年3月にリリースした「ミステイクン」が流れ始め、ドロップの直前でマーティンがステージに登場し、「コンニチハ、ジャパーン!」と叫ぶと、早くとも観客の興奮は頂点に。前半では、エモーショナルな合唱を招いた「ノー・スリープ」や「トゥゲザー」などのアンセムと、「スポットレス」「ターン・アップ・ザ・スピーカーズ」などの初期のクラブ・トラックを挟み、世界No.1 DJの名にふさわしい、クライマックスの連続のパフォーマンスを魅せた。また、何とこの日、未発表曲も1曲プレイするという、ファンにとっては嬉しいサプライズも。
途中で雨も激しさを増していったが、むしろ嵐も演出の手助けをし、グリーン・ステージは益々ヒートアップ。前方から後方まで、全てのオーディエンスが飛び跳ね踊り狂う光景は、凄まじいものだった。マーティン本人も、5月に右足を損傷し、1ヵ月間ライヴを休止せざるを得ず、復帰後も特殊なギブスを付けてライヴに臨んでいた中、フジロックでの怪我の状況も懸念されたが、そんなことも感じさせないぐらい、常にハイテンションでジャンプをしながら、苗場の観客を盛り上げた。
ライヴでは必ずプレイしている「スケアード・トゥ・ビーロンリー」のダブヴィジョン・リミックス、昨年10月に5曲連続リリースのうちの一曲としてリリースされた「ブリーチ(ウォーク・アローン)」、「ドリーマー(ニッキー・ロメロ・リミックス)」と、たたみかけるような展開の後、マックルモアとパトリック・スタンプ(フォール・アウト・ボーイ)とのコラボで話題となった「サマー・デイズ」、そして自身のブレイクのキッカケともなった「アニマルズ」へ。
後半では「グリッチ」と、フローレンス・アンド・ザ・マシーンの「ユーヴ・ゴット・ザ・ラヴ」の秀逸なマッシュアップや、級友であったアヴィーチの「ウェイティング・フォー・ラヴ」もプレイ。お馴染みの「3, 2, 1 Let’s Go!」という掛け声を連発し、苗場の地を揺らした。
今回特筆すべきは、異例のステージ・セットとプロダクションの規模感。昨年10月にアムステルダムRAIでの単独公演で初披露された<ANIMA>と称されたこのライヴ・セットでは、「人間の感情や意識を持ち始めるAI(人口知能)」というコンセプトに基づいたパフォーマンスを展開。本人の背後の大画面に加え巨大な「+」型のLEDパネルが吊るされ、クルクルと回転する可動式照明がステージ天井や横に設置され、巨大なトランス空間を演出。雨を照らすレーザーは、無数のガラスの破片が散りばめられたような光景となった。スモークや炎、花火の特効は、初っ端から惜しむことなく放たれ、90分間のセットを盛り上げ続けた。
後半では、「イン・ザ・ネーム・オブ・ラヴ」「バーン・アウト」「オーシャン」などのヒット曲を連発。初期の代表曲「トレモア」から、トロイ・シヴァンとのコラボ曲「ゼア・フォー・ユー」のマディソン・マーズ・リミックスで、また一気にハードなクラブ・モードへとシフトを変えた後に、「これが最後の曲だよ。フジロック、ありがとう!」と言い、「人生にハイになろう 僕たちが死ぬ、その日まで」という歌詞がマッチし過ぎる、大ラストへと走り抜けた。(Photos by Louis van Baar)
同公演のセットリストは現在プレイリストにて公開中。是非余韻に浸って欲しい。