ジェイミー・フォックス
コメディ界、映画界で成功を収めてきたジェイミーの最初の夢、それこそが音楽だ。『ILC』に出演しながら、音楽活動も積極的に行ってきた彼は、94年、デビュー・アルバム『Peep This』(Fox Records、後にアリスタ参加となる)を発表。セールス、チャート共に成功とはいえなかったものの、ソングライティング、プロデュースも全て自身で手がけた本作、そして特に、シングルとして発表された極上バラード「Infatuation」は、R&Bファンの間で10年以上経った今も名盤、名曲として語り継がれている。



活動の場が映画中心になった96年以降も、自らが出演する映画『ファイトマネー/400万ドルのタイトル・マッチ『原題The Great White Hype』(’96)や『エニイ・ギブン・サンデー』、『Bait』(’00)などにも曲を提供。シンガーとしてだけでなく、ソングライターとしての評判も高く、アディーナ・ハワードとの”T-Shirt and Panties”(サントラ『Woo』にも収録)や『ジェイミー・フォックス・ショー』で母親役でゲスト出演したグラディス・ナイトとの「I Wanna Be Loved」などを提供、デュエットもしている。



ハリウッド・スターとしての成功によって、フィーチャリング・アーティストとしても引っ張りだことなったジェイミーは、MCライトやキース・マーレーらの作品に参加。’04年にはトゥイスタとカニエ・ウエストとのコラボ「Slow Jamz」で2005年グラミー賞にもノミネートされた。この曲のヒットがキッカケとなり、ジェイミーはJレコーズ社長、クライヴ・デイヴィスの前で弾き語りをし、その場で契約を手にした。‘05年には、グラミー賞授賞式でアリシア・キーズと共にレイ・チャールズへのトリビュート「Georgia On My Mind」を披露。50セントの「Build You Up」や「Slow Jamz」で共演したカニエ・ウエストの大ヒット・シングル「Gold Digger」にもフィーチャーされ立て続けに世界的ヒットを放い、DJフー・キッドのミックス・テープに参加したことも話題となった。ようやく彼の歌声が一部のファンだけでなく、世界中に披露されたのである。特にカニエとの「Gold Digger」は2005年を代表する曲と言われるほどの大ヒットとなり、本年度のグラミー賞では(カテゴリー上ジェイミーの名前は出ていないが)、Best Rap Solo Performance賞を受賞。授賞式での2人のマーチング・バンドを取り入れた圧巻のパフォーマンスも話題となった。



2005年12月、ジェイミーの実に11年ぶりのセカンド・アルバム『Unpredictable』を発表(日本発売2006年4月)。デビュー作『Peep This』がビルボード・アルバム・チャート最高78位だったのに対し、本作は初登場2位、翌週には1位に輝き、通算3週1位を獲得した。プロデュースには、今では親友として常に行動を共にしているというTankやマイク・シティ、ショーン・ギャレット、ウォーレン・ベイビー・ダブ・キャンベル、ハロルド・リリー、112のダロン・ジョーンズとネクストのR.L.らが参加。全曲自作自演、自身でプロデュースしていた前作と違い、実力派プロデューサー達のバックアップを得てシンガー=ジェイミー・フォックス(本作中3曲は本人もプロデュース参加)を前面に押し出した作品となった。アルバムからの先行シングルで現在ヒット中のリュダクリスをフィーチャーした「Unpredictable」やカニエと再びタッグを組んだ「Extravaganza」、同じく2度目の共演となるトゥイスタとの「DJ Play A Love Song」といった見事なまでにR&Bとヒップホップを融合させた極上ミッドスロウ・ジャムから、メアリーJ・ブライジと再び組んだオールド・スクール・テイストたっぷりのバラード「Love Changes」、娘への深い愛を歌った「Heaven」まで、ジェイミー・フォックスが3つの異なるフィールドをまたにかけて築いてきた15年のキャリア、そして、彼のピュアで美しい<ソウル=魂>、その全てが凝縮された究極のソウル/R&Bアルバムとして高く評価された。



そして2008年12月、ジェイミーが放つJレコーズ第2弾が新作『Intuition』。先行シングル「Just Like Me」を手がけるのはリアーナの世界的ヒット「Umbrella」を手がけたことで知られるドリーム・チーム=ザ・ドリーム&トリッキー・スチュワート(リアーナ、マライア・キャリー、アッシャー、ジャネット)、フィーチャリングに全米チャート独走中の人気ラッパー=T.I.を迎え、ハリウッドを制したジェイミーらしいゴージャスかつ旬な1曲に仕上がっている。『Intuition』には他にもティンバランド、サラーム・レミ、ジャスト・ブレイズ、タンクが楽曲を提供、さらにT.I.に加えてリル・ウェイン、ザ・ドリーム、T-Pain、Ne-Yo、ファボラス、マーシャ・アンブロージアス(元フロートリー)がゲストとして華を添えている