フランツ・ウェルザー=メスト(指揮)ウィーン・フィル
■フランツ・ウェルザー=メスト(指揮)

1960年8月16日、オーストリアのリンツ生まれ。生地の音楽学校で学び、ヴァイオリニストを目指すも、事故のため指揮者志望に転向し、ミュンヘン音楽大学で研鑽を積む。スウェーデンのノールショッピング交響楽団(1985~91年)を皮切りに、ウィンタートール・コレギウム・ムジクム管弦楽団(1987~90年)、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1992~96年)、チューリヒ歌劇場(1995~2008年)のポストを歴任し、現在はクリーヴランド管弦楽団音楽監督(2002年~)、ウィーン国立歌劇場音楽総監督(2010年~)。これまで1992年と1995年にロンドン・フィル、2008年にチューリヒ歌劇場、さらに2010年にはウィーン・フィルおよびクリーヴランド管弦楽団と来日公演を行なっている。

2012/13年シーズンに、クリーヴランド管弦楽団音楽監督としての11年目のシーズンを迎えるウェルザー=メストだが、2008年にはその契約が同管の100周年にあたる2018年まで延長されている。近年このコンビはザルツブルク音楽祭や東京のサントリーホールにもレジデント・オーケストラとして登場、またモーツァルトのダ・ポンテ・オペラを舞台上演することで、クリーヴランド管のオペラ・オーケストラとしての新たな局面を開いている。2010年以来音楽監督をつとめるウィーン国立歌劇場では、ヒンデミット『カルディヤック』、ヤナーチェク『カーチャ・カバノヴァー』『死者の家から』、ヴェルディ『ドン・カルロ』の新演出を成功させ、2012/13年シーズンは、新演出のR.シュトラウス『ナクソス島のアリアドネ』とワーグナー『トリスタンとイゾルデ』のほか、ベヒトルフ演出によるワーグナー『指環』全曲の再演も手掛けることになっている。

録音・映像ソフトの面では、ロンドン・フィル首席指揮者時代にEMIへ多数録音。さらにチューリヒ歌劇場の公演の多くは映像収録され、モーツァルトからベルクのオペラまで多数のレパートリーがDVDとして発売されている。
「宇宙」をテーマにした2010年のウィーン・フィルのシェーンブルン宮殿での野外コンサートでは「スター・ウォーズ」の音楽を指揮(CD、DVDでDGより発売)。

近年クリーヴランド管弦楽団とはブルックナーの交響曲の映像を制作しており、これまで第5番、第7番、第8番(第1稿を使用)、第9番がリリースされているほか、2012年にはリンツの聖フロリアン教会で第4番「ロマンティック」(これも第1稿を使用)が収録されてシリーズが完結。さらにブラームスの交響曲と協奏曲の映像収録も予定されている。またザルツブルク音楽祭でのドヴォルザーク「ルサルカ」のライヴ録音もCDで発売されている。

2012年秋には、2012年5月にウィーン国立歌劇場でベヒトルフ演出によって上演されたR.シュトラウス「アラベラ」の映像がDVDおよびブルーレイで発売されている(ELECTRIC PICTURE)。ウェルザー=メストにとっては、チューリヒ歌劇場でのフレミングらと共演したフルードリヒ演出の舞台を2007年に収録した2映像以来2つめの「アラベラ」であり、ウィーン国立歌劇場音楽監督就任以降、同歌劇場での彼の仕事ぶりを記録した初の映像ソフトとなる。

ちなみにウェルザー=メストは、2011年のニューイヤー・コンサートのほかには、これまでロンドン・フィルとシュトラウスのアルバムを1枚録音し、さらにチューリヒ歌劇場では、シュトラウス没後100年を記念して蘇演した歌劇「シンプリツィウス」全曲録音も残している。2006年にクリーヴランド管弦楽団とカーネギー・ホールに客演した際のライヴDVDには、「芸術家の生涯」など、3曲のシュトラウス作品が含まれているほか、2011年の大みそかには恒例のウィーン国立歌劇場における「こうもり」全曲も指揮、その映像は世界各地でTV放映された。