【世界初!】ビョーク、360度VRライブストリーミングにて前代未聞パフォーマンス&超貴重なトーク!本日より日本科学未来館にてVR展示会スタート!
<Björk Digital-音楽のVR・18日間の実験>の開幕を翌日に控えた6月28日、東京・お台場の日本科学未来館で、同展のプレイベント<Making of Björk Digital-公開収録&トーク>が、来日中のビョーク自身を迎えて開催されました。以下イベントのレポートをお届けします。
このイベントは2部構成で、彼女はまず、360度カメラで撮影したヴァーチャル・リアリティ映像をリアルタイムでストリーミング配信するという、世界初の試みを敢行した。これは、最新作『ヴァルニキュラ』の全収録曲に対応するヴァーチャル・リアリティ映像のビデオクリップを、世界各地で様々なクリエイターと制作するという壮大な企画の一環で、日本でビョークが白羽の矢を立てた曲は、アルバムのラストを飾る「クイックサンド」。同館3階のジオ・ステージに設けた会場に、MITメディアラボのネリ・オックスマン教授制作により特別にデザインされたヘッドピースと白いドレスを身に付けて登場したビョークは、ビートにシンクロして様々なパターンを映し出すジオ・コスモス(有機ELパネルを使った地球ディスプレイ)を背景に、「クイックサンド」を披露。日本で『ヴァルニキュラ』の収録曲をナマで歌うのは今回が初めてで、現場で見守っていたファンにとってはひとつのライヴ・パフォーマンスなのだが、ストリーミング配信されるにあたってAR/VR演出が加えられ、動画サイトで見ていた世界中の人々の目には、全く異なるマジカルな映像が発信されていたというわけだ。
そして休憩を挿んで、第2部はピンクを基調にした衣装に着替えての、トークショー。日本科学未来館のキュレーターである内田まほろ氏の司会のもと、今回のプロジェクトに関わった3人の日本のトップ・クリエイターたち――Dentsu Lab Tokyoの菅野薫氏、Rhizomatiks Researchの真鍋大度氏、P.I.C.S. managementのTAKCOM氏――を交えて、1時間にわたってトークを繰り広げ、昨年3月に始まったというコラボレーションのプロセスを振り返った。当初Dentsu Lab Tokyoから360度ストリーミング配信の提案を受けたというビョークは、「クイックサンド」について、曲が湛える切迫感やストロボのようなリズムが、ストリーミングという方式に合致していると感じて選んだこと、母と娘の関係が題材とあって、ジオ・コスモスを“母”に見立てたことなどを饒舌に説明。また、ヴィジュアル表現やテクノロジーに関する自身のスタンスにも触れ、最新テクノロジーを取り入れることに積極的ではあるものの「ミュージシャンとしての私の役割はヒューマニティやソウルと向き合うことであり、表現したい感情に相応しいツールを選んでいるだけ」と強調。最後は強い関心を抱いている環境問題に言及し、「地球を救うのはまだ手遅れではなく、クリエイティヴィティとテクノロジーは、今の流れを変える手助けができると思う」と、ポジティヴな言葉でトークを括った。
ちなみに4人は今後、ここで撮影されたパフォーマンス映像にじっくり手を加えて、ストリーミング・ヴァージョンを進化させた「クイックサンド」のVRビデオを完成させる予定だ。「そこには曲のエモーショナルなメッセージをより正確に反映させたい」と話していたビョーク、さらなる驚きを用意してくれているに違いない。
text by 新谷洋子
photo by Santiago Felipe
ビョークの最新VR展示会<Björk Digital ― 音楽のVR・18日間の実験>は本日より開催。ライヴ・アルバム『ヴァルニキュラ:ライヴ』は7月13日に日本先行発売されます。
<Björk Digital ― 音楽のVR・18日間の実験>概要
開催日時: 2016年6月29日(水)~7月18日(月・祝)午前10時~午後5時
※ただし金土日祝(7月1日(金)~3日(日)、8日(金)~10日(日)、15日(金)~18日(月・祝)は午後10時まで開催
休館日: 2016年7月5日(火)、12日(火)
会場: 日本科学未来館 7階 イノベーションホールほか(東京都江東区青海2-3-6)
料金: 2,500円(税込)
※入場日時指定制、整理番号付
チケット: チケットぴあにて発売中
※前売り券の販売はチケットぴあのみとなります。
※展示の中心となるVRコンテンツは13歳以上が対象です
※未就学児の入場はできません
※小学生以上は入場券が必要となります
※企画展、常設展、ドームシアター(いずれも午後5時まで)の鑑賞には別途料金がかかります
※アーティストの出演はありません
主催:スマッシュコーポレーション
共催:日本科学未来館
詳細はこちら:http://www.miraikan.jst.go.jp/exhibition/bjorkdigital.html
【リリース情報】
ビョーク
ライヴ・アルバム『ヴァルニキュラ:ライヴ』
2016年7月13日(水)日本先行発売
<国内盤CD>
2,400円+税 / SICX-52
◎ライナーノーツつき
◎初回限定豪華紙ジャケット仕様
●「ストーンミルカー」360°VR映像視聴はこちら→
https://www.youtube.com/watch?v=gQEyezu7G20
※360°版映像の視聴にはデスクトップ版ChromeブラウザまたはAndroid版YouTubeアプリが必要です
●「マウス・マントラ」ミュージック・ビデオ視聴はこちら→
https://www.youtube.com/watch?v=iIhLCXmrCm8
【ビョーク プロフィール】
アイスランド出身のシンガー/ソングライター/プロデューサー/女優。1980年代後半より、ザ・シュガーキューブスのヴォーカルとして活躍し、UK、ヨーロッパを中心にブレイク。1993年にファースト・アルバム『デビュー』でソロ・デビューを果たして以来、2千万枚のアルバム・セールスを誇り、その先鋭的かつ多様なサウンドで世界中の音楽ファンの絶大な支持を受けている。これまで8枚のスタジオ・アルバムに加え、映画サウンドトラック、リミックス盤、ライヴ盤など含め、20作品以上をリリース。これまで、トム・ヨーク、ティンバランド、べック、アレキサンダー・マックイーン、スパイク・ジョーンズなど、音楽にとどまらず多岐にわたるジャンルの著名人とのコラボレーション歴も誇る。2000年にはミュージカル映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』に主演し、初出演映画にして、カンヌ国際映画祭<パルムドール>賞と<最優秀女優賞>を獲得。
2015年4月にリリースした8作目アルバム『ヴァルニキュラ』は全世界24カ国のiTunesチャートで1位を記録し、第58回グラミー賞で<最優秀オルタナティヴ・アルバム>にノミネート。2015年3月には、自身のソロ・キャリアを衣装や映像の展示と共に振り返る大回顧展をニューヨーク現代美術館(MoMA)にて開催。2016年4月には、『ヴァルニキュラ』の360°VR映像作品の展示プロジェクト『Björk Digital』を開催。
【Dentsu Lab Tokyo プロフィール】
新しいクリエーションとソリューションの場であると同時に、研究・企画・開発が一体となった“創りながら考えるチーム”でもあるDentsu Lab Tokyo は、2015 年10 月1 日に始動。これまでの広告会社のアプローチとは全く違う、テクノロジーを起点とした新しい表現開発に取り組んでいる。キーワードはオープンイノベーション。電通社内のみならず、社外のアーティストやテクノロジストとも協働しながら、広告領域にはとどまらない分野のクリエーションとソリューションを手掛けている。
【リンク】
●海外オフィシャルサイト: http://bjork.com
●Dentsu Lab Tokyo: http://dentsulab.tokyo/