ヴィヴィアン・グリーン
 コロンビア・レコーズの新たな期待の星である女性シンガー・ソングライター、ヴィヴィアン・グリーン。漲る音楽的な才能、それはまるで発電所の如き力強さを放つ。この世に生を受けたその最初の記憶の中でも彼女はすでに音楽に包まれていた。「お母さんはいつも私に歌ってくれていたわ。ジャズ、スピリチュアル、ほかなんでもね」と23歳のグリーンはフィラデルフィアで過ごした幼少の頃について言う。8歳でピアノを始め、11歳では歌を書いていた。18歳では宴会場や結婚式などで何百人も、ときには1000人を前にスタンダード・ナンバーを歌い上げるようになっていた。そのたった5年後の今、ヴィヴィアンは自分のデビューアルバム『A LOVE STORY』」で遂に自分の曲を歌っている。作品を彩るフィリー・ソウルのサウンドと、ライヴ・パフォーマーとして経験を積んできたグリーンの伸びやかなヴォーカルの絶妙なブレンドは、聴く者全てを魅了するはず。

 「このアルバム自体が実際にラヴ・ストーリーなのよ」と全ての作詞を手掛けたグリーンは言う。「私の心は見せびらかしよ(笑)」と本人は語るが、陳腐化された、普通の男女間の純愛話を期待すると肩透かしを食らう。これは恋に破れ、そして自分自身を愛することの発見、遂には本物の愛を見つけるまでの彼女の道程を綴った、洗練を極めた自伝的回想なのである。

 「Superwoman」、そして「Emotional Rollercoaster」は、グリーンがボーイフレンドとうまくいっていなかったときに書かれたものである。「彼は私に、私ではないものになってもらいたがっていたの。ある日、こう思ったわ。『これは私じゃない、私はスーパーウーマンじゃない!』って」

 グリーンにこのデビューアルバムのためにどれくらい時間をかけたかを訊くと驚く人が多いだろう。「ほとんどの曲は何もないところから始めたわ」彼女は謙虚に肩をすくめて言う。「スタジオに入って、『そうね、今日はどうする?アップテンポなものにしようか』と。そして、その日が終わってしまう前に曲は仕上がっていたわ。そういう曲の書き方が好きだわ。私、とても早いのよ」

 歌える。詞も書ける。メロディーと綴り、一日でそれを曲にまとめあげる。ヴィヴィアン・グリーン、本人には申し訳ないが、彼女はまさにスーパーウーマンだ。