「私の死後、残したい音楽はここにあります。」――ヴァレリー・アファナシエフ
2月27日発売『テスタメント/私の愛する音楽 ~ハイドンからプロコフィエフへ~』6枚組。
テスタメント/私の愛する音楽
~ハイドンからプロコフィエフへ~
ヴァレリー・アファナシエフ
Testament | Valery Afanassiev
*ジャケ写が当初発表したものから変更になりました。
■品番:ハイブリッドディスク6枚組 SICC-19034~39 (SACD層は2ch)
■2019年2月27日発売 *当初ご案内していた発売日から変更になりました。
■定価:¥16,500+税 ■完全生産限定盤
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https://sonymusicjapan.lnk.to/ValeryAfanassiev_TestamentAW
私の死後、残したい音楽はここにあります。
このボックス・セットは、いわば私のこれまでの人生の経験を一つにまとめたような趣きがある。私がこれまでの人生を通じて考えてきたこと、呟いてきたこと、頭の中に巡ってきたことを一つ所に置いたようなものだ。私が愛し、崇拝し、弾いてきた作曲家たち。そして1枚や2枚のディスクではなく、6枚組のボックスという形で、私の音楽家としての人生、あるいは人間としての人生を包括したのだ。
――ヴァレリー・アファナシエフ
◎なぜテスタメント(遺言)か
➡70歳を越え、「どうしても後世に自分の解釈を残しておきたい」という作品を厳選。
➡これまでの演奏・録音活動の中で中心的な位置を占めてきたベートーヴェン、シューベルト、シューマンのほか、これまで録音がなかったハイドン、ビゼー、フランク、ドビュッシーというフランス系作品、そして彼の音楽的故郷の一つであるプロコフィエフ(しかも「戦争ソナタ」三部作のうちの随一の大作、ソナタ第6番を収録)が収録されているのが大注目
➡一部の小品を除き全てアファナシエフにとって初録音。
➡2017年4月と7月、ドイツのフィアゼンにおける2回・6日間のセッション(=1日1枚のペース)で集中的に収録。
■アファナシエフの新作は何と「テスタメント(遺言)」と題された6枚組という超弩級のボックスセット。タイトル通り、アファナシエフが現在どうしても後世に残しておきたいという作品の演奏を収録したもので、全てアファナシエフにとって初録音。2017年4月と7月、ドイツのフィアゼンにおける2回・6日間のセッションで集中的に収録されました。
■レパートリーはハイドン、ベートーヴェン、シューベルト、シューマンという独墺音楽のほか、これまでアファナシエフの録音にはほとんどなかったビゼー、フランク、ドビュッシーというフランス音楽、そして彼の音楽的故郷の一つであるプロコフィエフ(しかも「戦争ソナタ」三部作のうちの随一の大作、ソナタ第6番を収録)という多彩なものです。
◎収録曲
DISC1 ハイドン:ピアノ・ソナタ 第20番 ハ短調 ・ 第23番 ト長調 ・ 第44番 ト短調
DISC2 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第4番 変ホ長調 ・ 第16番 ト長調 ・ 第19番 ト短調
DISC3 シューベルト:ピアノ・ソナタ 第4番 イ短調、4つの即興曲 D.935
DISC4 シューマン:ピアノ・ソナタ第1番 嬰ヘ短調、3つの幻想小曲集、アラベスク
DISC5 ビゼー:半音階的幻想曲 フランク:前奏曲、コラールとフーガ ドビュッシー:ベルガマスク組曲
DISC6 プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第6番 「戦争ソナタ」 伝説曲 ガヴォット 風刺
[録音]2017年4月24日~26日(DISC1, 2, 5)、7月3日~5日(DISC3, 4, 6)、ドイツ、フィアゼン、フェストハレ
別冊解説書掲載内容
別冊解説書表紙に使われているパウル・クレー『エイドラ かつてのピアニスト』
◎全132ページの別冊解説書付き
■日本語訳にして4万2千字にのぼる、ヴァレリー・アファナシエフ渾身の長文書き下ろしライナーノーツ(日本語と英語の両方掲載)
①「野心的なプロジェクト」
イントロダクション | クエスチョン | 永遠 | そのほかのこと | ノスタルジア | しないでおくべきことは? | イニシエーション | 解釈者 | 解釈 | 楽譜の音符 |
②「テスタメント・プロジェクト~その最後の遺志」
イントロダクション | Kに | ロボットと人間 | Kに | ガン患者であることの重要性 | 私の最後の遺志、遺言 | 第1セッション 2017年4月24日~26日 | 第2セッション 2017年7月3日~5日 | リスニング | 私たちの人間性 | 私たちの民主主義 | 若い演奏家 | 若妻の話 |ロシア楽派 | 演奏会に群がる何百万の人々 | 使われること、乱用されること | ジョーク
■詩人・吉増剛造氏による特別寄稿「火ノ刺繍ーーー永遠の旅人ヴァレリー・アファナシエフに」
■全ディスク・リスト、来日公演の足跡、書籍一覧をまとめた世界初の「ヴァレリー・アファナシエフ 仕事の記録」
■アルバムと曲目についてのアファナシエフ自身の最新インタビューも掲載
■トラックリスティング
DISC1 ハイドン 64分14秒
ハイドン
1-3 ピアノ・ソナタ 第20番 ハ短調 Hob. XVI: 20 [29:17]
4-6 ピアノ・ソナタ 第23番 ト長調 Hob. XVI: 23 [20:11]
7-8 ピアノ・ソナタ 第44番 ト短調 Hob. XVI: 44 [14:42]
■ハイドンのピアノ曲はアファナシエフにとって初録音。過去にハイドン録音はなかった。
DISC2 ベートーヴェン 71分34秒
ベートーヴェン
1-4 ピアノ・ソナタ 第4番 変ホ長調 作品7 [35:33]
5-7 ピアノ・ソナタ 第16番 ト長調 作品31の1 [27:59]8-9 ピアノ・ソナタ 第19番 ト短調 作品49の1 [9:02]
■ベートーヴェンは師ギレリスの影響もあってか、アファナシエフにとって中心的なレパートリーの作曲家であり、アファナシエフがこれまで録音したベートーヴェンのソナタは第1・7・8・10・14・15・17・23・27・30・31・32番の12曲(ほかに第3番と第12番からのそれぞれ一つの楽章のライヴ録音がある)。第17番「テンペスト」、第30~32番には複数の録音(いずれもライヴ)がある。大作ディアベリ変奏曲、2つのバガテル集(1987年、日本での初録音)のほか、5曲のピアノ協奏曲は、スダーン/モーツァルテウム管という意外な組み合わせでの全集がある。なお一時期だけ力を入れていた指揮者としての録音では、モスクワ放送響を振った「田園」と「コリオラン」序曲がある。
DISC3 シューベルト 69分46秒
シューベルト
1-3 ピアノ・ソナタ 第4番 イ短調 D. 537 (作品164)[ 27:35]
5-8 4つの即興曲 D. 935 (作品142) [32:11]
■シューベルトはアファナシエフが偏愛する作曲家であり、最後の三大ソナタは、ブラームスの間奏曲集と並び彼のリサイタルには欠かせない重要な演目である。またアファナシエフにとって最初のソロCDとなったのもシューベルトで、1985年のロッケンハウス音楽祭における第21番の壮絶なライヴ録音はECMレーベルでワールドワイドで発売され、その個性的なピアニズムが大きくクローズアップされるきっかけとなった。またその遥か前、1972年のエリーザベト国際コンクールでの優勝に際して、本選でのライヴとその直後のセッション録音とが残されているのもシューベルトのソナタ第13番であった。ソナタでは、第13・14・16・17・18・19・20・21番があり、そのほかに「3つのピアノ曲」、楽興の時、クレーメルとの幻想曲、グリマルとのソナチネ集、ヴァン・ダムとの「白鳥の歌」がある。D.935の即興曲集からは第2番のみ2010年の紀尾井ホールでのライヴがある。
DISC4 シューマン 59分03秒
シューマン
1-4 ピアノ・ソナタ第1番 嬰ヘ短調 作品11 [36:38]
5-7 3つの幻想小曲集 作品111 [13:29]
8 アラベスク ハ長調 作品18 [8:55]
■アファナシエフのシューマンといえば、戯曲仕立てにした「クライスレリアーナ」が知られている。「クライスレリアーナ」の最初のセッション録音とカップリングされていた「森の情景」、日本でのライヴ録音である「子供の情景」、「交響的練習曲」、小品集「オマージュ&エクスタシー」に含まれていた「クララ・ヴィークの主題による変奏曲」がある。セッションにしろライヴにしろまだ録音は公刊されていないが、ピアノ協奏曲もアファナシエフ長年のレパートリーで、1989年の山田一雄指揮東京都響との共演は、同時期のドレヴァンツ指揮N響とのブラームス第2番と共に、ピアノとオーケストラが合わずチグハグなまま進行したいわくつきの演奏だった。
DISC5 ビゼー フランク ドビュッシー 62分01秒
ビゼー
1 演奏会用半音階的幻想曲 [16:34]
フランク
2-4 前奏曲、コラールとフーガ [24:22]
ドビュッシー
5-8 ベルガマスク組曲 [20:48]
■アファナシエフによるフランス系の録音はほとんどない。ドビュッシーでは「前奏曲集第1巻」からの「雪の上の足跡」、「帆」、「沈める寺」の3曲のみ。ビゼーはグールドが録音したことで知られるようになった変奏曲。
DISC6 プロコフィエフ 59分46秒
プロコフィエフ
1-4 ピアノ・ソナタ 第6番 イ長調 作品82 「戦争ソナタ」 [37:16]
10の小品 作品12より
5 第6曲 伝説曲 作品12の6 [2:58]
6 第2曲 ガヴォット 作品12の2 [3:33]
7-11 風刺 作品17 [15:58]
■ソ連出身のアファナシエフは、ムソルグスキーの「展覧会の絵」とエリーザベト国際コンクール優勝時のチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番以外は、ロシアの作曲家の大規模なピアノ曲の録音を残していない。プロコフィエフの「風刺」の第4曲と第5曲は、エリーザベト国際コンクール優勝の直後の1972年6月、メロディア・レーベルのためにブリュッセルでセッション録音を行っており、シューベルトの即興曲D.935の第2番と並び、当6枚組のうち唯一の再録音となる。
ヴァレリー・アファナシエフ (ピアノ/ベーゼンドルファー・インペリアル)
[録音]2017年4月24日~26日(DISC1, 2, 5)、7月3日~5日(DISC3, 4, 6)、ドイツ、フィアゼン、フェストハレ (DSDレコーディング)
[プロデューサー]ゲルハルト・ベッツ
[レコーディング・エンジニア]フィリップ・ネーデル (b-sharp Berlin)
[ピアノ調律]ゲルト・フィンケンシュタイン
■録音場所 ドイツ フィアゼン フェストハレ
Viersen Festhalle
デュセルドルフ近郊のフィアゼンにあるコンサート・ホール、フェストハレは、1913年にオイゲン・フライリングスドルフの設計により建立された。第2次大戦の戦禍にもほとんど影響を受けず、戦後もすぐに使用されるようになった。客席は約1000席で、優れた音響効果と遮音性を持つ。1947年から49年にかけては、NWDR北西ドイツ放送(後のWDR西ドイツ放送)による北西ドイツ放送交響楽団(現WDRケルン放送交響楽団)の放送用の録音が数多く行われた。1955年の雑誌に掲載された20人の指揮者による「世界で最も音響のいいコンサートホール」についての投票で、ブレーメンの「グロッケ」と並んで「ドイツで最も音響のいいホール」に選定されたこともある。 アファナシエフは、2000年12月のデンオンへのリストのピアノ・ソナタ他の録音をこのホールで行っている。今回はそれ以来17年ぶりのこのホールでの録音となった。
■録音スタッフ
プロデューサー・・・・・・ゲルハルト・ベッツ
1991年の「展覧会の絵」に始まるヨーロッパにおけるアファナシエフのデンオン録音のほとんどすべてをプロデュース。アファナシエフがデンオンを離れてからしばらく間が空いて、2015年のソニー・クラシカルへのベートーヴェンの三大ソナタの録音で久しぶりにアファナシエフと再会。ドイツ・ランダウ在住。地元の教会合唱団の指揮者でもある。
レコーディング・エンジニア・・・・・・・フィリップ・ネーデル (b-sharp Berlin)
テルデックでエンジニアとしての仕事を開始。ボストンのジョン・ニュートン主宰の「サウンドミラー」に所属したこともある。2000年にベルリンにレコーディング・チーム、b-sharpを設立。その優れたプロデュース、エンジニアリング力によって、テルデックス・スタジオと並ぶベルリンのクラシック・プロダクションの雄となっている。自主レーベルも手掛け、ベルリン・コンツェルトハウス室内管弦楽団のアルバムをリリース。
ピアノ調律・・・・・・・ゲルト・フィンケンシュタイン
数多くのピアニストから厚い信頼を寄せられている、ハンブルク近郊エルツェに本拠を置くピアノ調律師・製作者。長年アンジェラ・ヒューイットのソロ録音の調律を手掛けている。
左から調律のゲルト・フィンケンシュタイン、プロデューサーのゲルハルト・ベッツ、エンジニアのフィリップ・ネーデル ピアノに置いてある木枠の譜面台は、フィンケンシュタインの手作りで、譜面台を立てた時に音がさえぎられる現象をなるべく少なくするように工夫したもの。