タイリース
恵まれた素晴らしいルックス、情熱的な歌声、生まれ持った鋭いビジネス感覚、シンガー・ソングライターでありながらモデル、俳優、作家、プロデューサーでもあるタイリース・ギブソンは何通りもの武器を持っており、とても危険である。

“俺がまだ幼い頃、お母さんは俺に言ったんだ。「あなたはたくさんの才能、たくさんの能力を持って恵まれているから、それを一つ一つ出していきなさい。そうでないと人を圧倒させてしまいますからね。神の計らいがどうであれ、あなたが逃げない限り、そして生活のすべを掴んだなら、それがあなたの進むべき道なのよ。」って。

カリフォルニア州ワッツ出身のTyreseのキャリアが上昇し始めたのは、16歳である彼が世界中に知られているコカ・コーラのコマーシャルで、バスの後部座席で100万ドルの笑顔を振りまいてからである。彼のこの30秒の評判が各メディアに取り上げられ、今や世界で知られている。RCAから彼の名前をタイトルとしてリリースされたデビュー・アルバムは100万枚を超えるセールスを記録し、グラミー賞ノミネート、アメリカン・ミュージック・アワードの最優秀新人賞を獲得、トミー・ヒルフィガーやMTV、映画の”Baby Boy”によって、モデルやTV司会や俳優としても脚光を浴びることになる。”Tyrese”というブランドを確立したのである。

彼の2年ぶりのアルバムとGUESSの数百万ドルを稼ぐ専属モデルとしての契約が、更に彼の活躍に火をつけた。2002年にはJレコードと契約、3枚目のR&Bアルバムである”I wanna go there”をリリースし、またBaby Boyを撮った彼の映画の指導者であるJohn Singletonによる映画、”2 Fast 2 Furious”と”Four Brothers”を撮影する。そして4作目の映画”Flight of the Phoenix”で、俳優”Tyrese Gibson”は”Black-Ty the MC”として改名するのである。



アフリカで"Flight of the Phoenix”の撮影中、ある夜一人で海に行った時にTyreseは「精神浄化」(と彼は呼んでいる)を経験する。静かに自らを省みている最中に、平安が彼を包み、眠っていた鋭気を取り戻させ、スタジオ撮影中に考えていた想いから逃れさせてくれた。「あなたの痛みとあなた自身の事こそが全てなんだ。自分の問題を人に話すということは、僕にとってみれば、最もコミュニケーション能力が弱い方法なんだ。気持ちを歌に反映させることによって、その歌詞やメロディーで人に訴えかけられると思う。より効果的だと思うよ。」。彼の詩は更に自由なものとして知られる。「母国を、我が想像力を、そして注目されていることを感謝している。」

LAに戻ったと同時に、最高経営責任者としてHeadquarter Entertainmentの創立に関わることになる。マルチメディアの最高峰であるHEはマネジメント会社でありながら、映像やテレビ、画像コンサルタントやグラフィック・デザインのサービスもあり、レコーディングの設備も整った、LAのダウンタウンにある贅沢な空間である。そしてFrontline Boyzという自社プロダクション・チームまで揃っている。彼の5作目の映画である”Annapolis”には本人自らが投資をし、現在は次作の”Waist Deep”の宣伝を準備中である。

Black-TYはレコーディングに入った。「俺のアルバムのHip-Hopの方はR&Bのものより5ヶ月前に終わった。一日に4~5曲いっぺんに作り上げるtupacスケジュール(パンク寸前のスケジュール)にしたんだ。」1枚がHip Hopで、もう1枚がR&Bというダブル・アルバムを作りたかった理由は単純に、ラッパーが歌うと中傷され、R&B歌手は韻がふめないんだ、と思ったからだという。「俺を知ってもらうにあたって、R&B曲から入って貰いたくないんだ。もちろんそれは俺の一部でもあるし、好きじゃなかったら歌わないけど、このhip-hopを通して俺の胸中をさらけだすことができ、本当の僕の姿を知ってもらえると思うんだ。」

Frontline BoyzのGXプロデュースによる自叙伝的なタイトルとなったhip-hopの曲は、映画俳優であるTyrese Gibsonを間に、歌手であるTyreseとラッパーであるBlack-Tyを戦わせているのである。”Alter Ego”は唯一ペンと紙を使わずに書かれた曲である。「長いこと俺の内にあったものをぶちまけたんだ。一気に書き上げた。書き直したり、録音し直したりせずに一気にね。ストーリーが進んでいく内に詩が浮かんできたんだ。」

アルバムのファーストシングルはThe Undergroundによるプロデュースで、R&Bサイドの”One”、Hip-hopサイドからは"Get it in"でMethod Manをフィーチャーしているように、このアルバムは彼らの個人的な話と協力によって作られた。「このアルバムは経験として捉えないといけない。つまりは二重人格に見られることがあるってことさ。俺のR&Bアルバムを聴いて、まさか俺がRhyme(韻を)できるとは思わないだろうし、その逆もありえるだろう。」

Hip-hopサイドの録音プロセスは自然発生的で、才能ある人々が集まった。Snoop Dogg、The Game、Mannie Fresh、Kurupt やToo $hortなどがBlack-Tyのプロジェクトに参加してくれた。「彼らは何も聞かずに僕を信じてついてきてくれたんだ。」とBlack-Tyは言い、彼らのサポートは彼にとってこの上ない賞賛であった。



Frontline BoyzのJellyroll とDaliのプロデュースによる”Ghetto Dayz”は、Black-Tyの良き先輩であるKuruptとThe Gameとでレコーディングをした最初の曲である。「僕にとってKuruptが僕を信じていてくれたことにMCとして最も自信を感じたんだ。」。2001年のBaby Boyの収録以来の友人のSnoopは、Daliがプロデュースした曲でKuruptをフィーチャーしている”Roll The Dice”を聴いた次の瞬間に、彼の歌詞を録音しにオレンジ・カウンティー・スタジオに行った。「これは男の中の男のアルバムなんだ。R&B部分は女性向き。男の中の男となら、関係を持って、そいつの人生に同感できると思うんだ。傷つくことを恐れてはいないけど、Tyreseを完全に閉め出そうとしている訳ではないんだ。」彼の感傷的な部分は”Roses”からも伺える。

R&Bサイドでは、hip-hopでよく知られるLil Jonの”Turn Ya Out”というスローな一曲から彼の多芸多才ぶりを感じさせる。尊敬する友人であり、指導者でもあるR. KellyはTyreseに対して「よく(ここまで)来たな。」と迎えいれ、そして提供した曲はメロディックな”Hurry Up”であった。Trick Stewartは打ちこみが多くグルーヴィーな曲、”Lights On”を提供。Underdogsは”Come back to me Shawty” “It’s better to know” “One”などの楽曲を通して音楽による魔法見せ付けてくれる。

R&Bサイドが好きか、hip-hopサイドが好きかは別として、彼のビジョンははっきりしている。「歌全部が僕を表現してくれている。赤ちゃんみたいなものさ。現時点では、歌いたくないような曲は歌わなくていいから、自分にとって心地がよくて自信持って差し出せるものばかりだよ。曲それぞれが違う形で僕にとって意味のあるものなんだ・・・感情的にも創造的にもね。」

Michael Bay監督、Steven Spielbergがエグゼクティブ・プロデューサーを務め、2007年に公開されるアクション映画「Transformers」では、Tyrese Gibsonが俳優として活躍している。また、Watts財団での博愛的な活動、ツアーやレコーディング、シナリオライターなどが彼を多忙にさせている。

彼の創造やひらめきに動かされ、Black-Tyとも呼ばれている帽子好きなTyrese Gibsonは忠実な財団の名誉にもなるようにと、彼の才能や能力、そしてそのチャンスをフルにつかってよく働き、多忙なスケジュールをこなしている。「人生に感化されたんだ。僕は歌は書かないけど、自分の人生を書く。自分自身がモチベーションでもあり、毎日刺激されているんだ。『どんなに凄いことをやってのけたとしても、それは過ぎたことで、昨日のゲームから点数を取ることは出来ない。じゃあ今日はどうしようか?』というのが俺の座右の銘さ。」