赤尾美香さんによるライブ・レポート@ニューヨーク!!
2003.08.01
INFO
今年3月、South By South West(毎年テキサス州オースティンで開催される音楽コンヴェンション)でショウケースを観て以来、すっかりソーンズ病にかかってしまった私。そのソーンズがいよいよ全米ツアーに出るという。しかもザ・ジェイホークスとのカップリング…という情報を得ていても立ってもいられず、いざニューヨークへ。6月27、28日の両日、『アーヴィング・プラザ』で行なわれたライヴに足を運んだ。
最初にステージに登場したのはニュージーランド出身の新人女性シンガー・ソングライター、カーラ・ワーナー。アコースティック・ギターを抱えフォーキーな演奏を聴かせる彼女だけど、その歌声は素朴な佇まいの中に深い情感を感じさせる。特に2日目のショウは、前夜よりリラックスしたのか、観客とのコミュニケーションもスムーズで 彼女なりの世界を作ることに成功していたように思う。ちなみに彼女をサポートしていたギタリストは、シンガー・ソングライターのジョニー・ポロンスキーで、彼のCDを愛聴していたことのある私には嬉しい驚き。
さて、ソーンズ。SXSWではアコースティック演奏のみだったが、この日はドラムス、ベース、キーボードを加えた計6人編成。ライヴ前の取材で聞いた話によると、バックの3人は、マシュー・スウィート、ピート・ドロージ、ショーン・マリンズ、それぞれのバック・バンドからひとりずつピックアップしてきたそうで、どこまでも民主的!?
オープニングは、「ザ・ソーンズ」。バンド名と同じタイトルのこの曲はアルバムの中でもとりわけ軽快に弾むリズムが印象的だが、賑々しいオープニングにはピッタリだ。第一声からいきなり聞かせるハーモニーもバッチリで、胸がワクワクしてくる。「僕たちの声が混ざり合うのを聴くのは僕自身楽しいし、時には『魔法みたいだ!』と感じてしまうくらいなんだ」と話したショーンの素直な感動ぶりは、間違いなく観客にも伝染していく。 続く「ラナウェイ・フィーリング」と「ドラゴンフライ」でマシューが膝に乗せて奏でていたのは、アルバムでも使われているマーキソフォン(ハープの一種)だろう。そして4曲目に披露されたのは「アイ・キャント・リメンバー」。彼らをハーモニー・グループへと導くきっかけになった曲だ。3人の声が重なり合いながら広がっていくのを身体で感じながら、なんとものどかで幸せな気分に浸る。その後もアルバムからの曲を次々にバンドが一丸となって繰り出していくが、「ナウ・アイ・ノウ」だけはアコースティックで限りなくアカペラに近い雰囲気でしっとりまとめあげた。
「フル・バンドで演奏する方が、アルバムよりロック色が強くなるね。アルバムでは、ここまでロック色を強く出すことができなかったから」と話してくれたのはショーンだったが、彼のその言葉通りバンドを従えた彼らの演奏にはいい意味でのいなたい感じというか、生々しいロックの躍動感が備わっていた。さんざんアルバムを聴き込んだ身にとって、そのいなたさや躍動感は新鮮であり、ライヴならではの高揚感を誘うに充分だった。そしてピートの「アルバム・アレンジにおいては、ヴォーカル部分がとても重要な要素を占めているから、観客はヴォーカルを聴けば『ソーンズだ!』って感じることができるんだよね。ライヴでアレンジが変わっても、観客はしっかりついてきてくれるんだ」という発言にもおおいに納得。
初日、ソーンズのセットでは演奏されなかった「ブルー」は、ヘッドライナーを務めた「ブルー」本家であるジェイホークスがアンコールでプレイ。その時ステージ上には、ソーンズの3人とカーラも呼ばれ、この日の出演者全員でのセッションとなった。なんて貴重で素敵なセッション!と興奮したのは、私だけじゃなかっただろう。
残念ながら、2日目のショウでそのセッションは行なわれず、「だったら、ソーンズのステージでソーンズ・ヴァージョンの『ブルー』も聴きたかったよ」と思ったが、代わりにこの日のソーンズにはアンコールがあり(前座がアンコールをやるのは珍しい)、そこで彼らはスパニッシュで歌う曲を演ってみせた。エンジニア氏の話によれば「多分、アルバム用に彼らが書いた曲だと思うけど、僕もよく分からないよ」ということで、この曲が本当にオリジナルなのか、それともカヴァーなのかは定かでないが、アップで明るいその曲を演奏し歌う3人の姿はとても楽しげで、ラストを締めくくるにはもってこいなムードを会場中に振りまいていた。
10月にはオーストラリア・ツアーが決まっているというソーンズ。ぜひともここ日本まで足を伸ばしていただき、魔法みたいな生ハーモニーでたくさんの人を酔わせてもらいたい。
6月27日 セット・リスト
1.Thorns
2.Runaway Feeling
3.Dragonfly
4.I Can't Remember
5.Think It Over
6.Long Sweet Summer Night
7.No Blue Sky
8.Now I Know
9.I Told You
10.I Set The World On Fire
11.Among The Living
最初にステージに登場したのはニュージーランド出身の新人女性シンガー・ソングライター、カーラ・ワーナー。アコースティック・ギターを抱えフォーキーな演奏を聴かせる彼女だけど、その歌声は素朴な佇まいの中に深い情感を感じさせる。特に2日目のショウは、前夜よりリラックスしたのか、観客とのコミュニケーションもスムーズで 彼女なりの世界を作ることに成功していたように思う。ちなみに彼女をサポートしていたギタリストは、シンガー・ソングライターのジョニー・ポロンスキーで、彼のCDを愛聴していたことのある私には嬉しい驚き。
さて、ソーンズ。SXSWではアコースティック演奏のみだったが、この日はドラムス、ベース、キーボードを加えた計6人編成。ライヴ前の取材で聞いた話によると、バックの3人は、マシュー・スウィート、ピート・ドロージ、ショーン・マリンズ、それぞれのバック・バンドからひとりずつピックアップしてきたそうで、どこまでも民主的!?
オープニングは、「ザ・ソーンズ」。バンド名と同じタイトルのこの曲はアルバムの中でもとりわけ軽快に弾むリズムが印象的だが、賑々しいオープニングにはピッタリだ。第一声からいきなり聞かせるハーモニーもバッチリで、胸がワクワクしてくる。「僕たちの声が混ざり合うのを聴くのは僕自身楽しいし、時には『魔法みたいだ!』と感じてしまうくらいなんだ」と話したショーンの素直な感動ぶりは、間違いなく観客にも伝染していく。 続く「ラナウェイ・フィーリング」と「ドラゴンフライ」でマシューが膝に乗せて奏でていたのは、アルバムでも使われているマーキソフォン(ハープの一種)だろう。そして4曲目に披露されたのは「アイ・キャント・リメンバー」。彼らをハーモニー・グループへと導くきっかけになった曲だ。3人の声が重なり合いながら広がっていくのを身体で感じながら、なんとものどかで幸せな気分に浸る。その後もアルバムからの曲を次々にバンドが一丸となって繰り出していくが、「ナウ・アイ・ノウ」だけはアコースティックで限りなくアカペラに近い雰囲気でしっとりまとめあげた。
「フル・バンドで演奏する方が、アルバムよりロック色が強くなるね。アルバムでは、ここまでロック色を強く出すことができなかったから」と話してくれたのはショーンだったが、彼のその言葉通りバンドを従えた彼らの演奏にはいい意味でのいなたい感じというか、生々しいロックの躍動感が備わっていた。さんざんアルバムを聴き込んだ身にとって、そのいなたさや躍動感は新鮮であり、ライヴならではの高揚感を誘うに充分だった。そしてピートの「アルバム・アレンジにおいては、ヴォーカル部分がとても重要な要素を占めているから、観客はヴォーカルを聴けば『ソーンズだ!』って感じることができるんだよね。ライヴでアレンジが変わっても、観客はしっかりついてきてくれるんだ」という発言にもおおいに納得。
初日、ソーンズのセットでは演奏されなかった「ブルー」は、ヘッドライナーを務めた「ブルー」本家であるジェイホークスがアンコールでプレイ。その時ステージ上には、ソーンズの3人とカーラも呼ばれ、この日の出演者全員でのセッションとなった。なんて貴重で素敵なセッション!と興奮したのは、私だけじゃなかっただろう。
残念ながら、2日目のショウでそのセッションは行なわれず、「だったら、ソーンズのステージでソーンズ・ヴァージョンの『ブルー』も聴きたかったよ」と思ったが、代わりにこの日のソーンズにはアンコールがあり(前座がアンコールをやるのは珍しい)、そこで彼らはスパニッシュで歌う曲を演ってみせた。エンジニア氏の話によれば「多分、アルバム用に彼らが書いた曲だと思うけど、僕もよく分からないよ」ということで、この曲が本当にオリジナルなのか、それともカヴァーなのかは定かでないが、アップで明るいその曲を演奏し歌う3人の姿はとても楽しげで、ラストを締めくくるにはもってこいなムードを会場中に振りまいていた。
10月にはオーストラリア・ツアーが決まっているというソーンズ。ぜひともここ日本まで足を伸ばしていただき、魔法みたいな生ハーモニーでたくさんの人を酔わせてもらいたい。
6月27日 セット・リスト
1.Thorns
2.Runaway Feeling
3.Dragonfly
4.I Can't Remember
5.Think It Over
6.Long Sweet Summer Night
7.No Blue Sky
8.Now I Know
9.I Told You
10.I Set The World On Fire
11.Among The Living