THA LIKS

J−Ro、TashそしてE−Swiftからなるロス出身の3人組からなるTha Liksが3作目となる、耳の鼓膜が破れてしまうぐらい密度の濃いアルバム、Likwidationを発売した。1993年のKing Teeの”Got It Bad Y’all”からのデビュー以来、定評となった彼等のタイトな歌詞とするどいビートは、それに続いたフル・アルバム”Coast II Coast”や”21 & Over”にも強く現れていたが、時は1997年、彼等の目標は変わらないが、中身は変わっている。「この作品をバラエティのとんだものにしたかったんだ」とJ-Roは語る。「1作目と2作目を混ぜたような感じにしたんだ。バトル用の曲のみとか、ラジオ用の曲だけとかにはしたくなかったんだ。とにかくいろんなものを入れたかったんだ。」と彼は定例化しつつあるビートやリズムに対して反論する。Tash曰く、「2作目のアルバムを出した時に80万枚とかデカク売れなかったんだ。だから、今回のアルバムは違うものを皆が期待していたと思うよ。人によっては売れないといけないものだと思ってるのもいるからね。でも、そこで自分たちで考えてみたんだ。皆何が良かったのかなってね。1作目ではオールド・スクールのブレイクにラップを載せたのがウケたんだ。だから、それは必要だなと。2作目では歌詞がウケたから、歌詞も重要だとね。それで、皆が欲しがっているものを提供しないといけないって事になったんだ。」と彼は続ける。「皆が期待しているものの更に上をいかないといけないんだよね。一生に一回しかないものだし。昔と同じものを作っても皆は納得しないよ。だからこの作品はまったく違うものにしたんだ。」新人発掘や、アルバムのレコーディングの他にLiksは様々な活動をしている。Likwit Entertainmentという会社を運営しているが、近い将来Likwit Recordsというレーベルを立ち上げ、彼等が見いだした素晴らしい新人達を世に送り出すことになるだろう。「会社を運営するのに多額の資金が必要なんだ」とJ-Roは語る。「今は、俺達の名前が付いた物、それがLikwit Crew, Likwit Entertainment, Likwit Recordであろうと、クオリティを意味するものである事を打ち出していくことに専念してるんだ。」とTash。個々の活動は、一体となった時に更なる飛躍ができるべき事をしている。例をあげると、J-Roはスポーツ好きというのもあり、ロスのThe Beat(92.3)というラジオ局で毎週金曜の夜にLikwit Sportsという名のミックス・ショーをやっている。この番組内で、Liksのビートにのせて、スポーツ競技ニュースや、地元高校、大学の選手からプロのスポーツ選手のインタビュー等を流している。定評のある番組は現在全国ネット進出を狙っている。この番組は、業界誌であるHits誌でも読む事ができる。J-Roは更にこの夏地元の学校で、ヒップホップ文化の現状を子供達に教える予定になっている。Tashは現在98年発売予定のソロ・アルバムにとりかかっている。E-Swiftはプロデューサーとしてひっぱりダコになっており、Liksの3作目の制作をしながらも、同レーベルに所属するXzibitのソロ・アルバム”At the speed of life”や、Helta Skeltahの大ヒット曲”Operation Lockdown”、King Teeの前作にも関わっている。音楽について語るとE-Swiftの表情が変わる。「自分のビートに特に変な事はなくて、単に音楽を作る事が生き甲斐なんだ。グループとしては、次のレベルへ行くべく音楽と歌詞を作ってるんだ。今はそれに専念するだけさ。」ファンであれば知っていると思うが、前作から2年もの歳月が経っている。もちろんその間はノンストップでツアーをしていた事も関係しているが。Liksが地元に来た時に見に行けなくても誰も責めはしないだろう。通常のラップ系ツアー以外に、96年のオルタナティヴ系ツアー”Warped”ツアーに参加した唯一のヒップ・ホップグループでもある。このツアーには他に311、Orange 9mm、Fishbone、Def Tone、Penny Wise、No EFX等が参加した。

今年、97年のワープツアーにも参加する予定だ。新作Likwidationでは彼等らしい音が聞ける。全14曲に加え、AA(Alkaholics Annonymus=断酒会)ミーティングというセッティングのスキット(コントのようなもの)がちりばめられている。