ヨーロッパが絶賛した世界最高のコンビによる、究極のシュトラウス~パーヴォとN響によるR.シュトラウス「交響詩チクルス」第3弾は「ツァラトゥストラはかく語りき」と「メタモルフォーゼン」~8月23日発売!
R.シュトラウス:交響詩チクルス[3]
ツァラトゥストラはかく語りき|メタモルフォーゼン
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)NHK交響楽団
Richard Strauss: Also sprach Zarathustra | Metamorphosen
Paavo Järvi | NHK Symphony Orchestra, Tokyo
■品番:SICC10219 ■定価¥3,000+税
■SA-CDハイブリッドディスク 2ch + 5.1 Multi ■DSDレコーディング
ヨーロッパが絶賛した世界最高のコンビによる、究極のシュトラウス。
R.シュトラウス:ツァラトゥストラはかく語りき&メタモルフォーゼン
Sony Music Japan Internationalさんの投稿 2017年6月27日
■ヨーロッパのメディアが絶賛したパーヴォ・ヤルヴィ&N響の凄さ■
2017年2月~3月のヨーロッパ公演ではその充実度がウィーン・フィルやベルリン・フィルになぞらえられるなど、本場での評価を確かなものにしたパーヴォ・ヤルヴィ&NHK交響楽団。マーラーの交響曲第6番「悲劇的」とショスタコーヴィチの交響曲第10番をメインのプログラムに据え、ベルリン→パリ→アムステルダム→ロンドン→ウィーン→ケルンなど、ヨーロッパ音楽の中心地をことごとく制覇し、各メディアで絶賛を勝ち取りました。
「ダイレクトで暴力的ともいえるような両極の衝突・・・素晴らしく劇的」(英タイムズ紙)
「ヤルヴィの颯爽としたアプローチが成功・・・持てる力を完全放出」(英ガーディアン紙)
「ヤルヴィの才能が余すところなく発揮・・・持てる結束力の限りを尽くして作品に挑む」(独ターゲスシュピーゲル紙)
「N響が熱い名人芸でショスタコーヴィチを披露・・・ 弦楽器はウィーン・フィルの輝き、ヴィオラはベルリン・フィルさながら」(蘭デ・ヴォルクスクラント紙)
「非常に正確で輪郭が明瞭・・・日本有数のオーケストラが最大限の開放性と透過性」(独ケルニシェ・ルンドシャウ紙)
「まぐれもなく国際的にトップクラスのアンサンブル」(襖クーリエ紙)
パーヴォ・ヤルヴィもヨーロッパ公演についてのインタビューで、 「なぜNHK交響楽団が世界のトップ・オーケストラの列に数えられていないのでしょうか?常に名前があるオーケストラといえばベルリン、アムステルダム、ウィーン・・・・・。しかし私は掛け値なしに、彼ら(N響)をトップ・ファイヴに位置付けたいと思うのですよ」(イギリスの総合芸術系ウェブサイトThe Art Deskへのインタビューより)と語り、N響との共演の積み重ねに大きな手ごたえを感じていることを熱く表明しています。
■反響を呼ぶシュトラウスの交響詩チクルス第3弾■
このコンビによる録音プロジェクト「R.シュトラウス:交響詩チクルス」は、第2弾の「ドン・キホーテ、ティル・オイレンシュピーゲル&ばらの騎士」が2016年度レコード・アカデミー賞の栄誉に輝き、さらに第1弾の「英雄の生涯&ドン・ファン」はイギリスの権威ある音楽誌「BBC MUSIC MAGAZINE」の「DISC OF THE MONTH(今月の1枚)」に選定されるなど、日本のみならず世界で大きな反響を巻き起こしています。その大きな成功を受けてリリースされる待望の第3弾は、2016年2月、サントリーホールでのライヴ・レコーディングです。キューブリックの映画『2001年宇宙の旅』に印象的に使われたことで一躍有名になった「ツァラトゥストラはかく語りき」、それに第2次大戦末期のドイツの敗戦が濃厚な時期に作曲された弦楽のための「メタモルフォーゼン」という対照的な2曲を組み合わせています。
■4管編成の「ツァラトゥストラ」と弦楽合奏による「メタモルフォーゼン」の強いコントラスト■
「ツァラトゥストラはかく語りき」はニーチェの同名の著作を下敷きに、オルガンを含む4管編成の大オーケストラで描く一大音楽絵巻。N響がパーヴォの緻密かつ大胆な指揮のもと、完璧無類なソロと精密なアンサンブルを擁するN響が、圧倒的な鮮明度で音楽のダイナミズムを描き出しています。一方「メタモルフォーゼン」では、ソノリティ豊かなN響の弦楽パート(カラヤンに倣って一部ダブらせています)をしなやかに歌わせ、作品に込められた作曲者の諦念やノスタルジーを含む深く複雑な想念を聴く者に伝えてくれます。豊かな音響を誇るサントリーホールに満ち溢れるダイナミックな響きを余すところなく捉えたDSDレコーディング。いずれもパーヴォ・ヤルヴィにとっての初録音。充実のライナーノーツは青山学院大学文学部教授でシュトラウス研究で著名な広瀬大介氏執筆のほかパーヴォ自身のコメントも掲載。
2016年2月18日、サントリーホールでの「ツァラトゥストラ」の演奏。弦楽パートは対抗配置でシュトラウス独自のオーケストレーションの魅力を表出。
Photo: NHKSO
■収録曲
R.シュトラウス
交響詩 「ツァラトゥストラはかく語りき」 作品30 (1896)
1 導入部
2 現生に背を向ける人々について
3 大いなる憧れについて
4 歓喜と情熱について
5 墓場の歌
6 学問について
7 病より癒えゆく者
8 舞踏の歌
9 夜のさすらい人の歌
10 メタモルフォーゼン(23の独奏弦楽器のための習作) (1945)
パーヴォ・ヤルヴィ 指揮 NHK交響楽団
[録音]2016年2月17日&18日、サントリーホールでの定期公演 Bプログラムでのライヴ・レコーディング
DSDレコーディング/SA-CDハイブリッドディスク 2ch + 5.1 Multi
パーヴォ・ヤルヴィ、N響とのシュトラウス・交響詩チクルスを語る
◎NHK交響楽団との録音プロジェクト◎
N響との録音プロジェクトを考えていた時、まず考えたのは、N響にとって近しい関係にある作品を選ばなくては、つまりN響が音楽を愛し熟知している作曲家を選ばなくては、ということでした。同時に、それらは私自身が愛している作曲家であり、これまでに演奏経験がある作品であるべきだ、とも思ったわけです。数多くの作品をリストにあげてみて、R.シュトラウスこそがこれらの条件にぴったり合うのだということを発見したのです。何と言ってもN響はシュトラウスの作品と真の意味で相性が良いのです。N響とはさまざまな作品を演奏してきていますが、ブルックナーやマーラー、そしてR.シュトトラウスなどのロマン派の音楽を演奏する時、ここがホームグランドなんだな、ということを強く感じます。N響の団員にはドイツで学んだ音楽家も多くいますし、ドイツ音楽に(あえてこういう言葉を使いますが)「崇拝の念」を抱いていると言ってもいいでしょう。N響がこれまで共演を重ねてきた指揮者にはドイツ系の音楽家が多く、中でも特に私が名前を挙げておきたいのは、R.シュトラウスの作品の解釈で一家言を持っていたヴォルフガング・サヴァリッシュです。
こうしたドイツ・ロマン派に対するN響の相性の良さは最初から感じていましたが、実際にシュトラウスの作品を演奏してみて、私の判断が正しかったことがよくわかりました。成功の要因は、いくつかあげられますが、まずはシュトラウス作品に対する相性の良さ、そして第2にはスコアに書かれた全ての音をその通りに弾くことが出来るという演奏技術の高さがあります。実際シュトラウスのオーケストラ曲は非常に複雑で技術的な難所も多いのです。もちろん並みのオーケストラが演奏しても何とかなるのですが、本当に高いレヴェルやクオリティを実現するためには、第1級のオーケストラが必要です。そしてN響こそはそれを可能にする第1級のオーケストラなのです。技術面では、シュトラウスの作品を自家薬籠中のものとしているし、N響自体がシュトラウスを好んでいるのです。私に言わせれば、この時点で50%の成功は約束されたと言っても過言ではないです。
◎7つのシュトラウス作品◎
N響と録音した3枚に含まれるシュトラウスの7作品を選んだのは私のごく個人的な判断によっています。これらの作品はみな、私が最も愛着を持つシュトラウスの音楽だからです。オペラを除き、シュトラウスのオーケストラ曲のことを考えると、ベートーヴェンの交響曲のようには、どれもが最高のクオリティというわけではないのは事実です。
この7曲のうち、おそらく「メタモルフォーゼン」と「ツァラトゥストラはかく語りき」以外は、滑稽で表面的な人物を描いた作品といえるのではないでしょうか。私はシュトラウスの最上の作品は、このようなキャラクターを持つ人物を音で精緻に描いたものだと思っています。それぞれの人物の行動や性格が精密な筆致で描き出されています。こうした作品を演奏させたなら、N響はピカイチですよ。
3枚のディスクのカップリングはそれぞれ理由があります。1枚の中で関連性があり、それぞれがぴったりくる組み合わせなのですよ。最も重厚で深い内容を持つのは「ツァラトゥストラ」と「メタモルフォーゼン」が含まれた3枚目ですが、その共通する作品の性格ゆえに1枚にしたわけです。 この2曲については、タイトルや構成など作品について一通り学んで頭に入れた後、私はそれらを頭の中から追い出します。私にとっては、そうした知識があっても作品をよりよく理解し、演奏の質を向上することにはつながらないな、と思うからです。どのようなインスピレーションを受け、どのような動機や理由で書かれたとしても、大切なのはそれを知ることではなく、この2曲が音楽的に桁外れに優れている、ということなのです。ただその点だけで、これら2曲を演奏する理由になりますよ。シュトラウスの政治的信条はどうだったのか、とか「メタモルフォーゼン」はヒットラーに捧げられたのではないか、というような議論は、私にとっては全く無意味なことのように思えます。
◎巨大な室内楽のような「メタモルフォーゼン」◎
「メタモルフォーゼン」は、巨大な室内楽的作品であるという点がとても風変わりです。23人からなる弦楽オーケストラのために書かれているだけでなく、それぞれが独立したパートとして書かれ、重要な意味合いを与えられています。補強された大きな弦楽四重奏とでも言うべきかもしれません。なぜそのような編成のために書いたかは、もしかすると実用的な側面もあったかもしれないですが、私にとって重要なのは別の側面です。この曲の終りにベートーヴェンの「英雄」交響曲の第2楽章「葬送行進曲」が引用されます。作品全体を覆う諦念、失われてしまった何か、今はもう存在しない世界に対する嘆息を感じずにはおれません。しかし、先ほどもお話したように、この曲は爆撃を受けて壊滅したドレスデンを思って書かれたんだ、とか、ヒットラーの死をテーマにしたんだ、というようなことは私にとっては重要でないのです。優れた芸術作品は、優れているというだけで存在価値がある。政治的な状況とは関連付けたくない。そうしたことを考えていると、ショスタコーヴィチの交響曲をはじめとする数多くの作品を演奏することが出来なくなってしまう。「メタモルフォーゼン」は音楽作品として極めて優れている、ただそれだけです。
カラヤンは「メタモルフォーゼン」で弦楽奏者をダブらせて演奏していました。これはシュトラウス自身が承認していたと聞いたことがあります。これはとても興味深いアプローチだと思い、今回のN響との演奏ではそのやり方を採用しました。 この3枚のシュトラウス・チクルスを続けて聴くと、まず1枚目で気付くのは、N響の演奏の素晴らしさです。2枚目で大きな感銘を受け、3枚目でさらにそれが増幅されるわけです。幸運なことに、私たちの演奏が深化していくさまが音として克明に記録されています。3枚目の「ツァラトゥストラ」と「メタモルフォーゼン」では、最初の2枚以上に演奏に深みが出て、クオリティも高く、作品への理解がさらに深まっています。N響との3枚のシュトラウスのCDは私の誇りです。 (2016年9月、東京にて)
2016年2月18日、サントリーホールでのプログラム冒頭の「メタモルフォーゼン」。23のパートが独立したパートで書かれていることを考慮し、コントラバスを中央奥に置く独自の配置を敢行。部分的にパートをダブらせていることがわかる。
Photo: NHKSO