パーヴォ2016、来日記念連続リリース第2弾は、N響定期公演でも披露するブルックナーの交響曲第2番!フランクフルト放送響とのチクルス折り返し地点にして、早くもそのブルックナー解釈の深化を見せる!!9月21日大幅日本先行発売!!
あらゆるフレージングとリズムの徹底的な明晰化。
21世紀へと継承されたブルックナー演奏の伝統の深化が刻まれる。
パーヴォ・ヤルヴィ&フランクフルト放送響/ブルックナー:交響曲全集 VOL.6
ブルックナー:交響曲第2番
パーヴォ・ヤルヴィ&フランクフルト放送響
Bruckner: Symphony No.2|Paavo Järvi & Frankfurt Radio Symphony Orchestra
■2016年9月21日発売 ■品番:SICC-10218 1CD
■ハイブリッドディスク / DSD Recording SACD Multi: 5.1 channel | SACD Stereo | CD Audio: DDD STEREO
■定価¥2,800+税 ■レーベル:RCA Red Seal
■パーヴォ・ヤルヴィとフランクフルト放送響とのブルックナー・チクルス第6弾は、ブルックナー48歳の時に完成された初期の傑作、交響曲第2番ハ短調。作曲順としては4曲目の交響曲でしたが、番号を付けたのはこれが2番目。後期作品を思わせる森羅万象の鳴動を思わせる深みを持ち、特に第2楽章アンダンテの息の長い旋律の美しさは格別。キャラガン校訂の第2稿を使用して(ただし第2楽章最後のクラリネットはホルンに変更)、フレージングとリズムを徹底的に明晰にしてゆくパーヴォの緻密なアプローチは、この交響曲の立ち位置を明確にする様々な発見に満ちています。
■ 2016年9月来日時には、9/24と/9/25の2度のN響定期で演奏予定です。
NHK交響楽団 第1842回 定期公演 Aプログラム
2016年9月24日(土) 6:00pm NHKホール
2016年9月25日(日) 3:00pm NHKホール
ピアノ:ラルス・フォークト
モーツァルト/ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595
ブルックナー/交響曲 第2番 ハ短調
http://www.nhkso.or.jp/concert/concert_detail.php?id=549
http://www.nhkso.or.jp/concert/concert_detail.php?id=550
『第1楽章冒頭の“ブルックナー開始”でまず耳にとまるのは、瑞々しくも豊かなカンタービレをたたえながら連なる歌の流れだ。チェロのメロディーラインはmfの音量指定どおりにキッチリと鳴らし込まれ、クレッシェンドとデクレッシェンドが克明に生かされる。その背景をなす、1小節の半分を6連符に分割して第1・第2ヴァイオリンとヴィオラが刻む音形も、ビート感を硬直化させることなく、絶えず推進力に富む。しなやかにして明晰なブルックナーという、ヤルヴィとフランクフルト放送交響楽団が提示する、新鮮にして説得力に満ちた作曲家像を端的に示す瞬間だ。』―――木幡一誠(ライナーノーツより)
■曲目 アントン・ブルックナー
ANTON BRUCKNER | 1824–1896
交響曲第2番ハ短調WAB102[1877年第2稿(ノーヴァク~キャラガン版)]
SYMPHONY NO. 2 IN C MINOR WAB102 | 1872/77 [Ed.: Leopold Nowak/William Carragan]
1 I. Moderato 16:41
2 II. Andante. Feierlich, etwas bewegt 17:05
3 III. Scherzo. Mäßig schnell – Trio – Scherzo 6:28
4 IV. Finale. Mehr schnell 15:44
Total Time: 56:02
フランクフルト放送交響楽団
Frankfurt Radio Symphony
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
Paavo Järvi
[録音]2011年3月30日、31日&4月1日、フランクフルト、アルテ・オーパーでのライヴ・レコーディング
[レコーディング・プロデューサー]クリストフ・クラーセン
[サウンド・エンジニア&ステレオ・ミキシング]トーマス・エシュラー
[マルチ・ミキシング]クリストファー・クラーセン、トーマス・エシュラー
[DSDマスタリング/SA-CDオーサリング]24-96 Mastering(カールスルーエ) http://24-96.com/
■パーヴォ・ヤルヴィ、ブルックナー:交響曲第2番を語る
私にとってブルックナーの「第2」は、彼の初期交響曲として愛すべき存在というだけでなく、まぎれもなく偉大な作品である。これに先立つ2つのシンフォニーよりも叙情味と歌謡性の深さを増しているのだ。交響曲第1番(1866)や“0番”(1869)と並んで、彼が交響曲作家として円熟境を迎える以前の所産には違いなく、メンデルスゾーンに通じるロマンティックなキャラクターも大きな特徴をなしている。しかしあえて言えば、「第2」とそれ以降の交響曲の間にスタイル的なギャップを私は感じない。既に固有の語法が確立しており、彼のシンフォニックな世界が深化を遂げる過程がその視野の中に見据えられているのだ。
ブルックナーが初めてベートーヴェン的な発想を頭に抱きながら書き上げた交響曲が「第2」だと私はとらえている。第1楽章の冒頭でチェロによって提示される主題には「英雄」のエコーを聴き取らずにはいられない。それに続いて耳にとまる音使いの実に多くが、ベートーヴェンの作曲技法に源をたどれるように思う。 その一方、「第2」は彼が初めてポルカという舞曲形式を導入した交響曲にもあたる。より後期の作品では頻繁に耳にとまる要素だが、ここではそれがテクスチュアの背後に秘められながらも、明らかにいくつかのパッセージにおいて、内在するパルスとして舞踏のリズムを響かせているのだ。
もう1つのユニークな側面が、ブルックナーが1867年から翌年にかけて作曲し、この交響曲と同時期に改訂作業を行なったヘ短調ミサからの引用である。第2楽章では「ベネディクトゥス」、そしてフィナーレでは「キリエ」に基づく楽句が耳にとまる。ブルックナーがなぜ引用を行なったのかは詳らかでないが、仮にスピリチュアルな理由でなかったとしても、何かしらの構成的な意図が介在していたことに疑いはない。上記の引用を含む一連のくだりは、この交響曲でも私が特に魅力を覚えるものであり、深く心を揺さぶる、極めて個人的な感情に染まった場面である。 今回のレコーディングでは1877年版(ノーヴァク/キャラガン校訂版)を用いているが、第2楽章の終結部に関しては1872年版の楽器法を採択した。最後をしめくくるソロは、1877年版で用いられたクラリネットではなくホルンに委ねられており、それがオーセンティックな形だと私は考えている。 [訳:木幡一誠]