Mirwais はそのシュールな世界のなかで、典型的なパリジャンの魅力とスタイルを持った数多のエレクトロニック・サウンドを創り出し、目にもショッキングな性的妄想のフィルムを製作する。フランスのアーティストの例に漏れず、彼も自らの海外進出について哲学的な態度をとっている:



「音楽に関わる人間には二種類ある。ある特定の音楽様式を好んでそれを追究しようとする者たちと、実験したがる者たち。新たなシーンはそれぞれが体制であり、僕はどれかひとつのシーンに属したくはない。何かもっと違ったことがしたいんだ」  それならMirwais のファースト・シングル、"Disco Science" は、キーボードと泣きのギターの淫らなごった混ぜということになる。更にそのギターときたら、最もダーティだった頃のダフト・パンクさながらの潰れた音で、しかも遙かにゆっくりなBPM でグルーヴしている。

「ハウス・クラブでのダンス用としては確かに普通のスピードじゃないね」と Mirwais は解説する。「70年代後半のディスコのテンポを取り入れているんだ」 Mirwais がこのトラックのリミックスにディスコの帝王、神様とも言える存在のジョルジオ・モローダを引っ張り出したのもそのためだ。この二人組は、過去からくすねてきたものを未来へと忍び込ませる、2000年のためのミュータント・ダンスフロア・クラシックを創り出した。まあ、ドナ・サマー好きの元パンクにこれ以上何を期待できるだろう?



それでは、最初から話を始めると…



イタリア人の母とアフガニスタン人の父のもと、スイスで生まれた Mirwais Ahmadzai は、6才でパリに移った。その6年後、ジミ・ヘンドリックスとストーンズにインスピレーションを受け、ギターを始める。やがて、パンク・ムーヴメントが始まる。「ティーンエイジャーにとって70年代後半は、ディスコとパンクが奇妙に入り交じっていたんだ。その全部を好きになっても構わなかったのさ」と Mirwais は主張する。というわけで17才の時、ストゥージズとクラフトワーク両方のファンでありながら、自分たちの音楽に「ディスコのエネルギー」もとり込みたいという同じような考えの同年代の仲間たちとバンドを結成。できたのは、「シンセサイザーを多用して」エレクトロニック・ポップ・ミュージックで冒険するTaxi Girlという将来有望なフレンチ・バンドだった。因みにMirwais のパートは、リード・ギター。



Taxi Girl 時代を Mirwais は、ドラマーがそれで死んでしまうほど酷かった薬物中毒に足を引っ張られ通しの悪夢の8年間だったと振り返る。「とても悲劇的なバンドだったよ」

それでも彼らはいまだに、フレンチ・シーンの寵児たちからその「自由な」姿勢に影響を受けたバンドとして頻繁に名前を挙げられる。「稼ごうと思って音楽ビジネスに入ったわけじゃないんだ」とMirwais は強調する。「フランスではずいぶんたくさんシングルを売ったけれど、自分たちは何もコントロールしていなかったよ」



Taxi Girl とパリのクリエイターたちとの交流の中で、Mirwais はファッショナブルなフランス人写真家、Stephane Sednaouiとの友情を築いた。あからさまにセクシャルな "Disco Science" のためのエロティックなビデオの製作を、Mirwais が彼に依頼したのは当然だろう。いつもながらの「知るかよそんなこと」的態度のなかにも、Mirwais がビデオの出来に満足していることが窺える。「アートとポルノグラフィーの興味深いミックスだよ」 放映禁止になる可能性が大だとしても…「もっと過激にいきたかった」けれど、Stephane が用意したモデルたちが二の足を踏んだということは、彼も認めている。



Mirwais のデビュー・アルバムは、恋人のJuliette と組んだアコースティックのユニット、"Juliette et les independants" で、10年間にわたる活動の末に発表された。「僕たちの音楽はとてもメロディックだったけれど、フランスではあまり聴いてくれる人がいなかったんだ。ここではみんなセリーヌ・ディオンとかの方がいいのさ」 1994年、ハウスと初期のジャングルの「信じられないほどのエネルギー」と「レコードを作るのに金はいらない」という事実に触発され、Mirwais は、また古巣のジャンルに戻ってプロデュースを手がけ始めた。彼自身のマテリアルは、つい最近メジャー・レーベルの元重役3人が発足させた Le Tone を擁する Na_ve レーベルが発表の場となっている。現在のところまだタイトルの付けられていない自分のアルバムでのMirwaisは、かつてフレンチ・アンダーグラウンドの音楽業界でならした者だけに可能なやり方で "Disco Science" のフォーミュラを演奏し、ギターバリバリのエレクトロニック・ポップを聴かせている。



「フランスでは、周辺文化はメジャーじゃないんだ」というのが Mirwaisの説だ。「イギリスやアメリカでは、周辺的でありながらポピュラーになることも可能だけれど、フランスでは無理なんだ。ここじゃ、認知されるのは死んだ後か、10年20年たってからなんだ。Taxi Girl だって、終わってからやっと認知され始めた。時間がかかるんだ」



Mirwais にとって、その時がようやくきたようだ。"Disco Science" の DAT がStephane を通じてマドンナのレーベル、Maverick に渡り、その結果、Mirwais は現在彼女のニュー・アルバムの中の数トラックをプロデュースしている。ウィリアム・オービットの復活が何らかの基準になるのなら、39才のMirwaisは、ようやく成熟を見ようとしていると言えよう。





Madonna's New French Accent



この39才になる元Taxi Girlのメンバーは昨年末にマドンナのレーベルMaverick Recordsに自分のアルバムを売り込むためコンタクトをとりました。マドンナのマネージャー、Caresse Normanによると、「彼は4曲入りのデモをMaverickに送ってきたのよ。マドンナはそれを聴いていっぺんにはまっちゃった。2週間後2人は同じスタジオに入っていたわ」とのこと。



別に前作"Ray of Light"や"Austin Powers"のシングル'Beautiful Stranger'をco-produceしたWilliam Orbitを避けているわけではありません。実際William Orbitも新譜用に3曲プロデュースしましたが、自身の活動にも忙しいようです。マドンナはマネージャー曰く:ひとつのスタイルにずっと落ち着いているタイプじゃないでしょ。



彼女が言うに、「(彼が関わることで)"Ray of Light"をネクスト・レベルにもっていってくれるはず。前作ほどエレクトロニクスよりではないの。ファンキーでポップなエッジが効いているっていうのかしら。個人的にも何度聴いてもあきがこないのよ。泣けてくる曲も1曲あるしね」



マドンナがどれくらいMirwaisを気に入っているか?プロデューサーとして採用するに止まらず彼をアーティストとしてMaverickにサインし、一緒に1曲やってもいる。この曲はマドンナのアルバム、及び北米以外では4/18に発売されるMirwaisのアルバムに収録されています。