(株)ディスクユニオン 営業部 ジャズ担当 西川 哲朗

マイルスのトランペットがフロント・スピーカー右側から、非常に分厚く芯のある音に圧倒される。
リア・スピーカー左側からトランペットのエコーがかったサウンドが跳ね返りスペイシーな雰囲気を醸し出す。
宙を舞うショーターのソプラノ、ベニー・モウピンのうねり狂うバス・クラ、マクラフリンのエッジの効いたギター、ポリリズミックでグルーブ感溢れるサウンドはまるで演奏者に取り囲まれているかのよう。
聴くまでは2チャンネル再生で十分かと思っておりましたが甘かった。現代のテクノロジーで蘇ったクアドラフォニック。素晴らしい!!

星光堂マーケティング 今井 研作

これはまったくの新作だ。
今まで聞いてたBitches Brewは鑑賞であり、今回のBitches Brewは体感だ。
まさにDon’t think! feel !

タワーレコード株式会社 Jazzバイヤー馬場 雅之

マイルスのトランペットにより四方を“完全包囲”され、生々しいほどのエレクトリック・ジャズ・サウンド、土着的でファンクなリズムを浴びせられる衝撃。時空を超えてリアル体験する『ビッチェズ・ブリュー』です。

銀座山野楽器本店 ジャズフロア神尾 孝弥

クアドラフォニックって2chが倍になったんでしょ、と思ったら大違い。
録音スタジオのド真ん中で演奏を聴いている感じ・・これも違う。
マイルスのトランペットが空中でとぐろを巻き、ドラムのハイハットが、左前→右前→右後→左後と動いてきた。
約半世紀前にこんな音作りをしていたことに驚くし、それをSACD 4chで現代に蘇らせたのもすごい。
マイルス自身も、初めてこのクアドラフォニック盤を聴いたときは驚いたのではないでしょうか?
感動の音体験でした。

シンコー・ミュージック 書籍編集ルーム荒野政寿

スタジオ内のピンと張り詰めた空気。『スーパー・セッション』のハーヴィー・ブルックスが様子を探るように、慎重に描くグルーヴ。記憶の数割増しで腹に来るベニー・モウピンの存在感。ドラマー2名のコントラスト。油彩画のように感じていた『ビッチェズ・ブリュー』が立体となって立ち上がり、細部までその姿を見せつつ、しかも大胆に動いてしまう。クアドラフォニックの先にあったかもしれない「また別の」未来についても夢想せずにいられなくなる、ショッキングなリスニング体験をご家庭でも是非。

原 雅明 (解説より)

この4chミックスは『ビッチェズ・ブリュー』のみならず、エレクトリック・マイルスに潜在していたものを明らかにするだろう

JAZZ JAPAN 編集長三森 隆文

中学1年の頃,洋楽人生にハマるキッカケとなる奴に出会った。裕福な彼の家には4チャンネル・ステレオがあった。「おーっ,サンタナのバンドに囲まれている,シアワセ!」…この感動から幾星霜。まさか耳タコの『ビッチェズ・ブリュー』が4chで帰ってくるとは思わなかった。背後から聞こえるジョン・マクラフリンの尖ったギター。2chのカオスではなく,4方からの音に包囲され責め立てられる快楽のカオス。回春的新発見悶絶作だ。

柳樂光隆(Jazz The New Chapter)

『アガルタ』『パンゲア』の時にテオ・マセロがパーカッションに直接アタッチメントをつけて音を録っていたという話をエンジニアの鈴木智雄さんがしてくれたことがある。テオが音響や空間への高い意識を持っていたことは『オン・ザ・コーナー』『イン・ア・サイレント・ウェイ』を聴けば一目瞭然だろう。このクアドラフォニック盤はそんなマイルスの音楽がいかに音響的だったかを他のどの作品よりも如実に教えてくれるものだ。『ビチェズ・ブリュー』のイメージだったポリリズムやエレクトリックなサウンドよりも、それぞれの音が時に生々しく、時に人工的に、前後左右上下の様々な場所で消えてはまた立ち上り、それらが動きながら、脳内世界を刺激し拡張していくことに意識が向かう。ピンクフロイドの『狂気』のようなトリップできる音像に終始驚くが、ジャケットを見ていると妙に納得してしまった。あのサイケデリックなアートワークの意味をこれほどまでに理解できたことは後に先にもない。クアドラフォニック盤には名盤が名盤である無数の理由のうちのひとつに、そして、あの名盤が持っていた可能性のひとつに出会える経験が閉じ込められている。

湯川れい子

47年目の今日。私のお腹の中で、噛みつくような眼をしたマイルスが、トランペットで無言の会話をしていた。総てを掌握したウェイン・ショーターが、チック・コリアが細やかに答え、考えられない緊迫感と脈動の中で、地図も海図もない世界を疾走するマイルス達が居た。私はやっと47年もかかって、マイルスの凄さに少しだけ追いついたのかも知れない。改めて聞いてよかった!!

野口久光(1970年発売時ライナーノーツより)

・・プラスティック・エイジ、エレクトリック・エイジといわれる20世紀後半,1970年代の生活感覚、人間感情を反映した新しいジャズ・サウンドとしてこの一作は大きな話題を投げることであろう。(略)このアルバム・ジャケットがまたなんとも素敵なのにもう一度びっくりした。マーティ・クラーワインという人の描いたイラストなのだが、これがまたことしのベスト・ジャケットとして評判になることであろう。

試聴会にご参加いただいた皆さまからのコメント(一部抜粋)

とてつもない緊張感、一音一音の気迫がすごい。マイルスが弾いていない時も、他のミュージシャンの音からマイルスの存在の大きさを感じる事ができる。貴重な音楽体験。

各プレイヤーの音がそれぞれの場所からクリアに立ち上がり重なりを見せていく様は圧巻といえる感覚でした。あらためてこの作品の奥深さ、本質に近づくことができる体験だと感じます。

実際そこにメンバーが存在していると錯覚します。瞑っていた目を数度開き、マイルスがここにいない事を確認してしまいました。

当時17歳の高校生だった僕は、70年のマイルスの来日公演は聴くことができたが、4chの再生環境は手に入らなかったので、48年を経て音が飛び交うのはとても楽しかった。

大音量で聴く4chマイルス最高です!

4ch初めての体験でした。音の奥行、楽器の一音一音初めて聴こえたものばかりでした。

プリンスからマイルスを知って聴き始めました。自宅のスピーカー(2ch)やヘッドフォンで聴くのと異なり、まさに360°から音が迫ってくるような、こんな経験は初めてです。
マイルスは「音楽を5回変えた」と何かで見たか読んだことがあります。それは真空状態(無)から有機的なものを作りあげたとも考えられます。・・・・プリンスの作品のなかに「クリスタル・ボール」という曲があります。約10分のファンクですが、もしも今日の音像をプリンスが体験したら歴史はもっと違っていたかもしれません。

Milesのトランペット、絶好調で美しく、力強かった。感覚にうったえるサウンド。
音に没頭して,気付いた時にはアルバム・カバーの大海原と宇宙空間を交互に彷徨っているような気がした。
大胆なミックス、チャンネル・アサイン。思いの外、乱暴で そこが非常にいい。

今まで聴いてきた「ビッチェズ・ブリュー」はなんだったのか?マイルス・デイビスが創り上げた真の「ビッチェズ・ブリュー」がここにある。
この幻の4chミックスは驚異の体験だ!

・・・半世紀も前のとてつもないミュージシャンたちの、とてつもないプレイの真っ只中に埋れられる喜びを噛み締めました・
このままこの会場に引き籠りとなって余生を過ごしたくなってしまった・・・。

これまで聴いていたものとは印象が違い、それぞれの楽器の音がとてもクリアに響く。

これが4chか、驚天動地の生々しい音像!
マイルスのトランペットが切れ込んできた瞬間、アドレナリンが噴出した。・・今日の体験を死ぬまで忘れない。

予想を超える定位移動に最初とまどいましたがそれも最後にはクセになり マイルスのエコー飛ばしとマクラフリンのギターの生々しさが最高でした。

マイルスのラッパが時代を超越して天上から降りてくるような体験でした。

密林の中で生命の気配に囲まれていると、突然現れる巨象のようなトランペットのいななきが脳天をつらぬき、残響が渦をまいておどり回る、その渦の中心にいる様な体験でした。

実際に会場で生演奏を聴いているようだった。微妙な音も感じとれた。

もの凄い迫力と圧倒される存在感。楽器 メンバーそれぞれの音と位置がはっきりと聴こえて最高でした。

「What You See is What You Get」
マイルスにこう言われた気がします。音が立体になったからこそ、見えないものが見えてきた気がしましたが、一番大事なのはありのままのマイルスを受け入れることですね。
リアルタイムでマイルスを聴き、あらためてこの作品に向き合うことができてよかったです。

・・息もつかせぬ音のせめぎ合いを見下すように空間を支配するトランペットの響き。「コントロールされたカオス」とでもいうべきサウンドを文字通り体感できた。
日常生活に音があふれる中で、音楽が「聞こえる」でなく「聴く」ことのよろこびを久しぶりに味わう事ができた。

10人超の大編成での各楽器の細かな音は 2chよりも当然よく聞こえるので面白いし、空間的な広がりは2chでは味わいようがない。
マルチch再生に向いた音楽は必ずしも多くはないが、ビッチェズ・ブリューはマルチchに向いた音楽だったのだと思う。

・・・各楽器のせめぎ合いが熱を帯びていく様子は聴いていて迫力あるものでした。

ロック90パーセントでほとんどJAZZは聞かないのですがこのLPはかなり以前から持っています。ロックしてますよね。・・カットンダジャケット、とんでもないタイトル・・・
これが40年以上前のものだとは信じられないです。4chは2chと別物でした・・これが発売当時あったのかと思うと信じられない。音をパンさせたり4chのための別MIXにビックリ。

全てが新曲に聴こえるぐらい新鮮だった!