共に音楽の胎動を感じ、穏やかな呼吸を繰り返す(那須田務氏/レコード芸術2014年10月号)
2014.09.23
INFO
「一言でいって安直なセンチメンタリズムや筋肉質なヴィルトゥオジティとは違うものだ。ピアノは弱音方向のデュナーミクや音色の階調に幅があり、弾き手の繊細な感受性が伺える。しなやかで優美なフレージングにオーケストラが寄り添い、共に音楽の胎動を感じ、穏やかな呼吸を繰り返すのだが、すべてが滑らかに研磨されているので、まるいフォルムをした二つの生命体のようだ。・・・チェロ・ソナタも協奏曲同様に新鮮な魅力にあふれている。技術的にはもちろんのこと、楽想のイメージや雰囲気がピタリと揃い、両者の音楽づくりには無駄がない。・・・これまでにない新しいラフマニノフ像とともに、河村尚子の新境地を示し得た充実の1枚だ。」