ホットワイアー
Hotwireと呼ばれるそのバンドが結成されたのは1999年、メンバーであるGabe GarciaとBrian Borgが、ジャム・セッションにRus Martinを招待したことがきっかけだった。そのセッションから手応えを感じた彼らはPunkやMetalといった音楽から必要なものだけを抜き取り、非常に明快で魅力的なヴァイオレント・サウンドを作り上げた。

「おれたちはノイズ・コア・バンドとしてメンバーに加わったんだ」ドラマーのBorgは語る。

「でもおれたちが演奏し始めるといつも、サウンドは意図したものとは反対方向へ動きだす。まるで音楽自身が生きているようにね」

 

今、最初のセッションで実験されたサウンドは、Hotwireのセルフタイトルがついた4曲入りのEPで耳にすることができる。Mudrock(Godsmack、Trik Turner、Powerman 5000)、Dave Jerden(Jane's Addiction, Alice In Chains, The Offspring)そしてMalcolm Springer(Full Devil Jacket, Sinch)らにプロデュースされたそのEPで、彼らが自身の新しい神話をクリエイトしていることがわかるはずだ。楽曲"Invisible"と"Nuero Girl"の邪悪なオープニングから、ネオ・パンク・ミュータントである"Tweaked"とトランスを誘発させるグルーヴの"Clone"まで、Hotwireは自暴自棄や偽善、LAの郊外(彼らの育った場所)という疎外感などを露わにし、音楽の境界線を押しあげている。



「これは過去と現在、そして未来を含んだおれたちのストーリーの概観なんだ」 シンガーのMartinはEPについて語る。

「進化の過程での初期のスナップショットだと思ってくれ」



 Hotwireの物語は、Southern Californiaの異種文化に溢れたNewbury ParkとThousand Oaksで始まった。永遠に続いているかのようなオートモールやショッピング・センター、そして非番の警官など、そのエリアにはナイトライフ・カルチャー以外のすべてがあった。退屈を紛らわすためにキッズたちはバンドを組み、即興で作ったステージで演奏する。LAの流行音楽シーンからは遠く離れ、Hotwireとライバル・バンドたち(Linkin Park、Incubus、Hoobastank、Home Town Hero、Onesidezero)は、彼ら自身のアンダーグラウンド・ミュージック・ムーヴメントをクリエイトする。それはサウンド同様、簡単なことではなかった。

「その場所にはすべてのものが広がっているが、みんなが集まったりぶらぶらしたりするところなんかひとつもなかった」 Garciaは言う。

「だからおれたちはアンダーグラウンド・ミュージック・シーンを作り上げた。いろんなバンドたちと仲良くしてこれたのはそれが理由さ。互いに、サポートの基盤を作ってきたんだ」

 最初から彼らは、これまで影響を受けてきた音楽に忠実であろうとした。「RockやMetalやPunkでおれたちは成長した」 とGarciaが言う。

「おれたちはMetallicaとSex Pistolsの大ファンなんだ。それにGuns n' RosesやSlayerも。そしておれたちはそれらすべてをひとつのサウンドに融合させることにトライした。時にはすごく奇妙な音になることもあるよ。だって必ずしも矛盾はしていないけれど、いろんな影響を一致させようとしているんだから」

 

フロントマンであり作詞を手がけるMartinは、一見陽気なSouthern California郊外にありながら、人生についてひっきりなしに書きつづけていた。やがて、トラブル続きだった幼年期と両親の離婚 Newbury Parkの退屈で無鉄砲なキッズたちのことなどに関する、超現実的な歌詞を引き剥がして行く。

「基本的に、ばらばらになっているものに関することだ」 彼は砕かれた感傷的な哲学について語る。

「離婚、裏切られた期待、友情や人間関係。おれにとって音楽はセラピーだ。だからおれはまわりで見たことを書く。多くの人々にとって、女のコのことを書くことは使い古されたことのように聞えるかもしれない。でもこういうことを書くおれには助けになるんだ。これがおれの生活さ」

 

Hotwireの爆発的なライヴは、初めから熱烈で忠実な崇拝者たちを作り上げた。Hoobastank、(hed)pe、Spineshank、Wu-Tang Clan、Kittie、Chimaira、Injectedらとのツアー・デートに加え、彼らはThe Roxyやthe TroubadourといったLAでシーンの中心をなすクラブに出演を重ねている。