フジロック・セットリスト各曲ごとの詳細レポート!

2018.07.30



「雲の動きは素早く、雨はあがらず」の一節が思い浮かび「どこにもいけない」気分になる位に不安定な天候の中、幸い雨が降る事はなく、未だ日が暮れきってはいない7月29日18時50分の定刻を少し早まる頃にステージは始まった。バンドが音合わせをしながら、いつものようにディランが演奏を開始する。これまでライヴハウスやホールでのステージをさんざん見てきた者にとって、気付くといつの間に始まった感が強かったのは、フェスティバルであるからこそのオープニングに慣れないからなのだろう。四方を囲む壁はなく、緑多き山々や見上げれば星が瞬く空があると観る方もジタバタしないものだ。

 

 

1       シングス・ハヴ・チェンジド

ディランはピアノ。いつものオープニング曲を軽く歌い始め淡々と歌詞をなぞるように歌う。声を抑え気味にしているのだろうか。途中でディランのピアノソロが入るが跳ねるような演奏だ。

 

2       悲しきベイブ

ディランはピアノ。久々の演奏だからだろう、歌い出しが聞こえにくかったが、後半にかけ特にサビ部分で盛上りをみせる。

 

3       追憶のハイウェイ61

ディランはピアノ。奔放に歌い始まりロックで自由な歌い振りながらもディランとバンドの全体の演奏がまとまってくる。後半のピアノ演奏は鍵盤をヒットしているかのようで、ノリが素晴らしい。

 

4       運命のひとひねり

歌詞の一語一語を大切にかみしめるように歌っているせいか、囁いているようにも聞こえた。ディランはピアノで、奇妙なメロディを奏でる。会場がいつしか薄暗くなり、照明が映えるようになってきた。

 

5       デューケイン・ホイッスル

ジャムの様な演奏で始まりディランは歌詞を投げ捨てる様に歌い進めるが、そのせいかグルーブが生まれバンドの演奏も高まりをみせる。この歌が全体の流れの中でこの順番で披露されるのは構成の妙だ。

 

6       マスターピース

久々のライヴでの演奏。ノーベル賞を受賞をしたからこそ取り上げたのかというこちらの勝手な思い込みを他所に淡々と歌い進んでいく。スティール・ギターとディランのピアノ演奏が絡み合うのだが、強風がやたらとディランの髪をあおっているのが気にかかる。

 

7       オネスト・ウイズ・ミー

切れ味よく歌い進む。ディランはピアノで、そのテンポ良い演奏がバンドを軽快に引っ張ってゆくようだ。

 

8       トライン・トゥ・ゲット・トゥ・ヘヴン

穏やかな感じのヴォーカルで曲に入りながらも、やがて自信に満ちた確固たる歌い振りに変わってゆくのを聴くと、ディランの歌の上手さを再認識する。ディランはピアノ。

 

9       くよくよするなよ

音合わせえの後のドラムの演奏をきっかけに、ささやく様に歌い始める。良く知られたサビを歌うと歓声が湧き上がる。カントリータッチの軽快なバンドの演奏にディランの積極的なピアノソロが絡む。

 

10    サンダー・オン・ザ・マウンテン

曲が始まったもののアレンジが大幅に変わっているので何の曲か解らなかった。テンポ良く展開しディランのピアノが曲を引っ張りギターが絡んでゆく。ピアノの演奏の後半で立ちあがったディラン、出来に満足したのだろう。

 

11    メイク・ユー・フィール・マイ・ラヴ

ディランはピアノで、ゆったりと一言一句をかみしめるように歌う。曲調に合うようには思えないのだが、ディランのハーモニカでこの歌を終える。

 

12    アーリー・ローマン・キングズ

ドスが効いて重たいビートが印象的なこの歌でディランはピアノ。アジる様な歌い方とそれに同調する様なバンド演奏により、曲をどんどんドラマチックに盛り上げてゆく。

 

13    廃墟の街 

お馴染の歌だけに一部の観客から歓声が上がる。強弱をつけて表現豊かに歌い進め、後半では素晴らしいマンドリンの演奏に呼応するかのように立ち上がってのピアノ演奏が、印象に残る。

 

14    ラヴ・シック

これまでのツアーで後半を盛り上げる、ライヴに欠かせない曲の一つだが、囁く様に歌い始めまろやかな印象で終えたのは、やはりディランならではの変容振りか。ディランはピアノ。

 

15    やせっぽちのバラッド

バンドメンバーが音を探るようにしながら曲が始まり淡々と言葉をかみしめるように歌は展開する。今夜のディランは最後まで丁寧に歌っている。ディランはピアノとハーモニカ、両手を広げるポーズがあった。

 

16    風に吹かれて 

ヴァイオリンとピアノの演奏が絡み合うようにして曲が始まる。やや長めのインストの後にディランが歌い始めると大歓声が起こり、この日のハイライトとなった。のびのびと歌う様は気持ちよさそうで、観ている方も開放的に。会場全体が一体感で包まれた瞬間だ。

 

 

最後はバンドメンバーとボブ・ディランが揃ってステージに並び、見得を切るように客席全体を見廻し一言も発せずステージを去ってゆく。こうして長らく待望したディランのフェスティバル出演は90分のステージで終えた。いつしか辺りは闇に包まれ、熱気だけがくすぶるように残っている。


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