沈黙を破ったボブ・ディランの名言。 英デイリー・テレグラフ紙に語った最新インタビューより。

2016.10.29



沈黙を破ったボブ・ディランの名言。
英デイリー・テレグラフ紙に語った最新インタビューより。

「100の悪い曲を書いてやっと1つの良い曲が書けるものだ。その過程は自分独りで進むもの。自分だけの運命の星を追いかけなければならないのさ」


2016年10月13日(木)「アメリカ伝統音楽にのせて 新しい詩の表現を創造した」として、ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディラン(75)が遂に沈黙を破った。11月5日から英ロンドンのハルシオン・ギャラリーで開催される自身の絵画展についての英デイリー・テレグラフ紙のインタビューの中で、ノーベル賞の受賞について「信じ難いことだ」、第一報を受けた時は「驚いたよ。すごいことだ。そんなことは誰も夢にも思わないだろう?」、授賞式に出席するかどうかについては「勿論さ。可能な限りね」と語った。また、これまで沈黙を守っていたことについては「でも、今はここにいるだろう?」と語り、それ以上は何も説明しなかったという。

 

このインタビューの最後で今後のことについて聞かれたところ、ボブ・ディランらしい「名言」でインタビューを締めた。

 

「やりたいことはたくさんある。インディアナポリスのサーキットでレーシングカーを運転してみたいし、NFLのフットボールの試合でフィールド・ゴールを決めてみたい。野球で時速100マイルの球を打ってみたい。でも自分の居るべきところはわきまえておかなければならない。自分の才能を超えたところに存在するものがあるかも知れないからね」

 

「やる価値のあるものというのは時間がかかるものだ。100の悪い曲を書いてやっと1つの良い曲が書けるものだ。それに、予期せぬ犠牲をたくさん払わなければならない。好もうと好まざろうと、その過程は自分独りで進むもの。自分だけの運命の星を追いかけなければならないのさ」

 

このインタビューではノーベル賞の件だけではなく、絵画展について、曲と絵画との関係、ビル・クリントン元大統領に贈った鉄製の作品についてなど幅広く語っている。

 

●ノーベル財団のサラ・ダニウスがディランの文学への貢献をホメーロスやサッポーといった古代ギリシャの作家たちになぞらえてコメントしたことについて
(ディランはいささか抵抗があるようである)

「確かにある意味そうかも知れないね。“ブラインド・ウィリー・マクテル”、“ホリス・ブラウンのバラッド”、“ジョーイー”、“はげしい雨が降る”、“ハリケーン”などは、間違いなくホメーロス的な価値観だと思う」

「(自分の歌詞が)何であるかを決めるのは他の人たちに任せるよ。学者たちは知っているだろうから。僕はあまりそうする立場にいないんだ。自分には何の意見もないよ」


●絵画について

「絵画にはあまりこだわりがないんだ(笑)僕のすべてではないからね」


●曲作りと絵画の関係について

「曲を書くことにはある程度の激しさが存在する。何故その曲を書くのか、誰のためなのか、何のためなのかを念頭に置いておかなければならない。絵画や映画はプロパガンダを目的として作ることができるけれど、曲はあり得ない」


●ハルシオン・ギャラリーでの絵画展について

「(今回アメリカの風景を取り上げたのは)私が一番良く知っている土地だし、ハルシオン・ギャラリーもそれを知っていたんだろうね。最初は人のいない風景画だけを頼まれたのでそうした。山、湖、川、野原みたいな景色だね。それからしばらくして、都市のファサードや橋、自動車、ストリート、劇場なんかも入れて、屋外にあるものなら何でもと言ってきた。自分では思いつかないね。親しみは感じるけれど」


●描かれているものについて

「様々な人々が、見たものから様々なものを読み取るものだ。すべては主観的なものさ」


●絵をいつ描くのか

「ただ描くだけだよ。自分の居るところならどこでも。スケッチブックはどこにでも持ち歩けるし、水彩絵の具は使いやすいからね。どこでだってセットアップが可能なんだ。イーゼルも絵の具も持ち運べるしね。アクリルや油の絵の具は、納屋のようなスタジオや広いスペースがあるときに使う。僕は他の画家のスタジオでも作業できるんだ。人通りの多いストリートは通常避けるようにしている。自分にとってしっくりくる見晴らしのいいところを探さないといけない、それだけだ。そういうことはみんな時間がかかるし、すべて一度でできるものでもない。大体の構図ができたら、あとでピクセル化された画像や写真、広告、光学装置なんかを使って絵を完成させることができる。プロセスがあるんだ。通常は一度に複数の絵画に取り組んでいる。それぞれがシンプルだったり複雑だったりして異なるんだ。みんな出来上がるまでの時間も違う」

●ビル・クリントン元米大統領に贈った鉄製の「門(ゲート)」について

「ふるさとにいた頃から鉄を繋ぎ合わせていたよ(ミネソタ州ヒビングは鉄鋼採掘の街)。ただの趣味に過ぎなかったけれど、やったことがない時期が思いだせない。誰かが興味を持ってくれるだろうと思って始めただけじゃないんだ。私の鉄製の作品は、近年の作品まで、友人や家族、自分自身のためだけに作っていた」

 

 

ノーベル賞のオフィシャル・ページでも公式にボブ・ディランが受賞するということを発表している。スウェーデン・アカデミーのサラ・ダニウス事務局長にボブ・ディラン側から連絡があり、賞に関して「私が賞を受けとるかって?もちろんだ」、「ノーベル賞のニュースを聴いて言葉もない」「とても栄誉なことでありがたく思う」と語ったとのこと。
http://www.nobelprize.org/press/#/publication/5813bb6c3f5fa7030006bb32/552bd85dccc8e20c00e7f979?&sh=false

 


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