ボブ・ディランのノーベル文学賞受賞に際して
ブルース・スプリングスティーンのコメント

2016.10.14

ブルース・スプリングスティーンがノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランへの祝辞をオフィシャルサイトで発表しました。

ボブ・ディランのノーベル文学賞受賞に際して
ブルース・スプリングスティーンのコメント

ボブ・ディランは俺の国の父だ。『追憶のハイウェイ61』や『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』は素晴らしいアルバムだっただけでなく、俺が物心ついて初めて、自分が暮らしていた場所の真実を見せてもらった出来事だったのだ。そこには闇も光もみな存在し、幻想や偽りのヴェールは脇へと引き裂かれていた。彼は人を無能にしてしまう礼儀正しさや、堕落と腐敗を覆い隠してしまう日々のルーティンに足を踏み入れたのだ。彼が描写した世界はすべて俺が小さな町で目の当たりにしていたものだった。そしてそれはテレビを通じて俺たちの隔離された家庭に映し出されていたものの、コメントされることはなく、静かに認められていったのだ。彼は俺にインスピレーションを与え、俺に希望を与えてくれた。彼は他の誰もが、特に15歳の少年にとって、怖すぎて質問できない質問を投げかけてきた。「自分独りでいるのは…どんな気がする?」世代間に劇的なギャップが生まれ、突如歴史の流れの真っ只中で孤立したような、捨てられたような気分になった。方位磁針は回りっぱなし。心がホームレスになったのだ。ボブは真北を指し示し、アメリカが姿を変えた新しい荒野の中、自分の道を突き進む手助けとして導いてくれた。彼は旗を立て、曲を書き、その時代に欠かせない歌詞を歌った。当時の数多くの若きアメリカ人たちの心と魂を生き永らえさせるために。


ボブがケネディ・センター名誉賞を受賞したとき、彼のために「時代は変る」を歌う機会があった。俺たちはほんの少しの間、ふたりきりで裏口の吹き抜けの階段を下りていた。彼は俺が来たことに礼を言うと「もし君のために何かできることがあれば…」と言ってくれたのだ。俺は「冗談だろう?」と思い、こう答えた。「もうとっくにしてくれているじゃないか」。

原文はこちら
http://brucespringsteen.net/news/2016/bruce-springsteen-on-bob-dylan


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