ボブ・ディラン-2016年4月12日大阪公演2日目@フェスティバルホール・セットリスト&レポート
ディラン6公演目。そして大阪3日連続の2日目、19:01に始まりに21:09に終了。セットリストは昨日と一緒だが、今夜は凄く良い。音のなり方が違う。一部の最後の挨拶は、これまで毎回「アリガトゥ」だったが、今夜は「ミナサン、アリガトゥ」と初めて言った!小躍りするようなシーンもあって御機嫌ボブでした。
「こんな気がする」ディランを観て第六弾 ● 2016年4月12日
新しくなった大阪フェスティバルホールは、ホールはもとよりロビーからトイレに至るまでスペースを最大限活かした造りになっている。ホールのためにビルの何フロアをぶち抜いたのだろう、1階席は5階にある。相当な容量の空間を鳴らすには大音量で済むという簡単な話ではないだろう・・・などと考えながら会場に向かった。既にグッズ販売コーナーは大盛況。CD即売所には明日発売の日本独自企画CD5枚組『ディラン・リヴィシテッド』が既に並べられている。今夜も年齢層が高いお客さんが目につく。
入場時のBGMが流れないせいか、定時に暗転しアコースティックギターの演奏が始まるのが新鮮で効果的だ。いつものようにメンバーとディランがステージに現れる。
1. シングス・ハヴ・チェンジド
センターでヴォーカル。声を抑えた歌い方ながらしっかりとしたヴォーカルなので歌詞が聞き取りやすい。ご機嫌なのか左足でリズムを取りながら歌う。間奏ではなんとちょっと踊った。
2. シー・ビロングズ・トゥ・ミー
ディランはセンター。自身のある歌い方で言葉が大変解り易い。音のバランスが良いからだろうか、ヴォーカルがしっかりと聞こえるのだ。観客のじっと耳を傾けている姿が印象的。
3. ビヨンド・ヒア・ライズ・ナッシング
ディランはピアノでヴォーカル。喉の調子が明らかに良い。ハッキリとした歌い方が曲全体のクオリティを高め充実の内容となった。曲の後半にかけて演奏に熱を帯びてきた。
4. ホワットル・アイ・ドゥ
センターでヴォーカル。ディランが歌い始めると歓声が上がる。だいぶ余裕を持たせた歌い方をしており、最後はお決まりの左腰の上に左手を乗せ見えを切った。
5. デューケイン・ホイッスル
ディランはピアノでヴォーカル。昨夜同様、音を探すようにそれぞれが自由な演奏を繰り広げジャム風のイントロになった。声に張りが合ってバンドの面々を引っ張っているようだ。そして何よりも彼らは楽しそうに演奏している。
6. メランコリー・ムード
センターでヴォーカル。チャーリーのギターが憂鬱なムードを生み出し、ディランは一切崩したりひねる事無く正面から歌う。あっという間に終わる曲だけにもう少し酔いしれていたい欲望だけが残る。
7. ペイ・イン・ブラッド
センターでヴォーカル。シャープな演奏だけに切れ味がひときわ心地よい。ヴォーカルも思い切った歌い方をしているので広いホールの空間を効率的にならしているようだ。上手くまとまったからだろう、曲終りにシセリのほうをさっと指さす決めのポーズをする。
8. アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー
センターでヴォーカル。メロディが流れると拍手と歓声が起こる。ディランがこの曲を歌うのを待ち焦がれていたようだ。別人になりきるくらい気持ちを乗せて歌っている。誠に素晴らしい出来で勝ち誇ったような「どうだ!」のポーズも飛び出す。
9. ザット・オールド・ブラック・マジック
センターでヴォーカル。明るくなった会場で軽快に飛ばしながら歌う。緩急のつけ方が巧みで声の細やかな表情までもが伝わってくる。楽しくなる歌と演奏だ。
10.ブルーにこんがらがって
センターでヴォーカル。チャーリーと何やら話した後にイントロのギターが始まる。サラッとした歌い方を聴いていると大分リラックスしているようだ。左足でリズムを取りながらのハーモニカ演奏は喜びを感じるものだ。ピアノに移ってエンディングをしめる。
ステージ中央に歩き、日本語で「みなさん、ありがとー」、そして英語で休憩を告げる。
11.ハイ・ウォーター(フォー・チャーリー・パットン)
ディランはセンター。ディランはこの曲を語るように歌い始め凄みを利かせながら盛り上げてゆく。リズムを取りながらウロウロしステップを取るのは歌に入り込んでいるからだろう。アクション大きめのしめのポーズで曲を終えた。
12.ホワイ・トライ・トゥ・チェンジ・ミー・ナウ
センターでヴォーカル。切なげなスティールギターの音色が流れると拍手が沸き起こる。そこには万感の思いを込め、感情に流されること無く丁寧に歌うディランがいる。観客の反応が良い。
13.アーリー・ローマン・キングズ
ピアノ演奏でヴォーカル。淡々としながらも気持ちがのったヴォーカルで、バンドをグイグイ引っ張っていくような演奏が誠に素晴らしい。後半に向けて徐々にグルーヴし、客席から掛け声が出るくらいアツくなった。
14.ザ・ナイト・ウィ・コールド・イット・ア・デイ
センターでヴォーカル。声を駆使して崩したりすること無く、歌そのものをそのまま歌っている。だからであるからだろう。心に直接訴える素晴らしいヴォーカルとなった。
15.スピリット・オン・ザ・ウォー ター
ピアノ演奏とヴォーカル。今夜はこの曲においても歌詞を丁寧に歌っている。落ち着いたヴォーカルにクールなバンド、足でリズムを取るノリノリのディランと控え目なチャーリーのギタープレイ。チャーリーは必殺フレーズを連発するもののスチュのギターとの音量のバランスが取れておらず、残念だ。
16.スカーレット・タウン
センターでヴォーカル。歌に合わせた照明がいっそう不気味さを醸し出している。コントロールしながらも凄みのある声で歌の世界を見事に表現した。チャーリーのギターソロでステージ中央をフラフラと。
17.オール・オア・ナッシング・アット・オール
センターでヴォーカル。声のひだまでが聞こえてきそうなくらいに研ぎ澄まされた歌となった。チャーリーのギターソロが奇跡的なフレーズを連発する。
18.ロング・アンド・ウェイステッ ド・イヤーズ
センターでヴォーカル。声が気持ち良いくらいに伸びて、煽るように歌う事で徐々にバンドも観客もアツくなってゆく。非常に素晴らしい出来栄えに喝采を浴びながら曲は終わる。
19.枯葉
センターでヴォーカル。歌い始めると大きな拍手が起こる。数多くの先達がこの曲をカヴァーしたのだが、最も正しいカヴァーは俺の歌だと言わんばかりの自負を感じる。もはやカヴァーを超えていると言ったほうが正しいのだが。
ステージは暗転して後半を終了
20.風に吹かれて
ピアノ演奏とヴォーカル。鳴り響くバイオリンに合わせて演奏が始まる。僅かながら歌い方を変えてはいるものの今夜は力強い歌唱だ。自作の曲をスタンダードとして取り上げた趣がある。
21.ラヴ・シック
センターでヴォーカル。スチュの弾くギターの音量がやや大きいせいか、バランスがやや不満だ。情けない内容の歌を挑みかかるようにロックしながら歌う74歳はそういない。
エンディングを迎えたメンバーたちはステージセンターへ。ディランは何度もうなずきながら客席を見回して消えていった。
《ボブ・ディラン2016年4月11日大阪@フェスティバルホール セットリスト》
Set 1:
1 Things Have Changed シングス・ハヴ・チェンジド
(『Wonder Boys"(OST)』 2001/『DYLAN THE BEST(2007)』他)
2 She Belongs to Me シー・ビロングズ・トゥ・ミー
(『ブリンギング・イット・ オール・バック・ホーム/Bringing It All Back Home』 1965)
3 Beyond Here Lies Nothin' ビヨンド・ヒア・ライズ・ナッシング
(『トゥゲザー・ スルー・ライフ/Together Through Life』2009)
4 What'll I Do ホワットル・アイ・ドゥ
(『シャドウズ・イン・ザ・ナイト/Shadows In The Night』2015)
5 Duquesne Whistle デューケイン・ホイッスル
(『テンペスト/Tempest』 2012)
6 Melancholy Mood メランコリー・ムード
(来日記念EP『メランコリー・ムード』2016)
7 Pay in Blood ペイ・イン・ブラッド
(『テンペスト/Tempest』 2012)
8 I'm a Fool to Want You アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー
(『シャドウズ・イン・ザ・ナイト/Shadows In The Night』2015)
9 That Old Black Magic ザット・オールド・ブラック・マジック
(来日記念EP『メランコリー・ムード』2016)
10 Tangled Up in Blue ブルーにこんがらがって
(『血の轍/Blood on the Tracks』1975)
Set 2:
11 High Water (For Charley Patton) ハイ・ウォーター(フォー・チャーリー・パッ トン)
(『ラヴ・アンド・セフト/Love and Theft』2001)
12 Why Try to Change Me Now ホワイ・トライ・トゥ・チェンジ・ミー・ナウ
(『シャドウズ・イン・ザ・ナイト/Shadows In The Night』2015)
13 Early Roman Kings アーリー・ローマン・キングズ
(『テンペスト/Tempest』 2012)
14 The Night We Called It a Day ザ・ナイト・ウィ・コールド・イット・ア・デイ
(『シャドウズ・イン・ザ・ナイト/Shadows In The Night』2015)
15 Spirit on the Water スピリット・オン・ザ・ウォー ター
(『モダン・タイムス/Modern Times』2006)
16 Scarlet Town スカーレット・タウン
(『テンペスト/Tempest』 2012)
17 All or Nothing at All オール・オア・ナッシング・アット・オール
(来日記念EP『メランコリー・ムード』2016)
18 Long and Wasted Years ロング・アンド・ウェイステッ ド・イヤーズ
(『テンペスト/Tempest』 2012)
19 Autumn Leaves 枯葉
(『シャドウズ・イン・ザ・ナイト/Shadows In The Night』2015)
Encore:
20 Blowin' in the Wind 風に吹かれて
(『フリーホイーリン・ボ ブ・ディラン)
21 Love Sick ラヴ・シック
(『タイム・アウト・オブ・ マインド/Time Out of Mind』 1997)
明日いよいよ大阪最終公演。当日券が出るようですので、まだ見てない皆さん、是非歴史の目撃者になってください!
●ボブ・ディラン来日公演スケジュール
http://udo.jp/Artists/BobDylan/index.html
●NEW ALBUM 5月25日発売 『フォールン・エンジェルズ』
https://www.sonymusic.co.jp/artist/BobDylan/info/466738