ボブ・ディラン-2016年4月9日仙台公演@東京エレクトロンホール宮城・セットリスト&レポート
ディラン4日目、15年振りの仙台公演無事終了!
東京3公演のあとは杜の都「仙台」へ。ディランが仙台に来るのは2001年以来15年振り。前回は仙台サンプラザ公演だった。今回の会場は東京エレクトロンホール宮城(旧宮城県民会館)。1964年に建てられた伝統的なホール。キャパは1590席。完全ソールドアウト
いやー盛り上がりましたね!今日もほぼ定刻17時31分開演、19時38分終演。とにかく仙台のファンの皆さんはアツイ。お客さんの歓声、大拍手が素晴らしく、イイところで歓声あげてくれるから、その分ボブがノッてくる。指揮者のように両手を広げて、肩の下あたりの高さあたりまで腕を上げて、曲の最後で手首くるりと回して、演奏ピタリと終わる、なんてのも数回やったりと。キメボーズも多かった気がする。お次の大阪の皆さん、どんどん歓声あげたり、「ボビィィィィ~!」って呼び掛けるといいかもですね!
⚫全21曲、セットリストは前回と同じ。
⚫グリーンの非常灯が最初は点いていたが、ホワットル・アイ・ドゥの途中で突如全部消えた。でもなぜか第二部は点いていた。
⚫第一部の最後の日本語での「ありがとう」は頭が高くて、降りてく感じのアクセント。↗アーリガトゥ↘っていうか。。(わかります?)
⚫最後は会場中がスタンディングオベーション。拍手喝采。それを見つめるボブはなんか「うんうん」頷いてるような気が!?
詳しくは下記レポートを!
「こんな気がする」ディランを観て第四弾 ● 2016年4月9日
今回の日本ツアーで初の地方公演となった仙台の会場は東京エレクトロンホール宮城だった。久々の仙台公演だからか開場前のCDやグッズ販売は盛り上がりを見せていた。今夜も満員となったホールが暗転すると歓声が高まりアコースティックギターの演奏が始まる。メンバーそしてボブ・ディランが登場。入場時には整然としていた観客が一気に熱を帯びる。今宵の歓声はこれまでで一番。仙台のファンはアツい。
1. シングス・ハヴ・チェンジド
センターでヴォーカル。荒々しい声で歌い始まったディラン。なんと間奏毎に歓声と拍手が湧き、バンドの演奏がまとまりをみせてくる。お客さんの反応が活きている。
2. シー・ビロングズ・トゥ・ミー
ディランはセンター。凄みのある声で歌い出すと同時に観客からの歓声が上がる。ハーモニカを奔放に吹いているのが聴いていて心地よい。ジョージ・リセリのドラムスが歌っていて、バンドの演奏も力強い。
3. ビヨンド・ヒア・ライズ・ナッシング
ディランはピアノでヴォーカル。声がよく出ていて、それをしっかりとコントロールしながら、異彩を放つピアノ演奏でバンドを煽り徐々に熱を帯びてくる。
4. ホワットル・アイ・ドゥ
センターでヴォーカル。うっとりするようなスティールギターが流れ見事なライティングの中でディランが歌い始めると既にそこは別世界になっていた。観客が一瞬戸惑うほどの空間が生まれる。
5. デューケイン・ホイッスル
ディランはピアノでヴォーカル。ディランの自由なピアノ演奏の合わせどころを探るようなバンドの面々。今夜のディランは崩して歌いたいようだ。声が良く出ているからだろうか、バンドの演奏もつられるように素晴らしく今夜のハイライトとなった。
6. メランコリー・ムード
センターでヴォーカル。幻想的なライティングの中でディランが歌い出すと共に観客から歓声が沸き起こる。チャーリーのギターもよく歌っており、これぞ今のディランなのだが、それを喜ぶ観客がいっそう演奏にマジックをもたらしている。
7. ペイ・イン・ブラッド
センターでヴォーカル。切れのある演奏に乗って力強く歌う。表情豊かなヴォーカルがゆえに歌世界が目の前に現れるようだ。バンドとの絶妙なバランスが奇跡的だ。
8. アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー
センターでヴォーカル。スティールギターの切ないメロディに乗って歌い始めるや拍手が起こる。色々な表情を持ったヴォーカルが懐かしさや思い出を呼び起こすようだ。
9. ザット・オールド・ブラック・マジック
軽快なテンポに乗って自分の声を楽しむように歌う。緩急入り混じった見事なパフォーマンスは、決して出すぎる事の無いバンドのツボをおさえたフォローがあってのものだ。
10.ブルーにこんがらがって
センターでヴォーカル。歌詞を丁寧に歌い始め気持ちが乗り移っているからか、心に入り込んでくる。歓声に応えるかのように徐々にヴォーカルにハリが出て来てハーモニカ演奏も素晴らしい。
ステージセンター、日本語で「ありがとー」、そして休憩を告げる。
11.ハイ・ウォーター(フォー・チャーリー・パットン)
ディランはセンター。力のこもったディランのヴォーカルがバンドの演奏を引っ張る。水が溢れ洪水が迫りくる様子を見事に表現し、この歌の意味を再認識させる。いつしか震災の事を思い返していた。
12.ホワイ・トライ・トゥ・チェンジ・ミー・ナウ
センターでヴォーカル。今夜最高のスティールギターの演奏で始まった歌は切なさとやるせなさが入り混じり誠に素晴らしいものとなった。今夜のハイライトだ。自分の声の良さをよく知ってコントロール、間奏のスティールギターも泣ける。スタンダードを歌うディランが辿り着いた一つの到達点だ。
13.アーリー・ローマン・キングズ
ピアノ演奏でヴォーカル。控えめな演奏に乗ったヴォーカルが最初は穏やかに始まるものの徐々に熱を帯びてくる。バンドとのコンビネーションを見せつけたタイトにしめるエンディングが見事。
14.ザ・ナイト・ウィ・コールド・イット・ア・デイ
センターでヴォーカル。観客の歓声が歌を一層盛り上げる。抑制されたヴォーカルと手堅いバンド演奏には過不足無い。間奏の間、ステージセンターでリズムを取るディラン。
15.スピリット・オン・ザ・ウォー ター
ピアノ演奏とヴォーカル。軽快な演奏に乗りながら歌詞をしっかりと歌う芯のあるヴォーカルが全体の演奏をグイグイと引っ張っている。後半のジャム風な演奏はどちらに向かうか解らないような楽しさがあり歌を煌めくものにしている。
16.スカーレット・タウン
センターでヴォーカル。歌い出すと観客から歓声が上がり、不気味さを増しながら歌が転がってゆく。チャーリーのギタープレイに合わせて体を左右に動かす姿が微笑ましい。
17.オール・オア・ナッシング・アット・オール
センターでヴォーカル。洒落たギター演奏で始まる。切なく苦しい胸の内を打ち明けるような歌唱は見事だ。思いのほか上手く表現出来たのだろうか、エンディングでやや両手を挙げた。
18.ロング・アンド・ウェイステッ ド・イヤーズ
センターでヴォーカル。歌が始まると共に待ってましたとばかりに客席から歓声が上がる。ヴォーカルを自由自在にあやつり、文句のつけようがない。バンドの演奏も歌っているかのように響く。そしてディランはどうだと言わんばかりに両手を挙げしめのポーズもキメる。
19.枯葉
センターでヴォーカル。メロディが流れると歌い出す前から拍手が起こる。そして静まりかえって聴き入る観客に表情豊かに歌うディラン。歌う息遣いまでもが聞こえてきそうなほど、細やかさを伝えるヴォーカル。この曲も今夜のハイライトとなった。
ステージは暗転して後半を終了
20.風に吹かれて
ピアノ演奏とヴォーカル。イントロのヴァイオリンの音色が会場の隅々まで染みてゆく。今夜のヴォーカルは綺麗になりすぎないように崩して歌うが、声が気持ち良いくらいに出ている。
21.ラヴ・シック
センターでヴォーカル。ややもすると情けない男の恋心を振り切るように歌う事でこの曲に深みが出ている。印象的な「枯葉」で終えてもアンコールでこの歌を最後にする事で、よく知るディランが甦るのだ。
そしてディランはいつものように何度か軽くうなずきながら客席を見回して消えていった。
二日の休養を経てのステージは素晴らしいものであった。古い造りのホールには染みついた臭いのようなものが漂い独特の雰囲気を醸し出していた。何よりも観客の反応が温かく素直で、喜びや感動が波動で伝わってくる。今夜はスタンダードの曲の出来が素晴らしく目指すスタイルに一歩近づいたかのような趣があった。
歌は生きている。それはディランと観客によって、生きているのである。
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《ボブ・ディラン2016年4月9日仙台@東京エレクトロンホール宮城 セットリスト》
Set 1:
1 Things Have Changed シングス・ハヴ・チェンジド
(『Wonder Boys"(OST)』 2001/『DYLAN THE BEST(2007)』他)
2 She Belongs to Me シー・ビロングズ・トゥ・ミー
(『ブリンギング・イット・ オール・バック・ホーム/Bringing It All Back Home』 1965)
3 Beyond Here Lies Nothin' ビヨンド・ヒア・ライズ・ナッシング
(『トゥゲザー・ スルー・ライフ/Together Through Life』2009)
4 What'll I Do ホワットル・アイ・ドゥ
(『シャドウズ・イン・ザ・ナイト/Shadows In The Night』2015)
5 Duquesne Whistle デューケイン・ホイッスル
(『テンペスト/Tempest』 2012)
6 Melancholy Mood メランコリー・ムード
(来日記念EP『メランコリー・ムード』2016)
7 Pay in Blood ペイ・イン・ブラッド
(『テンペスト/Tempest』 2012)
8 I'm a Fool to Want You アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー
(『シャドウズ・イン・ザ・ナイト/Shadows In The Night』2015)
9 That Old Black Magic ザット・オールド・ブラック・マジック
(来日記念EP『メランコリー・ムード』2016)
10 Tangled Up in Blue ブルーにこんがらがって
(『血の轍/Blood on the Tracks』1975)
Set 2:
11 High Water (For Charley Patton) ハイ・ウォーター(フォー・チャーリー・パッ トン)
(『ラヴ・アンド・セフト/Love and Theft』2001)
12 Why Try to Change Me Now ホワイ・トライ・トゥ・チェンジ・ミー・ナウ
(『シャドウズ・イン・ザ・ナイト/Shadows In The Night』2015)
13 Early Roman Kings アーリー・ローマン・キングズ
(『テンペスト/Tempest』 2012)
14 The Night We Called It a Day ザ・ナイト・ウィ・コールド・イット・ア・デイ
(『シャドウズ・イン・ザ・ナイト/Shadows In The Night』2015)
15 Spirit on the Water スピリット・オン・ザ・ウォー ター
(『モダン・タイムス/Modern Times』2006)
16 Scarlet Town スカーレット・タウン
(『テンペスト/Tempest』 2012)
17 All or Nothing at All オール・オア・ナッシング・アット・オール
(来日記念EP『メランコリー・ムード』2016)
18 Long and Wasted Years ロング・アンド・ウェイステッ ド・イヤーズ
(『テンペスト/Tempest』 2012)
19 Autumn Leaves 枯葉
(『シャドウズ・イン・ザ・ナイト/Shadows In The Night』2015)
Encore:
20 Blowin' in the Wind 風に吹かれて
(『フリーホイーリン・ボ ブ・ディラン)
21 Love Sick ラヴ・シック
(『タイム・アウト・オブ・ マインド/Time Out of Mind』 1997)
●ボブ・ディラン来日公演スケジュール
http://udo.jp/Artists/BobDylan/index.html
●NEW ALBUM 5月25日発売 『フォールン・エンジェルズ』
https://www.sonymusic.co.jp/artist/BobDylan/info/466738