ブラッカリシャス
チーフ・エクセル(作曲、プロデュース)とギフト・オブ・ギャブ(リリック)による、サンフランシスコ出身の2人組、ブラッカリシャス。高校時代に結成されたこのグループは90年代中旬、当時シーンの中心ともなっていたベイ・エリアのインディーズから現れ、その後登場する数々のアンダーグラウンド・ヒップホップ・アーティストの前にレールを引いたSFヒップホップ界のパイオニアと言っても過言ではない。

前作から約3年ぶり、5作目となるこの『ザ・クラフト』で米エピタフ・レコードと契約。2年前から作業に入った今作は、チーフ・エクセルの掛け声により数々の名ミュージシャンでバンドを組み、120曲を仕上げた後に切り貼りしてアルバムの核を作り上げたもの。そしてギャブの物語調の天才的リリックが生み出されると、あのファンク・マスター;ジョージ・クリントンや(最近ではファットボーイ・スリムの「ワンダフル・ナイト」にボーカル参加した)ラティーフ・ザ・トゥルース・スピーカー、LAアングラ界の名MCピジョン・ジョン、グラミー賞ノミネート・アーティスト、フロエトリーなどをゲストボーカルやMCに迎えた。ミクシング作業はグラミー賞受賞のエンジニア、ラス・エレヴァド(D'Angelo, Alicia Keys, Erykah Badu)の手に掛かることにより新たな命が吹き込まれた。

完成度があまりにも高すぎる今作は、既にファンクで言うとスライ・ストーンやシュギー・オティス、クラシック・ヒップホップで言うとアウトキャストやザ・ルーツと比べられ、絶賛されている。今夏のイギリスのリーズ&レディング・フェスティバルを皮切りに、現在は全米をツアー中!!!


<文:松山晋也>
MCのギフト・オブ・ギャブとトラック・メイカーのチーフ・エクセルがサクラメントで出会い、88年に結成されたこのデュオは、DJシャドウ等と設立した自主レーベル、ソウルサイズ~クアナムを拠点に、多彩な才能が群雄割拠する西海岸アンダーグラウンド&アヴァンギャルド・ヒップホップ・シーンのトップ・ランナーとして活躍してきた。
あくまでもポジティヴで、時にスビリチュアルなリリックを次々と繰り出すギャブのマジカルなラップ・スキルと歌、
そして、西海岸派ならではのインテリジェントで緻密な手法をとりながら、徹底的にソウルフルかつファンキーなサウンドへと昇華してゆくエクセルのトラック・メイキング。シスコの現代黒人音楽の最良の見本の一つだろう。