「CFDAファッション・アワード」ファッションアイコン賞を受賞!感動のスピーチ全文翻訳掲載!
2016.06.09
INFO
6月6日ニューヨークで開催された、アメリカ ファッション界で最も栄誉あるアワードとされる「CFDAファッション・アワード」の授賞式で、ビヨンセがファッションアイコン賞を受賞し、感動的なスピーチを披露しました。そのスピーチの中で、デスティニーズ・チャイルドとしてデビューしたばかりのころ、衣装を貸してくれるブランドはなく、裁縫師だった祖母から裁縫を習った彼女の母と伯父が衣装を手作りしてくれたという秘話を感謝とともに披露。「祖母のように、母は自分の才能と創造性を駆使して、子供たちに夢を与えたのです」と語り、また「デザイナーであるみなさんの作品と同じように、魂は目に映る範囲をはるかに超える」と、彼女の人生哲学を交えた賛辞をデザイナーたちへ贈りました。この感動のスピーチ全文翻訳は下記をご覧ください。
◆CFDAファッション・アワードのスピーチ映像(ビヨンセのスピーチは3:50あたりから)
https://youtu.be/YKCQHgkPKxU
ダイアン*1、すてきな言葉でご紹介くださり、ありがとうございます。自分がとても愛されていると感じますし、今この瞬間、自分のことをとても誇りに思います。皆さん、この大変な栄誉に感謝します。
物心がつくころから、ファッションは常に私の人生の一部でした。ファッションが私に与えた影響は生まれる前から始まっていたのです。皆さんのほとんどはご存じないでしょうが、私の祖母は裁縫師でした。祖父母は貧しく、母の通うカソリックスクールの授業料を払うことができませんでした。そのため、祖母は母の教育と引き換えに、神父や修道女のための服を縫ったり、生徒たちの制服を仕立てたりしました。祖母は後に才能を母に引き継ぐよう、母に洋裁を教えました。
デスティニーズ・チャイルドとしてデビューした当初、田舎から出てきた4人のぽっちゃりした黒人の女の子たちに衣装を着てもらいたがる高級ブランドはなく、またデザイナー・ブランドのドレスやオートクチュールを買うお金もありませんでした。母はニューヨーク中のショールームをまわりましたが、衣装を貸してくれるところはく拒絶され続けました。しかし、祖母のように、母は自分の才能と創造性を駆使して、子供たちに夢を与えたのです。私たちの初期の衣装は全て母と今は亡きおじのジョニーが作ってくれたもので、二人は何百ものクリスタルガラスや真珠を一つずつ縫い付け、どんな細かいディテールにも情熱と愛を注いでくれました。これらの衣装を着た時は、自分がカリーシ*2になったような気分でした。極上の武装だったのです。どんなブランドネームよりも重みがありました。
私の母は素晴らしくて美しい人です。今夜ここに来ています。大好きよ、お母さん。
母も祖母もおじもいつも私と共にあるから、私が失敗するはずはありません。実際、母は私のウェディングドレスも、プロムのドレスも、初めてのCFDA賞の時のドレスも、初めてのグラミー賞の時のドレスもデザインしてくれて、他にもここでは言い切れないほどの衣装をデザインしてくれました。これこそが、私にとってのファッションの真の力であり可能性であるのです。ファッションは自身のアイデンティティーを見つけ表現するためのツールなのです。ファッションは流行を越えるものであり、人類の偉大な金字塔のタイムカプセルなのです。お母さん、おばあちゃん、おじさん、皆ありがとう。存在感があるということは、身に着けている物や肉体の美しさのみで決まるわけではないということを、示してくれたことに感謝します。拒絶を回答として絶対に受けいれてはいけないということを、示してくれたことに感謝します。リスクを負き、熱心に働き、そして自分の思うがままに人生を生きるすべを示してくれたことに、感謝します。
人々が自分自身の物語を描くことができると思ってもらえるように、懸命に働くすべてのデザイナーに感謝を述べたいと思います。みなさんは全員、妖精のゴッドマザーで、魔術師で、彫刻家で時には私たちのセラピストでさえあります。自分たちの持っている力を忘れたり、それを軽視したりすることがあってはいけません。私たちは、どんな女の子であっても、その子自身の姿を広告版や雑誌の表紙に見ることができる社会に貢献する機会を手にしているのです。
魂には、色も形も型もありません。デザイナーであるみなさん方の全ての作品と同じように、魂は目に映る範囲をはるかに超えるのです。みなさんには、認識を変える力も人にインスピレーションや自信を与える力もあれば、全ての人間に、自分たちの複雑さを受け入れ、自分の内に抱える欠点や本当の美しさと強さを見ることが出来るようになる方法を示す力もあるのです。この素晴らしい賞を授与してくださったことに感謝し、この夜のことは一生忘れません。皆さんに神のご加護がありますように。ありがとうございました。
注:
*1 ダイアン・フォン・ファステンバーグ。ファッション・ブランドDVFのデザイナー。
*2 ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のキャラクターで「王妃」のこと。
物心がつくころから、ファッションは常に私の人生の一部でした。ファッションが私に与えた影響は生まれる前から始まっていたのです。皆さんのほとんどはご存じないでしょうが、私の祖母は裁縫師でした。祖父母は貧しく、母の通うカソリックスクールの授業料を払うことができませんでした。そのため、祖母は母の教育と引き換えに、神父や修道女のための服を縫ったり、生徒たちの制服を仕立てたりしました。祖母は後に才能を母に引き継ぐよう、母に洋裁を教えました。
デスティニーズ・チャイルドとしてデビューした当初、田舎から出てきた4人のぽっちゃりした黒人の女の子たちに衣装を着てもらいたがる高級ブランドはなく、またデザイナー・ブランドのドレスやオートクチュールを買うお金もありませんでした。母はニューヨーク中のショールームをまわりましたが、衣装を貸してくれるところはく拒絶され続けました。しかし、祖母のように、母は自分の才能と創造性を駆使して、子供たちに夢を与えたのです。私たちの初期の衣装は全て母と今は亡きおじのジョニーが作ってくれたもので、二人は何百ものクリスタルガラスや真珠を一つずつ縫い付け、どんな細かいディテールにも情熱と愛を注いでくれました。これらの衣装を着た時は、自分がカリーシ*2になったような気分でした。極上の武装だったのです。どんなブランドネームよりも重みがありました。
私の母は素晴らしくて美しい人です。今夜ここに来ています。大好きよ、お母さん。
母も祖母もおじもいつも私と共にあるから、私が失敗するはずはありません。実際、母は私のウェディングドレスも、プロムのドレスも、初めてのCFDA賞の時のドレスも、初めてのグラミー賞の時のドレスもデザインしてくれて、他にもここでは言い切れないほどの衣装をデザインしてくれました。これこそが、私にとってのファッションの真の力であり可能性であるのです。ファッションは自身のアイデンティティーを見つけ表現するためのツールなのです。ファッションは流行を越えるものであり、人類の偉大な金字塔のタイムカプセルなのです。お母さん、おばあちゃん、おじさん、皆ありがとう。存在感があるということは、身に着けている物や肉体の美しさのみで決まるわけではないということを、示してくれたことに感謝します。拒絶を回答として絶対に受けいれてはいけないということを、示してくれたことに感謝します。リスクを負き、熱心に働き、そして自分の思うがままに人生を生きるすべを示してくれたことに、感謝します。
人々が自分自身の物語を描くことができると思ってもらえるように、懸命に働くすべてのデザイナーに感謝を述べたいと思います。みなさんは全員、妖精のゴッドマザーで、魔術師で、彫刻家で時には私たちのセラピストでさえあります。自分たちの持っている力を忘れたり、それを軽視したりすることがあってはいけません。私たちは、どんな女の子であっても、その子自身の姿を広告版や雑誌の表紙に見ることができる社会に貢献する機会を手にしているのです。
魂には、色も形も型もありません。デザイナーであるみなさん方の全ての作品と同じように、魂は目に映る範囲をはるかに超えるのです。みなさんには、認識を変える力も人にインスピレーションや自信を与える力もあれば、全ての人間に、自分たちの複雑さを受け入れ、自分の内に抱える欠点や本当の美しさと強さを見ることが出来るようになる方法を示す力もあるのです。この素晴らしい賞を授与してくださったことに感謝し、この夜のことは一生忘れません。皆さんに神のご加護がありますように。ありがとうございました。
注:
*1 ダイアン・フォン・ファステンバーグ。ファッション・ブランドDVFのデザイナー。
*2 ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のキャラクターで「王妃」のこと。