4月22日NY公演のライブレポート&セットリスト
4月22日 ニューヨーク「ベスト・バイ・シアター」公演
ライブレポート
2CELLOSの2人、ルカとステファンに初めて会ったのは、2011年の夏、ニューヨーク・デビュー・ライブ直後のことだった。マイケル・ジャクソンの「スムーズ・クリミナル」をチェロ2本でカバーしたYouTubeビデオで、いきなり音楽シーンに登場した2人。ジャンルにこだわらない音楽で、チェロの可能性を追求するというこだわりに、フレッシュな2人の気概を感じたものだ。
あれから約4年。ニューヨークでまたライブをやるというので出かけてみた。デビューはダウンタウンのライブハウスだったが、今度の会場は、タイムズスクエアのど真ん中。4年前とはキャパシティの桁数が違う、大会場だ。エルトン・ジョンを始めとする様々なメジャー・スターとの共演など、着実な経験を積んだ2人が、自ら正真正銘のメジャーとなってニューヨークに帰ってきたのだった。
ステージにはまずルカが一人で登場、この日のライブはピアソラでしっとりと始められた。程なくステファンも登場、続いてエンニオ・モリコーネと、レガートな曲が続く。彼らの登場を待ちかねた観客をリラックスさせるかのように、アコースティックな曲を続ける2人。こうしてジリジリと観客を引きつけながら、遂に2人は「スムーズ・クリミナル」に突入、彼らを一挙にスターダムにのし上げたあの曲に、観客も自然と手拍子を取り出し、会場の温度は一気に上がっていく。
チェロという、同じ楽器を追求してきた2人。その演奏を特徴づけているのは、1つのメロディーをシームレスにつなぐ柔らかなコラボ精神と同時に、お互いがお互いを凌駕しようとする凄まじいエネルギーだ。そのダイナミックな関係は、この4年間、2人の演奏をますますシャープにしたようだ。我を忘れたかのように、音楽に没入した2人の演奏に、クラシックだ、ロックだといったジャンル分けは虚しい。「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」で2人の激しい応酬が繰り広げられた後はドラマーも登場、AC/DCから「サティスファクション」までバリバリと弾きまくり、会場の興奮は最高潮に盛り上がっていった。
アンコールはもう一度AC/ADで盛り上げた後、最後に再びアコースティックなチェロでしっとりと締めてくれた。チェロという楽器に、無限の可能性を信じる2人。そのパレットの豊富さは、2CELLOSならではのものだ。ロックし続ける2人のチェロは、まだまだとんでも無いことをやらかしてくれるに違いないという、期待と予感に満ちた夜だった。
(NY在住ジャーナリスト 小林伸太郎)
セットリスト
Oblivion (オブリビオン/ピアソラ)
Gabriels Oboe(ガブリエルのオーボエ/モリコーネ)
Where the Str. Have No Name(約束の地/U2)
Viva La Vida (美しき生命/コールドプレイ)
Book of love (ブック・オブ・ラヴ/マグネティック・フィールズ)
Resistance (レジスタンス/ミューズ)
With or Without You(ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー/U2)
Human Nature (ヒューマン・ネイチャー/マイケル・ジャクソン)
Smooth Criminal (スムーズ・クリミナル/マイケル・ジャクソン)
Welcome to the Jungle (ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル/ガンズ・アンド・ローゼズ)
----------------DRUMMER ------------←ドラマー登場
Thunderstruck (サンダーストラック/ AC/DC)
Voodoo People (ヴードゥー・ピープル/ザ・プロディジー)
Smells Like Teen Spirit (スメルズ・ライク・ティーン・スピリット/ニルヴァーナ)
You Shook Me All Night Long(ユー・シュック・ミー・オール・ナイト・ロング/ AC/DC)
Highway To Hell (地獄のハイウェイ/ AC/DC)
Satisfaction (サティスファクション/ローリング・ストーンズ)
Trooper (トゥルーパー/アイアン・メイデン)
----------------ENCORE---------------
Back in Black (バック・イン・ブラック/ AC/DC)
Fields of gold (フィールズ・オブ・ゴールド/スティング)