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『モア・ライト』特製トートバッグを10名様にプレゼント!

2013年、“混沌”とした時代にさし込む一筋の“ポジティヴ”な光(『モア・ライト』) プライマル・スクリーム、通算10作目のアルバムが発売!『モア・ライト』2013.5.8 in stores

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『モア・ライト』特製トートバッグを10名様にプレゼント!

右のツイートをリツイートした方から10名様に『モア・ライト』特製トートバッグをプレゼント!
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応募締め切りは5月15日23:59まで

VIDEO CLIP

ボビー・ギレスピーによる作品解説(日本語訳)

(00:17)

ボビー・ギレスピー(以下BG):『More Light』というのが、いいと思ったんだよね。普段は暗がりになっているところに、まぶしい光が射しこんでくるような感じ。人目にふれない「隠された場所」というか、みんながあまり口にしたがらないような、それについて語るのもはばかられるような、そんな場所とか物事にね。実際、このアルバムのいくつかの曲では、そういったことについて歌われている。ぼく自身は、朝起きて、カーテンやブラインドを開けて、ぱっと光が入ってくる瞬間が好き。そんな感覚、生まれかわったような、インスピレーションにあふれた…言うなればポジティヴな感覚。だけど、これまでのぼくらのアルバム・タイトルといえば、『Exterminator』とか『Vanishing Point』とか『Evil Heat』とか、なんというか…

ジェームズ・ブラウン(以下JB):ぴりぴりして、どぎつい感じ。

BG:そうそう。いや、このアルバムにも、そういった激烈な部分はあると思う。だけど、もうちょっと前向きというか、そうだな、暗がりの時期から脱けだして、いい時期に向かっていくようなものであってほしい。だからさ、なんというか、世界というのは真っ暗な場所だと思うんだけど、もうっちょっと光が差しててもいいんじゃないか、そうできるんじゃないか…みたいな…。ぼくらがいる場所も、そんなに悪くはないんじゃないか…。

(1:21)

JB:ええと、まず語ってほしいのは、オープニング・トラック…1曲目「2013」のタイトルが今年の西暦年数であるってことに関して。これは「意図的な声明」と言えるのかな?

BG:ぼくらは、ものすごくエクストリーム…極端な時代に生きている。でも、そんな事実は普段耳にするような音楽には決して反映されてないと思う。みんな、どんどん「非政治的」になってるというか「非政治化」されているというか…。だけど、それに対する適切な抵抗運動とか批評はあまり見かけない。基本的に、音楽に関しては、そうだといえるんじゃないかな。ぼくらの音楽がそうなればいいというか、少なくともそんな問題にとりくんだつもり。ここには怒りの声もあれば、抵抗の姿勢もある。でもさ、どうして誰も抵抗しないのかな? なぜ、みんな声をあげない? みんな死んだみたいにおしだまって…。まあ、大抵「世間のひとたち」は「今起こってること」に関して、そうなりがちだけどね。みんな、もうちょっと目覚めてほしい。実際に今なにが起こっているのか、目を見ひらいて凝視してほしい。だからさ、J・G・バラード(注:『結晶世界』などの作品で有名な作家)が亡くなるちょっと前に言ってたんだけど「今はサイエンス・フィクション(SF)小説を書く必要はないのかもしれない。だって、ぼくらはかつてそこに描かれたような世界を生きているのだから」。激しく同意するね。

(2:30)

BG:4曲目「2013」「River Of Pain」「Cultureside」「Hit Void」は半分LA、半分UKでレコーディングした。LAのスタジオにはワリー・ハイダー(Wally Heider)が60年代後半か70年代にサン・フランシスコで使っていたミキシング・デスクが置いてあった。たぶんクリーデンス・クリアウォーター(注:クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル:CCR)が「Green River」とか「Proud Mary」を録るときに使ったやつだと思う。

JB:ああ!

BG:デヴィッド・クロスビー(注:元ザ・バーズ、CSNのひとり)のファースト・ソロ・アルバム『If I Could Only Remember My Name』、すっげー名盤と思うんだけどそれとか、グレイトフル・デッドの『American Beauty』とか、Tレックスの「Get it On」だか『Electric Warrior(電気の武者)』だかも、そいつで録られたんじゃないかな。

JB:そのミキシング・デスクゆえ、そのスタジオを選んだ?

BG:いや全然。

JB:その事実を調べて、自分で決めたのかと。

BG:違う違う。デヴィッド・ホルムズが、そのスタジオを使ったことがあって、「こういった曲なら、あそこのデスクがぴったりじゃない?」と提案してくれたんだ。でもたぶん、あの男がそういった音楽にすごく興味があるとは思えないから、いわゆる歴史みたいなものはよく知らなかったんじゃないかな。単に、音そのものの印象というか。ウッディってやつがスタジオの経営者なんだけど、そいつがワリーのデスクも所有してる。スタジオ4か、どこかに置いてあった。ニール・ヤングの最初の2枚のソロ・アルバム『Neil Young』『Everybody Knows This is Nowhere』も、グラム・パーソンズの『Grievous Angel』『GP』もそれでやったはず。サン・フランシスコにあったそれで、ぼくらもやった。歴史の一部になった感じというか、グレイトなロックンロール・サウンドだったというか…。とにかく、いい感じだった。

JB:バンドのみんなもそう思ってた?

BG:そう、みんなが。

JB:歴史ってやつを、そこまで尊重する…?

BG:いや、でもさ、やっぱ尊重すべきだと思うんだよね。音楽を作る手順というのは、これまで培われてきたものにのっとっておこなわれる面も大きい。それをいい形で受けつぎつつ、現在にふさわしいものを作ろうとしているという部分も、ぼくらにはある。先人たちのスピリットやエネルギーを、ぼくらが継承してるってのも、まあ、クールなことだと思ってる。

(4:37)

BG:3曲目「Culturecide」の歌詞は、ニュー・ヨーク・シティーを発つ列車のなかで書きはじめた。それはシティーをとおりすぎて、ハーレムとかいろんなものが次々と目に飛びこんできた。そこに住む人たちの生活みたいなものが見えた。下のほうにね。だけど、列車に乗ってるかぎりは単なる風景にすぎない。快適な移動の一部として、安全に見ていられる。そうそう、この曲ではマークが歌ってくれてるんだよね。完成ヴァージョンを妻に聴かせたらジョン・ライドン(注:PiLの中心人物)が歌ってるのかと思ったらしい。「ジョン・ライドンみたいに聞こえる」って。「いや、マーク・スチュワート(注:元ザ・ポップ・グループの中心人物)なんだけど」みたいな。どちらも同じ時代に登場してきた。曲ができて、ほとんどの歌詞も書けて、あとはサビの部分にもうちょっとチャッチーなフックがほしいな…と思ってた。以前マーク・スチュワートとセッションしたとき、彼が「Culturecide(文化的殺戮)」というフレーズを使っていたことを思いだした。それで彼に聞いてみた。「ぼくらがその言葉を使ってもいいですか?」。快諾してくれたんで、今度はスタジオに来て一緒に歌ってもらえないか頼んでみた。その結果、このトラックには彼とぼくの声が入ってる。

JB:おお!

BG:ぼくらはみんなザ・ポップ・グループが大好き。マークのソロも。グレイトな作詞家で、ぼくのフェイヴァリット・シンガーのひとり。

(5:45)

BG:メインのバンド編成はというと、様々な楽器を演奏したアンドリュー、多くのドラムを叩いたのはダリン、そして歌っている俺になるね。アルバムのベースのほとんどはジェイソン・フォークナーが弾いてる。デヴィッド・ホルムズが紹介してくれた。ぼくらは90年代によくデヴィッド・ホルムズと一緒にやっていた。90年代末ごろには、彼のソロ・レコードにも参加した。曲を共作して、ぼくがそこで歌ったり、アンドリュー(・イネス)がギターを弾いたり。とにかく、そのころから、デヴィッドとぼくらは友だちだった。彼にはシネマティックなビジョンがある。映像的…映画的な拡がりを、音に付与することができるというか。だけど、このアルバムにおける楽器類の、もしくは音響的なレイヤー(多層性)に関しては、アンドリューによるところが大きい。サウンド・プロデューサー的な役割を果たしてくれている。それもデヴィッドとの作業で学んできたという部分があるんだけどね。ぼくらには、わかってた。彼と作るレコードは、いつだって、ストレートかつ単純明快に邁進する、ギター2本とベースとドラムによる、ハイ・エナジー・ロックンロール…にはならない。

JB:全然そうじゃないね、たしかに。

BG:もっとソフィスティケイトされたレイヤーの重なりで、シネマティックで、オーケストラルで、要するにデヴィッド・ホルムズっぽい。だから、彼とやればこんな感じの映像的レコードになるだろうな…というものが最終的にできた。でも、音楽的に言って、アンドリューはプロデューサーとしてクレジットされるべき。一方デヴィッドもそう。ぼくらがそんなふうに思いきりプレイできる環境を整えてくれたし、ホーン・プレイヤーとかドラマーとかベース・プレイヤーとかパーカッショニストとか、たくさんのグレイトなミュージシャンを連れてきてくれた。

(7:27)

JB:そういったミュージシャン同士、もしくはシンガー同士の共同作業で、ほかにも特に興味深い部分が、アルバムにあったりする?

BG:そうだな…「2013」では、アンドリュー・イネスとケヴィン・シールズ(注:マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの中心人物)がギターを弾いている。ケヴィンは、ずいぶん長いことぼくらと一緒にやってきた。ライヴとかに参加してくれるメンバーとして、8年か9年くらいやってたのかな。レコーディングにも、もちろん参加してくれていたし。これは、またしてもプロダクション面からみた選択だった。このトラックには、なにかが欠けてるな、必要なものはなんだろう? という。「2013」の場合は、誰か全然まともじゃない、サイケデリックでサイコティックでハイ・エナジーなギターを弾くやつが、テクスチャーの要素としてほしいと思った。それは、もうケヴィンしかいないだろう、みたいな。とてもアブストラクト(抽象的)で、とても美しい…ぼくのフェイヴァリット・ギタリストのひとりだし、人間としても好きだ。たぶん、みんな、なにか自分をインスパイアしてくれるレコードが好きで、そういったものがもっとほしいと思ってるんだろうね。でも、そんなレコードは、なかなか手に入らない。ぼくらは、自分たちがやってきたようなことに関しては大得意というわけじゃない。でも、だんだん、うまくできるようになってきたとは思う。もう、ずいぶん長いことやってきたからね。ぼくらは、まあ、いい感じのソングライター・チームだと思うし、職人みたいな意味で、うまくやれているような気がする。悪くないミュージシャンで、シンガーたちで、プロデューサー・チーム。

(9:31)

BG:アルバムのラスト…13曲目に「It’s Alright, It’s OK」をもってくるというのは、デヴィッド・ホルムズのアイディアだった。これをアルバムの最後に持ってくると、映画のエンド・クレジット・ロールみたいな感じでいいんじゃないかな、という。

JB:これは、いかにもプライマル・スクリームといったノリの(注:より詳細に言えば『Screamadelica』のオープニングっぽい感じの)曲だよね。

BG:トミー・ジェイムス&ザ・ションデルズ(注:「Hanky Panky」「Mony Mony」「I Think We're Alone Now」といったヒット曲で知られる、60~70年代に活躍したバンド)みたいにも聞こえるけどね。だけど、それはぼくの妄想かも。えっ、いかにもプライマル・スクリームっぽい曲かな?

JB:うん!

BG:ぼくらがやったら、なんでもそうなるんじゃない? このアルバムの曲順を最初アンドリューが考えたとき、アナログ盤2枚組みたいな感じになってた。

JB:ほお、アナログ盤2枚組(注:アンドリューが曲順をひねりだした『Screamadelica』は、91年当時その形でリリースされた)。

BG:だけど、最終的に、今回はデヴィッド・ホルムズの提案した曲順がいいんじゃない? ということになった。映画みたいな流れになってるでしょ。「2013」がオープニング・クレジット(注:今の映画はオープニングで主にタイトルしか表示されないけれど、昔の映画にはオープニングで俳優やスタッフのクレジットを流すものも多かった)。2曲目の「River Of Pain」でストーリーが始まる。そこから本編に入っていき、最後に「It’s Alright, It’s OK」。ぼくらは、これを聴いてくれるみんなにトリップしてほしいと思ったんだよね。まさに、旅に出る、って感じで。そしてエンド・ロール・クレジットっぽい「It’s Alright, It’s OK」では、いい気分で映画館から出てほしい…みたいな。わりと明るい気分でさ。そんな感じかな。

(11:13)

BG:ぼくが言えるのは、そんなところかな。とにかく、ぼくらは今も生きてる。ずっとそうだった。そんな感覚をもっと発揮させられる、いいアーティストになりたいといつも願ってきたし、本当にいい形で自分たち自身が表現できたらと思ってきた。今度のレコードでは、まあ、それができたって感じかもね。

COMMENT

各界著名人より「本作もイッツ・オールライト、イッツ・オーケー!」なコメントが到着!

(敬称略・五十音順)

ロックバンドとして批評的なアプローチで常にカウンターとして存在していたからこそ到達した、この堂々たるロックバンド風情が今や感動的に映るとは、多感な時期、デビューから彼らを追い続けてた自分として感慨深いものを感じ胸がいっぱいになるのだ。
全編に漂うシューゲイザー、サイケデリック、ブルースへのアプローチも、あくまでプライマルスクリームのそれになっているところ、偉大なレジェンドたちとの競演、そこに彼らなりのサンプリングという名のオリジナリティーを感じます。
アルバム順も最強。
サイケデリックロックにポジティブなイメージをもってなかった僕ですが、曲順通り聴けば納得。
光が差します。
傑作「スクリーマデリカ」を思い出させる見事な足し算、昨今のEDMサウンドに対する距離感とヴィンテージソウルやニューカントリーに対する彼らなりのアプローチやスタンスでさえも感じる。
なーんて言いながら、まぁこれ踊れるじゃんと。俺にとってプライマルスクリームとはいくら形態を変化させても最終日にはダンスミュージックとして受け止めている。フィジカルなアプローチに長けているから洋楽聴かない10代にも平気で勧めれる。これいいだろ?めちゃくちゃノレルぜと。
そこに立つこと。
気づいてたら立っていたこと。
その事実を受け入れ、凛と立ち、僕らに大丈夫と歌うボビーに、プライマルスクリームに拍手を送るとともに、久方ぶり観ていないライブへ思い焦がれるおいら。
というわけでもちろん僕がパーソナリティーを務めるオールナイトニッポンでも特集したいし、DJでもガシガシかけたい所存。オーライ、オーケー?

大谷ノブ彦(ダイノジ)

すべての音楽スタイルを飲み込みプライマル流に吐き出された音は、まさにサウンドマニアの奴らだから成せる技。
進化とノスタルジアの融合。
裏切りなしの会心の一撃。
最強メンバーで作り上げた今回のアルバムを聞けば、現在のロックシーンにとって奴らの存在がいかに重要なのかが解るはず。

北村信彦(HYSTERIC GLAMOUR)

冒険を常に恐れないプライマル。彼等は常に俺の指針とするバンドである。傑作。

木下理樹(ART-SCHOOL)

これは実に素晴らしいです。
ロックを基軸にしつつも革新的な要素を取入れて作るという、プライマルらしさを表現しながらも、今回はサイケデリックな一面も垣間見えます。
これはおそらく ”スクリーマデリカ”以上の作品だと思います。
5年ぶり発表の本作を「期待してもいいか?」と訊かれると「当然!」と言う答えがふさわしいでしょう。
プライマル好きな人だけではなくプライマルを好きになる人にもお勧めです。

栗原類

個人的には00年にリリースした「Xtrmntr」以降、プライマルスクリームの作品を聴いていなかった。
なので、すごく久しぶりな感覚になるかな~と思ったら「何これ凄い!」が最初の印象。若返ったような感じがして一体どうなってるんだろう?!
このバンドが今まで作ってきた物語を知らなくても楽しめる音だと思う。各楽器の音の絡みとか、音質とか拘ってるポイントが伝わってくる。
じゃあ、この作品って一言でいうと。。かなり難しい。
伝統的な技術と新しい技術でロック的なものを、もう一度作り直しているような印象があった。
もう一度確認しながら、ロックを魅せたい!という思いが伝わってくる。
それ以外に何かヒントはないだろうかと紙資料を見ていたら「このアルバムは最先端のロックンロールだ」というボビー先生のお言葉が。そう思う。

中村弘二(iLL, LAMA)

NEW ALBUM

プライマル・スクリーム モア・ライト PRIMAL SCREAM MORE LIGHT

『このアルバムは最先端のロックンロールだ。すごくサイケデリックで、オーケストラみたいにギターを使ってる。 いろんな楽器の中にギター・サウンドを織り込んでいるんだ。』 ボビー・ギレスピー

すべての音楽を呑みこんで進化してきたプライマル・スクリーム。前作『ビューティフル・フューチャー』から5年振り、2011年の『スクリーマデリカ』20周年記念ボックスを挟み、通算10作目の新作『モア・ライト』が完成。プロデューサーにデヴィッド・ホームズ(ベルファスト出身のテクノDJ/サントラ・コンポーザー、プライマルのアルバム「エクスターミネーター」にリミキサーとして参加している)を迎え制作。様々な楽器の中にギター・サウンドを織り込み、まさに彼らにしか造ることの出来ない、映像的に鳴り響くサイケデリックでロックンロールな楽曲群。オープニング(「2013」)〜エンディング(「イッツ・オールライト、イッツ・オーケー」)まで、まさに1本の映画を見ているような、シネマティックなアルバムに仕上がっているのも特徴と言える。これは近年サウンドトラックも手掛けるようになったプロデューサー、デヴィッド・ホームズの影響も大きいかもしれない。

新作には、過去にもプライマル・スクリームのアルバム『イーヴル・ヒート』(2002年)収録の「ザ・ロード・イズ・マイ・ショットガン」でブルース・ハープを披露したロバート・プラント(レッド・ツェッぺリン)や、ボビーのフェイヴァリット・ギタリストの一人にして、過去にプライマルのツアー・メンバーとしても参加していた盟友ケヴィン・シールズ(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)、自身のアルバム『ザ・ポリティックス・エンヴィ』(2012年)収録の楽曲「アウトノミア」にプライマル・スクリームが参加し、共演経験もあるマーク・スチュワート(ザ・ポップ・グループ)ら豪華ゲスト陣が参加。

「プライマル・スクリームの作品で歌ったのは、音楽の輝かしい歴史を振り返って参考にして、 それを現代の社会に持ってくるプライマルのやり方が素晴らしいと思うからなんだよ。」 ロバート・プラント

日本盤には嬉しい2曲のボーナス・トラックとして、元MC5のギタリストにして、パティ・スミスの亡夫フレッド“ソニック”スミスと、元ストゥージズのドラマーのスコット・アシュトンが中心となり70年代後半にかけて活動した、伝説のバンド=ソニックス・ランデヴー・バンドの「シティ・スラング」のカヴァーと、全米No.1シングル「ワイルド・シング」で有名な、1960年代のブリティッシュ・ビート・バンド、ザ・トロッグスの「アイ・ウォント・ユー」のカヴァーを収録。

CD1

01. 2013(トゥエンティー・サーティーン) / 2013
02. リヴァー・オブ・ペイン / River Of Pain
03. カルチャーサイド / Culturecide
04. ヒット・ヴォイド / Hit Void
05. テネメント・キッド / Tenement Kid
06. インヴィジブル・シティ / Invisible City
07. グッバイ・ジョニー / Goodbye Johnny
08. サイドマン / Sideman
09. エリミネイション・ブルース / Elimination Blues
10. ターン・イーチ・アザー・インサイド・アウト / Turn Each Other Inside Out
11. リラティヴィティ / Relativity
12. ウォーキング・ウィズ・ザ・ビースト / Walking With The Beast
13. イッツ・オールライト,イッツ・オーケー / It's Alright, It's OK
14. アイ・ウォント・ユー(ザ・トロッグスのカヴァー) / I Want You (Cover version of The Troggs)*
15. シティ・スラング(ソニックス・ランデヴー・バンドのカヴァー) / City Slang (Cover version of Sonic's Rendezvous Band)*

* 日本盤のみのボーナス・トラック

CD2

01. ナッシング・イズ・リアル / ナッシング・イズ・アンリアル / Nothing Is Real / Nothing Is Unreal
02. レクイエム・フォー・ザ・ロシアン・ティー・ルームズ / Requiem For The Russian Tea Rooms
03. ランニング・アウト・オブ・タイム / Running Out Of Time
04. ワーム・テイマー / Worm Tamer
05. テーマ・フロム・モア・ライト / Theme From More Light
06. 2013(ウェザオール・リミックス) / 2013 (Weatherall Remix)

ABOUT:NEW TRACK「2013」

2013年5月8日に5年振り、通算10作目となる新作『モア・ライト』を発売するプライマル・スクリーム。
この混沌とした時代(=2013年)に届けられた、新作のオープニング・トラック「2013」に関して、ボビーが語る!!!

僕らは、ものすごくエクストリーム・・・極端な時代に生きている。
でも、そんな事実は普段耳にするような音楽には決して反映されてないと思う。
みんな、どんどん「非政治的」になってるというか「非政治化」されているというか・・・。
だけど、それに対する適切な抵抗運動とか批評はあまり見かけない。
基本的に、音楽に関しては、そうだと言えるんじゃないかな。
僕らの音楽がそうなればいいというか、少なくともそんな問題に取り組んだつもり。
ここには怒りの声もあれば、抵抗の姿勢もある。 でもさ、どうして誰も抵抗しないのかな? なぜ、みんな声をあげない?
みんな死んだみたいに押し黙って・・・。 まあ、大抵「世間の人達」は「今起こってる事」に関して、そうなりがちだけどね。
みんな、もうちょっと目覚めて欲しい。実際に今なにが起こっているのか、目を見ひらいて凝視して欲しい。
だからさ、J・G・バラード(注:『結晶世界』などの作品で有名なSF作家)が亡くなるちょっと前に言ってたんだけど
「今はサイエンス・フィクション(SF)小説を書く必要はないのかもしれない。だって、僕らはかつてそこに描かれたような世界を生きているのだから」。
激しく同意するね。だからこの曲は、そういった類の問題を扱ったものだと、もしかしたら言えるかもしれない・・・。
僕らが向かってるのは、決して「賢明」とは言えない時代であるような・・・
だけど、誰もそう言ったり書いたりしない・・・どころか、気づいてさえいない人も多い・・・。
みんな寝てるか、麻酔にでもかかってるか・・・。

ABOUT:SINGLE「IT'S ALRIGHT, IT'S OK」

ボビーが語る今作のシングルでもあり、アルバム本編のエンディング・トラック「イッツ・オールライト、イッツ・オーケー」とは。

このアルバムの曲順を最初アンドリューが考えたとき、アナログ盤2枚組みたいな感じになってた。だけど、最終的に、今回はデヴィッド・ホームズの提案した曲順がいいんじゃない? ということになった。映画みたいな流れになってるでしょ。「2013」がオープニング・クレジット。2曲目の「River Of Pain」でストーリーが始まる。そこから本編に入っていき、最後に「It's Alright, It's OK」。僕らは、これを聴いてくれるみんなにトリップしてほしいと思ったんだよね。まさに、旅に出る、って感じで。そしてエンド・ロール・クレジットっぽい「It's Alright, It's OK」では、いい気分で映画館から出てほしい・・・みたいな。わりと明るい気分でさ。そんな感じかな。いろんな曲順を試してみたけれど、何度も聴いて、これがベストだと思った。まあ、うまくいったんじゃないかな。

ABOUT:ALBUM TITLE『MORE LIGHT』

2013年(「2013」)と言う混沌とした時代に差し込む一筋の“ポジティヴ”な光(『モア・ライト』)。
アルバム・タイトルに関して、ボビーはこう語る。

『More Light』というのが、いいと思ったんだよね。普段は暗がりになっているところに、まぶしい光が射しこんでくるような感じ。人目にふれない「隠された場所」というか、みんながあまり口にしたがらないような、それについて語るのもはばかられるような、そんな場所とか物事にね。実際、このアルバムのいくつかの曲では、そう言ったことについて歌われている。僕自身は、朝起きて、カーテンやブラインドを開けて、ぱっと光が入ってくる瞬間が好き。そんな感覚、生まれかわったような、インスピレーションにあふれた・・・言うなればポジティヴな感覚。だけど、これまでの僕らのアルバム・タイトルといえば、『Exterminator』とか『Vanishing Point』とか『Evil Heat』とか、なんというか・・・このアルバムにも、そういった激烈な部分はあると思う。だけど、もうちょっと前向きというか、そうだな、暗がりの時期から脱けだして、いい時期に向かっていくようなものであってほしい。だからさ、なんというか、世界というのは真っ暗な場所だと思うんだけど、もうっちょっと光が差しててもいいんじゃないか、そうできるんじゃないか・・・みたいな・・・。僕らがいる場所も、そんなに悪くはないんじゃないか・・・。僕らは今も生きてる。ずっとそうだった。そんな感覚をもっと発揮させられる、いいアーティストになりたいといつも願ってきたし、本当にいい形で自分たち自身が表現できたらと思ってきた。今度のレコードでは、まあ、それができたって感じかもね。

BIOGRAPHY

PRIMAL SCREAM

Bobby Gillespie | ボビー・ギレスピー
Andrew Innes | アンドリュー・イネス
Martin Duffy | マーティン・ダフィ
Darrin Mooney | ダリン・ムーニー
Barrie Cadogan | バーリー・カドガン
Simone Butler | シモーヌ・バトラー

ジーザス&メリー・チェインのドラマーだったボビー・ギレスピーを中心に結成。1985年にシングル「All Fall Down/It Happens」の7インチをクリエイションからリリース。87年発売されたデビュー・アルバム『ソニック・フラワー・グルーヴ』はバーズなど、60年代のフォーキー/サイケデリックの要素を感じられるサウンド、89年に発売された2ndアルバム『プライマル・スクリーム』は、MC5、ストゥージズなどのガレージ・ロックや、ニューヨーク・パンクなどの60〜70'sロックンロール・サウンドになっている。91年には当時のアシッド・ハウス・ムーヴ・メントに触発され、アンディ・ウェザオールと邂逅し、ハウス、テクノ、ダブ、ソウルをプライマル・スクリームのサウンドに注入することで昇華し、音楽シーンに燦然と輝く、歴史的名盤『スクリーマデリカ』を発売。音楽シーンの中で不動の地位を確立した。94年にはトム・ダウトらのプロデューサー陣と組み、アメリカのルーツ・ミュージックを、Pファンクのジョージ・クリントンや南部系のミュージシャンらをゲストに迎え『ギヴ・アウト・バット・ドント・ギヴ・アップ』(4thアルバム)を発売。「ロックス」等のビッグ・ヒットが生まれ、日本でも大ブレイクを果たす。96年には映画『トレインスポッティング』のサントラへの参加、バンドのベーシストにストーン・ローゼスのマニが加入、97年には、ダブやレゲエに傾倒して行った中で『バニシング・ポイント』(5thアルバム)と、エイドリアン・シャーウッドがミックスを手掛けた、『バニシング・ポイント』のダブ・アルバム『エコー・デック』を発売。2000年には、ボビーのパンク・ロッカーとしての哲学、攻撃的な歌詞世界に、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズ、ニュー・オーダーのバーナード・サムナーらが参加した『エクスターミネーター』(6thアルバム)、02年にはアンディ・ウェザオールのトゥー・ローン・スウォーズメン、マイ・ブラッティ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズらがプロデューサーを務め、ロバート・プラント、ケイト・モスが参加、ジャーマン・ロックへのアプローチもみせた『イーヴル・ヒート』(7thアルバム)を発売。06年には、プロデューサーにキリング・ジョークのユースを迎え、ブルース、ガレージ、カントリー、ブギ、米ルーツ・ロックをプライマル流に再構築した、原点回帰的な作品『ライオット・シティ・ブルース』(8thアルバム)を、08年にはポール・エプワース、ユースらをプロデューサーに迎え『ビューティフル・フューチャー』(9thアルバム)を発売。11年には20周年を迎えた名盤『スクリーマデリカ』の記念盤を発売し、『スクリーマデリカ』を再現ライヴも敢行。また同年、ベーシストのマニがストーン・ローゼスの再結成に伴い、脱退。次の展開が期待される中、すべての音楽を呑みこんで進化してきたプライマル・スクリームが2013年5月8日、いよいよ10枚目の新作『モア・ライト』を発売する。

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