イル・ディーヴォ「グレイテスト・ヒッツ」メンバーによる楽曲解説

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2 「オールウェイズ・ラヴ・ユー」(I Will Always Love You)
デイヴィッド:「オールウェイズ・ラヴ・ユー」は美しいメロディの美しい曲です。様々な形で生まれ変わっているのが興味深いですね。最初に歌ったのはドリー・パートンでした。彼女がこの曲を書いたときは、カントリー・ソングとして書いたのですよね。その後、映画「ボディガード」でフィーチャーされたときは、ホイットニー・ヒューストンが歌いました。あれがこの曲の美しく象徴的なバージョンになりましたね。今年(2012年)、彼女が亡くなってしまったと聞いたときはとても悲しく、喪失感がありました。この曲を僕たちがやるのは素晴らしいことだと思いました。こういう象徴的な曲の素晴らしいメロディを歌うことによってこの曲に敬意を表し、自分たちのバージョンでできる限りの最高の歌を歌うというのは、アルバムに曲を収録するにあたり明らかな選択でした。

3 「好きにならずにいられない」(Can't Help Falling In Love)
セバスチャン:「好きにならずにいられない」を取り上げたのは素晴らしいアイデアでしたね。憶えていますよ、あれはデイヴィッド・ミラーでした。ここにいます。
デイヴィッド:助けて〜。
セバスチャン:称えずにはいられませんよ。デイヴィッド、あれは君のアイデアだったよね。憶えてるよ。ブレスト(ブレインストーム)をやっていたとき、出してくれたんだよね。「グレイテスト・ヒッツ」のとき。あれは素晴らしかったよ。憶えているかい?
デイヴィッド:ああ…あまりよく憶えていないけど、そうだったね。すべて僕のおかげだ。
セバスチャン:すべて彼のおかげです。
デイヴィッド:僕ですね。
セバスチャン:ご存知の通り、素晴らしい曲です。エルヴィス・プレスリーを嫌いな人なんていませんからね。「マイ・ウェイ」もそうですが、ああいう名曲をやるのはいつも挑戦です。人々の予想を裏切ろうとするのは大変ですね。何度もカヴァーされている訳ですから。とても難しいことでしたよ。メキシコシティをツアーしていたときのことを思い出します。スタジオに入ってレコーディングを始めたら、魔法のような出来事が起こった、と思いました。僕たちの主要曲の一つになる気がしますね。「グレイテスト・ヒッツ」を代表する曲ですよ。みなさんにも、僕たちがこの曲を気に入っているのと同じくらい気に入っていただけたらと思います。 ウルス:僕にとっての「好きにならずにいられない」はちょっと変わっています。というのも、この曲を歌うというアイデアが出たとき僕はUB40のバージョンしか知らなかったのですよ。そんなに大ファンではないグループの…。どう聴いてもレゲエですしね。ですから、「何だって?」と思ってしまいました。この曲を一体どうするんだ?イル・ディーヴォがレゲエをやるのか?と思ってしまいましたよ。全く想像がつきませんでした。でも、勿論、後になってオリジナル曲はエルヴィス・プレスリーが歌ったと聞きました。(UB40とは)全く違う曲ですよね。それで、イル・ディーヴォ的な曲の選択肢として納得がいきましたよ。実際、僕たちのバージョンもこちらをベースに作りました。とてもすてきに仕上がったと思いますよ。美しいメロディであることには間違いありません。みなさんにも楽しんでいただければと思います。

4 「アローン」(Alone)
カルロス:「アローン」のオリジナルを歌っていたのはハート。80年代の素晴らしいロック・バンドです。初めてこの曲を聴いたときは、ハートのバージョンとセリーヌ・ディオンのバージョンを聴きました。「おお、これはいい曲だ」と思いましたね。「オール・バイ・マイセルフ」に似た雰囲気がありますし、メロディも壮大ですからね。「よし、やってみよう」と思いました。そこで早速スタジオに入って録音してみたらすばらしいものができました。僕自身、個人的にとても満足しています。僕たちにはとても合っている気がしますからね。ファンタスティックでパワフルな曲です。
ウルス:僕たちのバージョンにはギター・ソロがないのが寂しいですね。ギター全般が好きだからということだけではなく、ハートのオリジナル・バージョンのギター・ソロが特に美しいと思うので。ただ、僕たちはまだディストーションのかかったギターを使う境地には至っていませんからね。イル・ディーヴォらしくないといいますか。でも、僕もカルロスと同じで僕たちのバージョンもとてもいい出来になったと思います。やっとこの曲を取り上げることができて喜んでいます。個人的にずっとやってみたかった曲のリストに入っていましたから。

5 「アンチェインド・メロディ」(Unchained Melody)
セバスチャン:過去8年間の僕たちを体現するというビッグなアルバムを作るときに不可欠な、いつも(ファンの)反響の最も大きな曲が「アンチェインド・メロディ」です。いつも素晴らしい反響をいただいています。みなさんが僕たちのバージョンを楽しんでくれているのです。
デイヴィッド:ツアーでも、いつも素晴らしい反応がありますね。オーディエンスの顔がとにかく輝くのですよ。すぐに分かる、象徴的なメロディですからね。多分、コンサートでは毎回歌っているのではないでしょうか。
セバスチャン:ええ、そうですね。
デイヴィッド:ワールド・ツアーで。とにかく人々の心を掴む曲ですね。いつもすばらしいリアクションが返ってきますよ。
ウルス:どこで歌っても…世界のどこで歌っても…数百回は歌ったと思いますが、僕はいつもとあるアンティーク・ショップを思い出すのですよ。以前ツアーで訪れた、カナダのハリファックスにあるお店です。どうしてだか全く見当がつきません。全く唐突なものですから。でも毎回、ステージに立つたびにそれがアジアでもメキシコでもヨーロッパでも、「アンチェインド・メロディ」を歌うたびにカナダのハリファックスにあるあのアンティーク・ショップを思い出すのです。どうしてかは分かりません。全く唐突な話です。
セバスチャン:不思議な話ですね。
デイヴィッド:いい話じゃないか。パーティでも話すべきだよ。
ウルス:そうだね、そうしよう。

16 「アルゼンチンよ、泣かないで」(Don't Cry For Me Argentina)
カルロス:「アルゼンチンよ、泣かないで」は大きなサプライズでしたね。前回のアルバムでこの曲をやると聞いたとき、うーん…と思いました。ミュージカル「エビータ」の女性に向けて書かれた曲ですし、どうやって歌えばいいんだ?と思ったのです。ともあれ、歌ってみたらファンタスティックなものができました。今回のツアーでも最重要曲の一つですね。すばらしい反応をいただいていますよ。大きなフィナーレに向けて曲を築き上げていくところが良いのでしょうね。僕たちにもとても合っていると思います。
ウルス:「アルゼンチンよ、泣かないで」に関してはサイモン(・コーウェル)のおかげによるところが大きいですね。前回のアルバム「ウィキッド・ゲーム」を録音していたとき、僕たちはたくさんの時間を費やしました。様々なレパートリーを検討し、様々なプロデューサーに相談しました。そうやって長い時間をかけて取り組んできたのに、まだ1曲足りなかったのです。そうしたらサイモン・コーウェルが…彼がどうやって思いついたのは分かりませんが、ある朝「『アルゼンチンよ、泣かないで』をやるべきだ」と思いついたのですよ。そうして、僕たちに提案してくれました。「ええっ?」と思いましたよ。今までやったレパートリーとは合わないじゃないかと。今回の路線とは全く関係ないじゃないか、と思いました。でも、カルロスが言ったように、やってみたら…なかなかすてきなバージョンができたと思います。今では世界中で歌いました。2012年のワールド・ツアーでも。みなさんもすっかり気に入ってくださいましたしね。サイモン、あなたの感性には文句の付けどころがありませんよ。

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