ジョニー・ウィンター『ウッドストック・エディション』

ジョニー・ウィンター『ウッドストック・エディション』

2009年7月22日発売 SICP2320〜1 2枚組:¥3,780(税込)

完全生産限定盤●紙ジャケット仕様●未発表*収録
両面刷り折込ポスター付●解説・歌詞・対訳付

米盤(CS9826)をA式シングル・ジャケットにて再現

DISC 1 : JOHNNY WINTER

1. アイム・ユアーズ・アンド・アイム・ハーズ 6. リトル・スクール・ガール
2. ビー・ケアフル・ウィズ・ア・フール 7. いい友だちがいるならば
3. ダラス 8. アイル・ドローン・イン・マイ・ティアーズ
4. ミーン・ミストレリーター 9. バック・ドア・フレンド
5. レランド・ミシシッピー・ブルース  

テキサス生まれのギタリスト、ジョニー・ウィンター。アメリカ随一のブルース・ロック求道者だ。そしてこのメジャー・デビュー作『ジョニー・ウィンター』こそが、40年間、非の打ち所のない音楽を作りつづけた彼のキャリアの出発点だった。

30万ドルという途方もない契約金でコロムビア・レコードに迎えられたウィンターとそのバンド —— 弟でキーボードのエドガー、ベースのトミー・シャノン(のちにスティーヴィー・レイ・ヴォーンのバンド、ダブル・トラブルの一員になる)、ドラムスのアンクル・ジョン・ターナー —— はナッシュヴィルのスタジオに入り、強力なオリジナルとカヴァー曲をテープに収める。ロバート・ジョンスン(「いい友だちがいるならば」)、サニー・ボーイ・ウィリアムスン(「リトル・スクール・ガール」)、ライトニン・ホプキンス(「バック・ドア・フレンド」)、B.B.キング(「ビー・ケアフル・ウィズ・ア・フール」)といった偉大な先達の名曲が並ぶが、ただの物まねには終わっていない。どの演奏にも本物の証である彼らの個性がはっきりと刻まれている。もちろんオリジナル・ナンバーの出来もカヴァーにひけを取らない。「レランド・ミシシッピー・ブルース」「アイム・ユアーズ・アンド・アイム・ハーズ」、そしてデルタ・ブルースの「ダラス」。スライドもエレキも自在に操るウィンターの類い希なる才能が光る名演ぞろいだ。

ブルース界の巨人ウィリー・ディクスンとハープの達人ウォルター・ホートンのゲスト参加も、この名作の評価をさらに高いものにしている。1969年6月に発売された本作『ジョニー・ウィンター』は好評を博し、批評家筋からも絶賛された。「このアルバムで彼はジョニー・ウィンターという個性と、新たなギター・ヒーローという地位を確立した」とレガシーのプロデューサー、ボブ・アーウィンは言う。ウィンターの実力が存分に発揮された本作は今もファンの間で高い人気を誇っている。

DISC 2 : RECORDED LIVE AT THE WOODSTOCK MUSIC & ART FAIR, SUNDAY, AUGUST 17, 1969

1. ママ・トーク・トゥ・ユア・ドーター * 5. アイ・キャント・スタンド・イット *
2. レランド・ミシシッピー・ブルース * 6. タバコ・ロード *
3. ミーン・タウン・ブルース 7. テル・ザ・トゥルース *
4. ユー・ダン・ロスト・ユア・グッド・シング・ナウ * 8. ジョニーBグッド *

「知られざるアーティストと人気のあるアーティストを並べるのは作戦だった」と共同プロデューサーのマイケル・ラングは言う。「サンタナは無名、ジョー・コッカーも無名、クロスビー・スティルス&ナッシュもグループとしてはまだ無名だし、ジョニー・ウィンターも無名だった。うけると思った新顔を紹介したかったんだ」

映画『ウッドストック』でも見られないし、どのオリジナル・アルバムでも聴けないからだろう。ジョニー・ウィンターが伝説のフェスティヴァルに出たことはあまり知られていない。もちろん、だからといって彼のステージがぱっとしなかったことにはならない。実際、とてつもないパフォーマンスだった。それがこの正真正銘の初登場となる全8曲だ。
ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズの後を受けて登場したウィンターとそのバンド——弟エドガー(kb)、トミー・シャノン(b)、アンクル・ジョン・ターナー(dr)——はアクセル全開の強烈なパフォーマンスを披露。エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、ピーター・グリーンなど、当時のロック界に君臨したギターの神たちと肩を並べる巨大な才能の存在を音楽界に知らしめた。
「ジョニーのセットリストはびっくりするくらいルーズでね」と言ってボブ・アーウィンは目を丸くする。「弟のエドガーがステージに出てきて、ひと言『(曲目は)とくに決めてないんだ』。それまでで一番の大舞台だというのに、浮ついたところは微塵もない。普段と変わらない感じで、ぶっつけ本番で演った。たいしたものだよ」
「ママ・トーク・トゥ・ユア・ドーター」を皮切りに、バンドはカヴァー(「タバコ・ロード」、チャック・ベリーの代名詞「ジョニー・B・グッド」)とオリジナルをバランスよく配し、発売間もないデビュー・アルバムから「レランド・ミシシッピー・ブルース」も披露している。「ミーン・タウン・ブルース」でのウィンターのプレイは聞きものだ。12弦エレキから繰りだす火傷しそうなほど熱いリックの数々と泥臭いスライド。そしてその勢いに拍車をかける、才能豊かなバックバンドによる推進力抜群のプレイ。「テキサス・ブルースと50年代のロックンロールを合わせたサウンドがうけまくっていた」とラングは激賞する。「あれほどの腕だからね、夢中にならないほうが難しいよ。あのルックスとプレイに、会場中の人間がいちころだったんだ」