2009年7月22日発売 SICP2318〜9 2枚組:¥3,780(税込)
完全生産限定盤●紙ジャケット仕様●未発表*収録
両面刷り折込ポスター付●解説・歌詞・対訳付
米盤(CS9781)をA式シングル・ジャケットにて再現
1. ウェイティング | 6. パースエイジョン |
2. イヴィル・ウェイズ | 7. トリート |
3. シェイズ・オブ・タイム | 8. ユー・ジャスト・ドント・ケア |
4. セイヴァー | 9. ソウル・サクリファイス |
5. ジンゴー |
1968年、コロムビア・レコードと契約したサンタナはアルバムを完成させる。だがレーベルは最終的に発売を見送った。「レーベルかバンド自身か、あるいはその両方だったのかもしれないが、とにかく彼らには叡智と洞察力があった」とレガシーのプロデューサー、ボブ・アーウィンは言う。「このバンドにはもっといいものを作れるポテンシャルがあると見抜く力がね」
再びスタジオに入って録り直したデビュー・アルバムは、1969年8月のウッドストックにおける衝撃のステージから間もなく発売される。プロデュースはカルロス・サンタナとブレント・デンジャーフィールド。内容はあの日のパフォーマンスに劣らない、期待どおりのものだ。アフロ&ラテン・ロック的なスタイルとブルース&ジャズ風のフリーフォームなインタープレイが絡み合い、そこに曲作りの熟練の技が色を添えている。アルバムの中で最もポップな「イヴィル・ウェイズ」は彼ら初のトップ10ヒットを記録。同曲は今もクラシック・ロック・ラジオ局の定番だ。
本作の特徴はなんといっても、カルロス・サンタナと才能豊かなメンバーたち——グレッグ・ローリー(kb, vo)、デイヴ・ブラウン(b)、マイケル・シュリーヴ(dr)、ホセ“チェピート”アリアス(per)、マイク・カラベロ(per)——が産み出すタイトなグルーヴにある。ウッドストックで珠玉の演奏を見せた「ソウル・サクリファイス」はここでも光っている。シュリーヴの雄々しいドラミングが力強いことこの上ない。「ウェイティング」も聞きものだ。ローリーのうねるオルガン、シュリーヴのマシンガン・ドラム、そしてサンタナの卓越したギターが三つどもえの戦いを繰り広げている。
『サンタナ』の新鮮な響きは、本作が初めて世に放たれた40年前からまったく変わっていない。グルーヴの奥から聞こえてくるのは喜びに溢れた音。それを奏でるのはいまを生きるバンド、音楽という共通の言語で結ばれたバンド、底なしの想像力、躍動するパーカッシヴなリズム、火を吹きそうなほど熱いオルガンの響き、そして圧巻のリードギター・プレイで名高いバンドだ。「当時、こんなレコードは聴いたこともなかった。舌を巻くとはこのことだ」とアーウィンも認める。本作の発売から間もなく、サンタナは一躍、期待の新人として全米の注目を集める存在になる。
1. ウェイティング | 5. ジンゴー |
2. イヴィル・ウェイズ * | 6. パースエイジョン |
3. ユー・ジャスト・ドント・ケア | 7. ソウル・サクリファイス |
4. セイヴァー | 8. フライド・ネックボーンズ |
しかるべき時、しかるべき場所にいるかいないかで、世界が大きく変わることがある。それと、力のある人物が知り合いにいるのも悪くない。敏腕プロモーター、ビル・グラハムのもとに電話が入ったのは、土壇場でのことだった。ニューヨーク州ベセルにおける三日間の音楽祭の件で、力を貸してもらえないだろうか。抜け目のない男グラハムはフィルモア・ウェストで人気の、自らがマネージメントするバンドの出演を約束する。
素晴らしい。
1969年8月16日の午後、サンタナはウッドストックのステージに立つ。盛り上がるベイ・エリア・シーンの人気者も、他ではほとんど名が知られていなかった。だがステージを誇らしげに後にしたとき、彼らはウッドストックにおける最大のサプライズになっていた。「サンタナの音は強力で斬新すぎたから、理解するのに少し時間がかかったけれど、最後にはみんなぶっ飛んでいた」とウッドストックの共同プロデューサー、マイケル・ラングは振り返る。
ラテン・ロックとブルースを混ぜ合わせた演奏で、サンタナは自らのキャリアを構築した。「〈ソウル・サクリファイス〉でのマイケル・シュリーヴのドラムソロ。あの瞬間に客の心を根こそぎ掴んだ」とラング。「あれほどの大観衆と繋がれることがわかって、それで彼らは目覚めたんだ。スターの誕生だよ」
45分間のステージのギャラはたったの1500ドル。だがその熱いステージは金の心配など木っ端微塵に吹き飛ばすものだった。当時は知るよしもなかったが、サンタナはこの日のパフォーマンスで歴史を作ったのだ。「あれがブレイクのきっかけだった」とボブ・アーウィンは語る。「サンタナは自らの存在を世界に知らしめたんだ」