『宇宙戦争』をSACDという新しいフォーマットでやり直せたことは、作曲家、アレンジャー、指揮者、そしてプロデューサーとしての自分のキャリアの、まさにひとつのハイライトでした。完成した作品は、大げさではなく、リスナーが『火星人、ビクトリア時代の英国に襲来』の録音現場に居合わせている、といった仕上がりになりました。音楽伝達プラットフォームとしてSACDが持つパワーと輝くような素晴らしさが、間違いなくここにあるのです。 ― ジェフ・ウェイン
火星人来襲
THE COMING OF THE
MARTIANS
火星人に支配された地球
THE EARTH UNDER THE MARTIANS
1. 戦争前夜
  THE EVE OF THE WAR
Featuring Richard Burton and Justin Hayword
2. ホーセル公有地と熱線
  HORSELL COMMON AND THE HEAR RAY
Featuring Richard Burton
3. 砲兵と戦闘機械
  THE ARTILLERYMAN AND THE FIGHTING MACHINE
Featuring Richard Burton and David Essex
4. 永遠の秋(フォーエヴァー・オータム)
  FOREVER AUTUMN
Featuring Richard Burton and Justin Hayword
5. サンダー・チャイルド
  THUNDER CHILD
Featuring Richard Burton and Chris Thompson
1. 赤い草(第1部)
  THE RED WEED (PART 1)
Featuring Richard Burton
2. 人間の精神
  THE SPIRIT OF MAN
Featuring Richard Burton Phil Lynott and
Julie Covington
3. 赤い草(第2部)
  THE RED WEED (PART 2)
Featuring Richard Burton
4. 砲兵の帰還
  THE ARTILLERYMAN RETURNS
Featuring Richard Burton and David Essex
5. 素晴らしい新世界
  BRAVE NEW WORLD
Featuring Richard Burton and David Essex
6. 死のロンドン
  DEAD LONDON
Featuring Richard Burton
7. エピローグ(第1部)
  EPILOGUE (PART 1)
Featuring Richard Burton
8. エピローグ(第2部)
  EPILOGUE (PART 2) (NASA)
Featuring Jerry Wayne as NASA voices
2005年8月10日─遂に『宇宙戦争』が帰ってくる。ミュージカル・ヴァージョンの『宇宙戦争』が我々の目の前に帰ってくるのだ! しかも、5.1chサラウンド・サウンドのハイブリッドSACDに豪華なブックレット付で!
 『宇宙戦争』のオリジナル・リリースは1978年のこと。作曲家、編曲家、指揮者、プロデューサーなど、さまざまな肩書きをもつジェフ・ウェインの手によって地球に現れて以来、長年に渡ってファンに愛され続け、その一方で、若い世代の新たなリスナーも増やしてきた〈真の名盤〉。“戦争前夜”と“永遠の秋(フォーエヴァー・オータム)”はシングルとしてヒット。高い人気と評価を得た本作は、結果的に世界で1300万枚を売り上げるというモンスター・ヒットを記録。世界中で数多くの賞賛を受け、イギリスのチャートにいたっては連続260週以上ランクインするなど、驚異的なロングセラー作品となった。
 火星人の侵略を描いたSF作家H.G.ウェルズの代表作にインスパイアされた大作「ジェフ・ウェインの『宇宙戦争』音楽版」は、プログレッシヴ・ロックとクラシックが理想的にクロスオーヴァーし、さらに文学的な要素が盛り込まれた、贅沢なサウンドがスピーカーから響き渡る。名優リチャード・バートンが魅力的なナレーションを吹き込み、グラム・ロック時代からユーロビート時代までロックオンさせたデヴィッド・エセックス、ムーディー・ブルースのヴォーカル/ギターを担当していたジャスティン・ヘイワード、アイルランドから登場したカリスマ的なシン・リジィの中心人物フィル・リノット、名作ソロ・アルバムがある女性シンガー兼女優のジュリー・コヴィントン、マンフレッド・マンズ・アース・バンドで活躍していたクリス・トンプソン、数々の有名アーティストとの共演歴があるジョー・パートリッジといった、70年代の重要人物たちが参加。素晴らしいパフォーマンスを残している。
 当時『宇宙戦争』は、英国作曲家協会によるアイヴァー・ノヴェロ・アウォードで2部門を受賞している。そのひとつ、SF/ファンタジー部門ベスト・レコーディング賞の審査員はスティーヴン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、アルフレッド・ヒッチコックらだった、というエピソードもある。
 トータル・コンセプト・アルバムとしても楽しめる『宇宙戦争』。70年代の革新的なサウンド・プロダクションは、初めて耳にする世代にもフレッシュな感動を与えるはず。すべての地球人が誇ることのできる音楽遺産である!
100年以上前に書かれたH.G.ウェルズ小説
『タイムマシン』『透明人間』『モロー博士の島』に並ぶウェルズの代表作であり、SF文学界にさんぜんと輝く古典作品『宇宙戦争』─ある夜、火星の表面で無数のガス状の爆発が観測される。それから6年後、イギリスのあちこちに、夜空を切り裂いて緑色に輝く流星群が降り注ぐ。それは隕石ではなく、謎の物体だった。そこから現われたものは、醜悪な生物と巨大なマシーン。火星人の地球侵略……片っ端から破壊してゆく圧倒的な力の前に、人類はなすすべもなかった─H.G.ウェルズが『The War Of The Worlds』を発表したのが1898年。以来、活字以外の姿でも制作されている。1938年にはオーソン・ウェルズがラジオ・ドラマ化。10月30日の夜8時に始まった放送を現実のものと勘違いした人たちによってパニックとなったのは有名な話。パニックに巻き込まれた人は米西海岸を中心に100万人におよんだという。また、1953年にはジョージ・パルによって映画化されている。そんな『宇宙戦争』作品群の中でもジェフ・ウェインによる本作は極めて評価が高い。
“永遠の秋(フォーエヴァー・オータム)”は、『宇宙戦争』に収録されるより前の1972年に、ヴィグラス&オズボーンによるファースト・ヴァージョンがヒットしている。“秋はひとりぼっち”という邦題で大ヒット。オリコン・チャート2位を記録した70年代の洋楽ヒットである。ポール・ヴィグラスとギャリー・オズボーンは本作にも参加している。
『宇宙戦争』は、5.1マルチ・チャンネルのサラウンド・サウンド・ミックスとのダブル・ハイブリッドSACDでのリリース。5.1マルチ・チャンネルは、オリジナル版の70以上におよぶマルチ・トラック・テープの一音一音・一曲一曲を丹念に再構築。最新で最高の技術によってリミックスし、デジタル化。新たな生命を得た『宇宙戦争』を完全なサラウンド・サウンドで鳴らせば、火星人も圧倒されることでしょう。
そのサウンドとともに強烈なインパクトを与えるのが、美しくも困惑を誘うアルバム・アートワーク。具現化された『宇宙戦争』のヴィジュアル・イメージは理想的であると当時から話題となっていた。46ページにもおよぶブックレットには、そのオリジナルのイラストレーション、さらに『宇宙戦争』のストーリーとアルバムの歴史を紹介するインフォメーションも満載。それらのインフォメーションやナレーション/台詞の日本語訳を収めた翻訳ブックレットも同梱と至れり尽くせり。SF作家、鏡明氏による発表時の解説も掲載。2005年のファンの所有欲をそそるとともに、未来の世代のファンも魅了すること間違いない!
ニューヨーク州フォレストヒルズ生まれ。歌手、俳優、舞台プロデューサーなどで名を馳せていた父ジェリーの影響から、幼少のころからピアノのレッスンを受ける。ロンドン、ニューヨーク、カリフォルニアと移り住み、大学卒業後に音楽の道へ。60年代末にミュージカル・スコアの作曲でキャリアをスタート。その後、CM、映画、レコードなどの作曲、アレンジ、プロデュースなど活動の幅を広げ、1974年にはデヴィッド・エセックス“ロック・オン”が全米No.1ヒットを記録。そして、3年の準備期間を経て、1978年に発表された『宇宙戦争』も記録的なヒットに。その後、ジャスティン・ヘイワードのプロデュースやザ・フーの映画のスコアをはじめ、レコードのみならず、映画、TVとさまざまなメディアで活動を続けている。
 ちなみに『宇宙戦争』で父ジェリーはエグゼクティヴ・プロデューサーを、作家の母ドリーンはスクリプト・ライターを務めている。
巨匠ジェフ・ウェインは本当に幅広いアーティストのプロデュースを手掛けている。リチャード・バートン、ジャスティン・ヘイワード、デヴィッド・エセックス、ヴィグラス&オズボーンといった『宇宙戦争』勢に加え、ザ・フー、アンソニー・ホプキンス、レディスミス・ブラック・マンバーゾ、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、ロンドン交響楽団(ゲスト指揮者としてステージにも)、アポロ・フォー・フォーティー、ヒューマン・リーグ、アッカー・ビルク、オービタル、トッド・テリー、Nトランス、ダリオG、サキン&フレンズ、マキシム、ワイルドなど、クラシックからトランスまでジャンルを問わず、新旧の世代の錚々たる名がリストに並んでいる。
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