■RANCID■
ティム・アームストロング (guitar/vocals)
マット・フリーマン (bass)
ラーズ・フレデリクセン (guitar/vocals)
ブレット・リード (drums)

カリフォルニア州アルバニーの労働階級集落で少年時代を共に過ごしたティムとマットは1987年、Operation Ivyを結成した。

サンフランシスコはイースト・ベイにあるパンク・シーンのメッカ、ギルマン・ストリートでシーンの要として活躍したが、わずか3年で解散。目標を失ってしまい、しばらくアルコールとドラッグに溺れていたティムは、マットの助けで何とか立ち直り、'91年、当時ルームメイトであったドラム歴わずか半年のブレットと共にRANCIDを結成した。
このオリジナル3ピースで、'92年にはOperation IvyやGreen Dayなどをリリースしていたバークレーにあるレーベル、Lookout!から最初のEPを、続く'93年にはEpitaphと契約し1stアルバム "Rancid"をリリースした。
このデビューアルバムに伴うアメリカ/ヨーロッパツアーの後、元UK SUBSのラーズがギタリスト兼シンガーとして新たに加入し、'94年には2ndアルバム "Let's Go"を発表、以後、この布陣に変化はない。"Let's Go"を引っさげてのワールドツアーを成功させた彼らのもとには、EpicやマドンナのMaverickなどたくさんのメィジャーレーベルからのアプローチが殺到することになるが、バンドはインディ・レーベルにとどまる(これについては3rdアルバム収録曲の "Disorder&Disarray"の歌詞を見よ!)。

スカやレゲエを消化した彼らが、音楽的多様性を増し、その独自のポップ性を更に発展させたのが、3rdアルバム "...And Out Come The Wolves"('95年)と4thアルバム "Life Won't Wait"('98年)の2作であった。 3rdアルバム "...〜Wolves"は、それまでレコーディングに1週間以上費やしたことのなかった彼らが、プロデュースにGreen Dayなどを手掛けたJerry Finn、ミキサーにNirvana,Sonic Youthなどを手掛けたAndy Wallaceを起用し、1ヶ月以上かけて制作した、最もメィジャー感のあるアルバムである。
実際、RANCID史上最もポップなネオ・スカ・アンセム "Time Bomb"が大ヒットした上、ワールド・ツアー(Ramonesとのカップリング・ツアーやロラパルーザへの出演等)の成功もあり、このアルバムはアメリカ、日本など各国でゴールド・ディスクを獲得している。続く4thアルバム "Life〜"は、 "...〜Wolves"の多様性を多彩なゲストを迎えて更に発展させたアルバムであった。1年以上かけてジャマイカ、ニューオリンズ、ニューヨーク、ロス・アンジェルスの各地を廻りレコーディングされたこのアルバムには、ダンスホール・レゲエのBuju Banton、スカのThe Specials、The Slackers、Hepcat、スカコアのMighty Mighty Bosstones、ニューヨーク・ハードコアのAgnostic Front、そしてRamonesのMarky Ramoneらが友情参加し花を添えた。

2000年、"Life〜"から約2年の時を経て、デビュー・アルバムに続き再びセルフ・タイトルを冠し原点回帰したと言える(且つこれまでで最もハードと言える)5th "RancidV"を完成させる。本作からティムが主催するEpitaph内のレーベル、Hellcatからのリリースとなり、マネージメントからも離れDIYスタイルを確立させた。サウンド、アティテュードの両面で、まさに彼らは完全無欠のパンク〜DIYスピリットへのレイドバックを果たしたのである。

そして前作より3年、ティムのTransplants、ラーズのLars Frederiksen And The Bastards、マットのDevil's Brigadeなど、各メンバーのソロ・プロジェクト活動の後、再びRANCIDとして硬く結束した彼らが6thアルバムをドロップする。この間、ティム&ラーズが離婚を経験、マット&ラーズは兄を亡くし、さらにRANCIDにとって“ヒーロー”だったジョー・ストラマー、ジョーイ・ラモーンがこの世を去るなど、つらい出来事を経験。それらを音楽を作ることで乗り越え、その先に見えた”希望”。 1st発売から10年たった彼らが放つ6thは、シンプル且つキャッチーな“パンク・アンセム”アルバムであり、また同時にそのサウンドの影にちらつく哀愁に心打たれる、RANCID史上最もヒューマニズムに溢れた感動作なのだ。
“不滅”“破壊できない”を意味するというタイトル「インデストラクティブル」。この言葉は、まさに今のRANCIDを象徴している――。

photo by : Mitch Ikeda