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★妹沢奈美の我がオアシス人生に悔いは無し〜
『ドント・ビリーヴ・ザ・トゥルース』レポ
オアシスの「変化」を実感した来日ライヴ
オアシス・来日ライブ Photo:MITCH IKEDA
いやはや、すごかったですオアシス@千葉マリン・スタジアム。「オアシスは変わった」と実感させる瞬間が幾度もありつつ、同時に何もかもわけが分からなくなるほど幸福感が押し寄せてきて、全てが無になる瞬間もあって。デビューからこのかた順調に走り続けたバンドでも、その多くが大体10年目あたりで失速したり悩んだり迷ったり。しかしオアシスはそんなこととは無縁に、更なるパワーとともに次なるディケイドへ足を踏み入れたと今回のライヴで実感しました。改めて、オアシスの偉大さと正しさにシビれました。
 まず、ちょっと固い話から。今回『ドント・ビリーヴ・ザ・トゥルース』リリース後のライヴを初体験してみて強く感じたのが、オアシスは今、スタジオ・アルバムの制作とライヴとを全く別モノとして捉えているのではないか、ということ。特にリアムに顕著です。
 彼は最新作で柔らかな甘さからボブ・ディラン風の太い深遠さまで様々な歌声を響かせ、それは2ndから3rdにかけて完成した「ガナリ声」とは違うタイプのものでした。つまり今の彼のアルバムの歌声は、曲調や歌詞の内容をかなり意識して発せられています。一方で今回のライヴで、彼は甘さや、言い切ってしまうならばメッセージ性を出そうなどとはしていなかった。ただひたすら命を吹き込まんとばかりにガナリ、地声を羽ばたかせ、それによって恐ろしいほどのエネルギーをどの曲にも宿しました。
 これは、どちらがいい、という話ではありません。むしろミュージシャンとしての成長と欲求が、いい形でオアシスというバンドを進化させ続けている証だと思います。リアムの今の声があるからこそ、スタジオ・アルバムで「できること」が増えたと兄貴もインタビューで話していました。一方、ライヴであの声を出せるからこそ、オアシスの圧倒的な強さ、全てを無にする破壊力、理屈ヌキの信頼感、がそこに生まれるわけなのです。
 実は今回、サマソニ東京では全体像を掴むべくスタンド席で、名古屋でのライヴではリアムの直前で、それぞれオアシスの「今」を体験しました。で、名古屋で近くで見たリアムは、歌い終わった後や間奏に入ると、本気でマイクにケンカを売るんですよ。怖かった。ボクシングの相手のように、マイクに対して暴言を吐いたりニラみつけたりしてる。それを見るとファンの方は「機嫌が悪いのか」と心配なさるんじゃないかと思うほどに。しかし、あれはリアムのデフォルトだ、と名古屋で痛感しました。でっかい魚を釣り上げるときに釣竿と格闘するかのごとく、でっかい会場をその声ひとつで制覇するべくリアムはマイクと戦う。上機嫌のライヴだからこそ、いい歌を伝えるべくどこまでも真剣勝負でマイ クと戦うリアム。そして観客の歓声にこたえて、どんどん天才っぷりが増してゆくリアム。そのさまに、胸が震えました。  あ、サマソニ詳細は次回に続きます……。
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