27 October 2000
M:MARK F:FERGAL H:HILLARY


●まず最初はバンドの結成からききたいのですが。ファーガルがマークにバンドをやらないかと声をかけたのが始まりだったそうね。ふたりは同じ学校に通っていたそうだけれど、声をかけたのはマークの着ていたジャッケトがかっこよかったからだそうだけど。
F:そうとってもかっこいいスエードのジャケット着てたんだ。セコハンだったらしいけど、とにかくかっこよくて。その頃僕はバンドを結成しようと思ってたんだけど、マークがギターを弾くというのは人から聞いて知っていた。マークの着ていたジャケットのスタイルが気に入ったんで声をかけることにしたんだ。あの頃皆が着ていたジャケットとはかなり違った感じで。他の皆はとってもつまんない格好してたんだ。でジャケットがきっかけでマークに声をかけてバンドを結成した。ふたりだけで。学校で練習してたんだ。ベース・プレイヤーも何人か試したけど、コレと思えるメンバーは見つからなかった。で、友だちだったヒラリーに声をかけたんだ。バンドに加わらないかって。それがJJ72の始まり。2年ほど前のことかな。

●15才の頃なの?
F:僕とマークがふたりで始めたのが15歳の頃だった。
M:そうだね。

●ふたりが通っていたのはベルベディアーズ・ジェジル・スクールというそうなのだけれど。どんな学校?
F:カソリックの学校。

●厳しい?
M:特に厳しいわけじゃなかった。教育は道徳論理に基づいた教育だった。ラグビー選手で活躍しないのなら優れたミュージッシャンになるとかそいう事で励まされて、様々な分野に目が向いた理解のある学校というか。ヒッピーみたいな格好してたからって、ラグビー選手のようなスポーツタイプの生徒に脅かされることもなかったし。音楽を始めたのも白紙から何かを作り出すという事で励ますという環境があったからだろうな。幸運な環境にいたと思うよ。

●型にははめたくはないのですが、私立の中産階級の学校?それとも労働者階級の学校?学校の雰囲気は?
M:白黒はっきりと紙に書きこむなら、私立の中産階級の子弟が行く学校と言えるだだろうね。でも雰囲気は特にそんな感じじゃなかったけど。

●バンドを結成する前、音楽にはどれほど熱中していたの?
F:バンドを結成する前はそれほど音楽に夢中してたわけじゃなかった。10代の浮かれ熱というか、とってもドラムスがやりたくなって。それで音楽を始めたんだ。マークと出会ってもっと音楽にのめりこむようになった。マークはバイオリンをやっていたこともあるしいろんな音楽を知っていて、いろいろと教えてくれた。

●ドラムをやるきっかけになったバンドは?
F:ニルヴァーナだな、やっぱり。そのせいでトリオがやりたくなった。あとそれ周辺のアメリカのバンド。ソニック・ユースにスマッシング・パンプキンズ。その前はAC/DCとかメタリカなんかを聞いてたけど、マークに出会って好きな音楽も変わっていった。ふたりのリンクはニルヴァーナだった。マークの音楽知識は豊かだった。

●マーク、やっぱりニルヴァーナがバンド結成のきっかけだったようだけれど。
M:6歳の時にバイオリンを始めた。だから6才の頃から複雑なメロディーに接してきた。ニルヴァーナを聞くことでテクニックだけに目を向けることはないんだ、と気が付いた。優れたバイオリニストになるためには、技術を習得する必要があったから。特に音楽を作りたいと思うなら尚更それを要求された。でギターに持ちかえた。僕にとってギターを弾くのはかなり簡単な事だった。ギターに持ち替えたのはMTVでニルヴァーナを見たからなんだ。あんな風にギターが弾きたいと思った。で、僕とファーガルには、同じ夢があるという事に気付いた。ふたりとも3人組のロック・バンドをやるというのがその夢だった。ロウでパワルフなサウンドが3人から生まれるというロックがやりたかったんだ。その背後には同時に脆く繊細な感情があって・・・。そういったパラドックスをもったロックがやりたかったんだ。でもバンドを結成した時はそれについて話し合ったわけじゃなかったけどね。ただふたりは同じように感じていたんだ。

●するとトリオというのが重要な鍵だったわけですね。
M:そう、シンプルにとどめる。3人全員が大きな空間を満たすために、自分のポテンシャルをフルに発揮しなければならない。多くのバンドがドラムを入れすぎたり、ギターを何本も使ったりサックスいれたり、あれこれ楽器を使う。僕にしてみればそんなサウンドは退屈なんだよ。僕らには余分なギターもキーボードもいらない。ただ3人が一緒に演奏するエナジーが重要なんだよ。

●ヒラリーに決めるまでに何人くらいのベーシストを試したんですか?
M:そんなに多くないよ。2〜3人だよ。ヒラリーに加わってもらったのは、友だちだったし近所に住んでいたし。ある日3人で一緒に座って話してたんだ。バンドの話になって、ベーシストが必要だってヒラリーも知ってたからね。それで加わらないか、ってことになってヒラリーもOKしてくれたんだ。彼女がベースを弾けないというのは大した問題じゃなかった。3人とっても気が合うという事実がとても重要だったんだよ。

●さてヒラリー、バンドに加わらないかと言われたあなたの最初の反応は?
H:ベースは全然弾けなかったから、ショックではあったの。でもバンドはやりたかったし、いいチャンスだと思った、で加わった。ふたりのやっている音楽は知っていたしとっても好きだった。(かれらの)ナンバーワン・ファンだったのよ。それにベースを習得するのにそれほど時間はかからなかった。バンドに加わって1ヶ月後に最初のギグをやったの。とってもドキドキしたけど。

●学校の演劇に出てたそうだけど、音楽より演技に興味があったの?
H:学校のミュージカルに出演したの。本気でやってたわけじゃないけどね。男子部(マークとファーガルのいた)のミュージカルに出演したこともある。そこで初めてマークと知り合いになったの。マークはオーケストラにいて・・・。
M:(照れて)ホント僕らロックンロールしてたよね。(笑い)最初から。冗談だけど。

●JJ72という名前ですが、誰にも名前の由来を明かしていないそうですね。この秘密は守り続けるつもりですか、マーク。
M:JJ72という名前には沢山の意味がある。僕らが演奏するタイプの曲に非常に似ている。それにかなりの人々が共感を覚えてくれるという意味で。僕は自分の気持ちをそのまま書いているわけだけれど、つまり自分について書いているというか。その意味ではかなり身勝手な男と言えるかな。内省的な事だしね。そういった曲を書く個人的な理由というのもある。どうしてそうする事が特別かといえば、日常のつまらないような事でも僕にしてみればとても重要に思えるからさ。いろんな理由でね。でも他の人にはあまり重要な意味はないというか。そんな感じさ。JJ72の意味も。

●意味を知っているのは誰?
M:なぜバンドはJJ72というのか、というリストを僕は持っている。それを知っているのは僕とヒラリーとファーガル。


続きはfusion visionにて・・・