5月8日(月) 初来日公演日<中野サンプラザ> |
今日は日本のファンが待ちに待った公演初日! 会場のBGMが止まり、バンドメンバーが次々と赤とブルーに照らされたステージに上がってきた。 それに続いてフィオナもステージに登場、アッという間にステージはじに置かれたピアノの前にちょこんと着席。 一言も発することなく一曲目「on the bound」に突入。 あまりにもあっけなく曲に入ってしまったので、有る意味肩すかしをくらわされ、場内のファンも声援を送るいとまもなかった。 バンドメンバーはアメリカ同様、フィオナ本人とLucky Lockwood(g) ?AMatt Chamberlain(dr) ?AKeith Lowe(b) ?AJoe Simon (vibes+Key) ?AJebin Bruni (key) ?B |
のっけから髪を振り乱してパフォーマンス、フィオナは紺のカーディガンを羽織り、中にはピンクのタンクトップを着ていたが徐々にカーディガンがはだけていることが彼女のパフォーマンスの激しさを物語っていた。 まるでそれは感電しているかのようで、何かに憑かれているかのようでもあった。 曲の最後に面食らっているオーディエンスを笑っているのか、それとも満足のいくパフォーマンスが出来たからなのか「フフフッ」と笑い「to your love」へ。 |
まっすぐに前を見据えてパフォーマンスするフィオナ。観客にこびる様子は1ミクロンも無く、それがかえって快い。そして、叫び、眉間にしわをよせ、苦悩の表情を浮かべパフォーマンスを続けていた。 ピアノからステージセンターに歩き出し、激しいパフォーマンスで身も心も熱くなったのか、カーディガンを脱ぎ、肌が露わになった。 「ハロー!ハロー!!コンバンワ!ゲンキ?」とまた肩すかしを大きく食らわされた。 パフォーマンスでは比較的低音で責めるフィオナだが、いきなりMCでは意外にも黄色い声であった。しかもぴょんぴょんステージ上を跳ねて回り、まるで子供がお泊まり会でベッドの上で驚喜しているかの様。 |
しかしいったん曲が始まると少女は鬼子母神の如く怒れる叫びをあげるのであった。 次なる曲は「criminal」。 マイクを握りしめ、地団駄踏むようにステージを蹴り、ビブラートの効いた声で満身の力を込め吠える。 時折下がったスカートをたくし上げるのが、残された理性のあらわれであった。 曲が終わり、マイク越しにかなり荒れた呼吸が聞こえてくる。力の限りパフォーマンスしていることが手に取るように分かる。 「limp」では間奏のドラム演奏の時ピアノにもたれかかり体を思い切り揺らし、内に秘めた思いを爆発させるかのようにパフォーマンスしていた。 |
ここでステージセンターからピアノに戻り「sullen girl」へ。 さっきまでの激しさとは対照的で静寂が会場を包み、そのまま「paper bag」へ。 間奏ではピアノから手を離し、空中に目を泳がせ、腕を羽ばたくかの様に揺らしていた。 曲が終わると客席の方を見て微笑みかけるフィオナ。 しかしまた次の曲「get gone」がいったん始まると、また、なにかにとりつかれたように寡黙にマイクに向かっていた。 イタズラっぽくピアノをアドリブで弾き「うふふっ」と小悪魔風に笑ったのを見、意外性にハッとした瞬間に「love ridden」へ。 ステージセンターへ歩み、はにかみながらくるっと回転しお辞儀をした。 まるで小さい女の子が大人の前に出されたみたいに可愛らしかった。 そんな無邪気な様子に反して「step to dream」の激しいパフォーマンスがスタートした。 |
体全体をくねらせ、ただ目はまっすぐ前を見据え、噛みつくかのように歌う。スレンダーで四肢の長いフィオナの全身で表現する独自のダンスは、なんとも形容し難く、他には無いモノだ。 「carrion」では終始前傾姿勢で歌っていた。歌うと言うより一言一言相手に向かって諭すようにパフォーマンスしていた。 最後に「サンキュー」と初めて礼の言葉を述べ、妖精のようなやわらかな笑い声が聞こえた。 ピアノに戻り「the way things are」へ。 やはりピアノの前に座ってパフォーマンスする方がしっくりいくのか、微笑みがもれている。 場内はしっとりした雰囲気に一転し「I know」へ。 ピアノにはクリスマスのような小さい豆電球の電飾が架けられ、今までにない異空間が展開された。 「a mistake」ではステージセンターに戻り、腰に手を当て諭すかのように歌う。 曲が終わると「Thank youって日本語でなんて言うか知らないの!Thank you!!」と高揚したフィオナは観客にお礼を述べつつバンド紹介へ。 そして最後に「here we go!!」と今までにない大声での掛け声が! プログラミングされたイントロが流れるとスイッチが入ったフィオナの踊りのテンションは最高潮に達した。 会場のファンの全てがイントロで「fast sa you can」と分かった様で、観客も総立ちだ。 サビのジャズっぽいアレンジが、ドラムのイントロと絶妙なコントラストを描いていた。 |
何かにおびえているかのようなギリギリのフィオナのパフォーマンス。 全速力で突っ走った後「サンキュー・ソー・マッチ!」と手を振り消えていった。 鳴り止まない拍手に応え、フィオナが独りでステージに戻ってきた。 バックライトに照らされ、角度によっては顔が全く見えない状態だが長く絹糸のような髪がライトに透けて幻想的な情景であった。 フィオナの曲とはまったく印象の違うコール・ポーターの「it was just one of those thing」が流れると、場内は歓喜の拍手と歓声で一杯に。 |
カヴァー曲であることを忘れさせてしまうくらい、フィオナの声にしっくりきていた。 これまでが怒濤の叫びに近い曲ばかりであっただけに、良い意味での裏切りだった。 そしてバンドもステージに登場しビル・ウィザーズの「kissing」へ。 こちらもフィオナのオリジナルとはイメージが全く違うモノで、かなりパンチが効いている。 しかしバンドとフィオナは本当に楽しそうに演奏している様子が伺える。 |
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