マーケットを作ってしまったフィオナ。
-比類無き唯一の存在-

「売れている」というアーティストは山ほどいる。ン百万売れているアーティストは本当に山ほどいる。しかし、フィオナの場合「ロック」や「ヒップ・ホップ」や「カントリー」「ラテン」など、はまればミリオン・セールスが保証される“ジャンル”を持つアーティストのミリオン・セールスとは訳が違う。彼女がデビューした当初「マーケットがない」と危惧されたウィーク・ポイントを逆にアドヴァンテージに変え、「比類無き唯一の存在」として彼女は自分自身のアイデンティティーをマーケットに築きあげた。特定のマーケットを持たない(必要としない)このアルバムは、全米でのセールス300万枚という驚異の数字を打ち立てる。しかも、わずか1年ほどの期間で、である。そして、いまだに彼女は「ロック」にも「ポップ」にもカテゴライズされていない。彼女を収容できるジャンルはどこにもなく、そしてどこかに分類されることは今後も多分ない。なぜなら、そんなものを越えて、人々が彼女を必要としているから。

「彼女のフォロワー」と言われるアーティストは登場するだろう。だが、彼女の強烈な個性を越えるのは至難の業。誰々っぽい…というアーティストが多い中、何者にも準えることのできない彼女が、今新たなスタンダードとなる。 かつてのボブ・ディランが、かつてのボブ・マーレイが、そしてかつてのジョン・レノンがそうだったように、彼女は望む望まぬに関わらず、独り自分の道を歩くことで、その後に多くの人のための道を敷いていく。時代が彼女の言葉を聴き、時代が彼女の次の動きを見守る。

そう、そこまで“唯一のアーティスト”として認識されているのが、このフィオナ・アップルというアーティストなのだ。


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