BRUCESPRINGSTEEN
BRUCE SPRINGSTEEN & THE E STREET BAND 2007/10/9 NEW JERSEY LIVE REPORT

 ブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンドの5年ぶりのニュー・アルバム『MAGIC』が10月2日全米リリース、同日コネチカットのハートフォードから全米ツアーがスタートした。そして、ツアー4日目の10月9日は地元ニュージャージー。過去数え切れないくらい演奏し、奇跡の夜を何度も生み出した、「聖地」ともいえるコンチネンタル・エアライン・アリーナに、遂にブルースが帰ってきた!
 今回のツアーはチケットのソールドアウト記録が話題になっているが、ここニュージャージーとニューヨークの公演はチケット発売からなんと1分で完売!どこよりもチケットは入手困難で、ダイ・ハードなファンが集まってきているから、ライヴにかけるファンの想いは凄まじく、尋常ではない盛り上がりとなる。

 NYマンハッタンから車で約一時間、トンネルを抜けて、ニュージャージー・ターンパイクを越えると、遠くにジャイアンツ・スタジアムと昔はメドゥーランズ・アリーナと呼ばれていた、コンチネンタル・エアライン・アリーナが右手に見えてくる。この日は早めに到着したかった。それはライヴだけでなく、会場の周りのニュージャージーならではの独特な雰囲気を楽しみたかったから。

 会場へ到着すると、まずは美味しそうな匂いがプーンと漂ってくる。ブルースがこの会場でやるときは必ず毎回見れる風物詩のようなもの。地元のファン達は開場のずっと前からやってきて、この日は思い思いのブルースのTシャツを着込んで、駐車場でバーベキューをしながら、大音量でブルースの音をかけ、ビールをしこたま飲んでライヴのスタートまで盛り上がる!車のハッチバックを上げ、アメリカ国旗はもとよりレアな昔のTシャツを掲げたり、ポスターを掲げたり、さながらブルースのお店が並んでるみたい。それぞれの車の回りでパーティが繰り広げられる。一方、会場の近くでは地元のラジオ局のイベントか、ブルースの曲を演奏したり、60,70年代のロックを演奏する地元バンドが大音量でライヴもやっている(新作の発表を機に「E STREET RADIO」というブルース関連の曲ばかりをかけるサテライト・ラジオのブースもできていた)。

 それにしても入場する前にしこたま飲んで、盛り上がって、ライヴが始まる頃にはもうすっかり出来上がってて大丈夫かいな?と思ってしまうけど、これもまたニュージャージー独特な「俺たちのスーパースターのご帰還」を祝うがごとくの恒例行事、お祭りのようなものなんだろう。でもとにかく幸せなピースな雰囲気を味わえるから、ライヴが始まる前のこの時間はとても大好きだ。

 会場内に入場すると、まず目に入ってくるのはグッズ売り場に並んでる人の嵐。35ドルくらいのTシャツが飛ぶように売れている。そして買った人はすぐその場で着て、ライヴに参戦するってが定番。
 アリーナの中に入ると、開演時間の19:30がそろそろなのに、全然席は開いている。彼らは何時頃から始まるのかだいたいわかっているので、それまでは外でしこたま飲み上げて、多いに盛り上がって出来上がってからぎりぎりで入場してくるのである。

 ブルースのライヴはいつもそうなのだが、ステージの後ろまで観客を入れている。ステージの周り360度全て人で埋まるということだ。ここまで入れるのは他のコンサートでもあんまり見たことがない。あと前回のツアーから行なっているのはアリーナはオールスタンディングで、かつ一番まん前のGAと呼ばれてるエリアに関しては早く並んだ順に入れるというシステムをとっている。つまり最高のステージまん前の席で見たい人=熱血的ボス・ファンは早く来て並べばいいわけである。一番見たい人が一番見たい場所で見れる、ある種ファンのために公平なシステム。

 ステージの上にはこけおどしの装飾物とか余計なものは一切ない。あるのは彼らが演奏する楽器とアンプ、PAなどだけ。いつもの通り何にもない。そう、ブルースとEストリート・バンドがいれば、それでいい!ということだ。照明も必要最小限、「俺たちのパフォーマンス以外、他は何もいらないだろ?」
という自信に満ちた彼らのポリシー、暗黙の了解を感じる。

 20時を超えると会場もだいぶ埋まってきて、異様な雰囲気が立ち込めてくる。どこからともなく地を這うような低音の声でBruuuuuuuuceコールがこだまする。初めて聴く人はブーイングと聴き間違えるかもしれないが、これは何十年以上にも渡るお約束で、どの会場でも起きるボスへの信頼と愛情と敬意を込めた
ファンからの贈り物のような掛け声である(日本語で書くと「ブルゥゥゥウウウーーッス」といった感じか?)。一人が叫びだすと、それに乗って会場中が叫び、またそれに覆いかぶさるように別の箇所から叫び声が聞こえてきて、また更に・・・。という繰り返しがずーっとなされるのである。

 20:15頃一斉に明かりが消えるとBruuuuuuuceコールは一段とヴォルテージがあがり絶叫に近くなり、地鳴りのように響いて、2万人の観客で満杯となった会場会場が揺れているかのような感覚を覚える。
 そして、まずはステージ後方にスポットライトが当てられ、メランコリックなメロディが奏でられると、装飾されたアンティーク・オルゴール?のようなものがせりあがってくる。そして、遂にブルースとEストリート・バンドの登場だ。

 ブルースにスポット・ライトが当たると、ひとこと「ニュー・ジャージー!」。ブルースの聖地でしか聴けない一言!続けて「Is there anybody alive out there?(そこには誰か生きてる人間がいるのかい)」と繰り返し雄叫びをあげる(「レディオ・ノーウェア」の歌詞の1フレーズ)。会場はそれに応えて絶叫の嵐。そして、そのままブルースのサンバースト(ブラウン)のテレキャスターから飛び出すギターリフ。

 オープニングはニューアルバム『マジック』からのファーストシングルである「Radio Nowhere」。
 黒づくめの衣装に身を包んだブルースは以前にも増して精悍に見える。傍らの盟友Eストリート・バンドの面々も黒づくめに身を固めている。まさにオープニングにぴったりの曲。ブルースはテレキャスターを掻きむしるように弾く。コーラスの時に一本のマイクをスティーヴ(ヴァン・ザント)と分け合って歌う最高の絵柄は、これを待ってたんだよって感じで歓声も一段と高くなる。いつも見るたび「絆」や「友情」を感じる瞬間だ。そしてサックス・ソロでクラレンス・クレモンズが前に出てくると観客の歓声はよりいっそう高くなる!クラレンスの人気はびっくりするほど。元気そうでよかった!ラストはアルバムとアレンジを変え、エンディングというよりも次の曲への導入的な印象を残す感じ。

 そして、ブルースはギターをナチュラルのテレキャスターに持ち替え2曲目へなだれ込む。聴きなれたリフが聴こえてくると2曲目は『BORN IN THE USA』から「No Surrender」。この2曲の流れは「ずるい」とも思えるほど感動的。この時点で会場中沸点を通り越し、もうみんな大合唱状態!後ろにいたオッサンは声をはちきれんばかりに歌い上げる。そっちの声が大きすぎて、ブルースの声が掻き消されるくらい・・・(お前の歌を日本からわざわざ聴きにきたんじゃねーよ!と思いつつ)。

 サビのところでブルースが「カモン、スティーヴ!」といつものように自分のマイクへ呼んだけど、スティーヴがいない!「あら?」って感じで再度「来いよ!」と顎で合図すると、ちょっとバツが悪そうに笑いながらスティーヴは「へへーおっしゃるとおりに」って感じでブルースのマイクの方に歩み寄り、1本のマイクをまた二人で分け合う。その姿がスクリーンに大写しになると、スティーヴはブルースの肩に手を回し、笑顔で笑うと、ブルースも笑顔で返す・・・。グッとくる絵柄。

 一度ブレイクしてブルースだけにスポットがあたり、ギター一本で歌う。そしてもう一度バンド・サウンドとなり最後のリフをニルス(ロフグレン)が締めて、これで盛り上がらないわけがないという素晴らしすぎる構成で終了。

 3曲目は『ザ・ライジング』から「Lonesome Day」。ブルースは今度はブラックのテレキャスターに持ち替える。黒いシャツを肘までたくし上げ、サビの「It's Alright・・・Yeah!」のところでは手を突き上げると会場中の観客も手を突き上げる。サックスソロでクラレンスが出てくると、また凄い歓声が!
 クラレンスは黒いハットに黒のスーツで身を固め、以前にも増してスリムになってる感じがした。曲の終了と共に、また地を這うような「Bruuuuuuce」コール。

 続けて4曲目は『マジック』から「Gypsy Biker」へ。照明が少し落とされ、イントロのギターカッティングはスティーヴのアコギ。そこにブルースのハープが絡みつく。出たばかりの新曲なのに大歓声。このアルバムがいかに既に浸透しているかがわかる。今まで何回かブルースのライヴを見たが、その当時の新曲をやると結構ビールを買いに民族大移動みたいな感じなって、なんてアメリカ人は失礼なんだ!とか思ったものだが、今回は違う。切り裂くようなギターソロはエレキにギターを持ち替えたスティーヴ。それに続いてブルースがソロをとり・・・エンディングのギターもスティーヴ、ブルース、そしてスティーヴ、またブルースとさながらギター・バトル!

 ここで一度ブレイクとなり。ブルースが一言「GOOD EVENING!」。そして次の曲紹介をして、新作アルバムタイトル・トラックでもある「Magic」へ。ここではブルースはアコギに持ち替え、スージー(タイレル)のバイオリンが美しく入ってくる。赤いスポットが後ろからあたる。以前のライヴでもそうだったのだが、メッセージ性の強いシリアスな曲になると「赤い」スポット照明を使う気がする。この曲では奥様パティ(スキャルファ)がコーラスで全面に出て、ブルースパティの掛け合いになる。ハーモニーはもちろんばっちり!

 6曲目は驚きの「REASON TO BELIEVE」。
ZZ TOPもびっくりという感じのBOOGIEのリズムにアレンジされ、『ネブラスカ』に収録されていた原曲のイメージとは全く異なる、ブルージーな素晴らしいヴァージョンに生まれ変わった。ブルースはヴォーカルとブルース・ハープのみ。このハープが凄かった。ブルージーはフレーズを吹きまくっていた。途中拡声器のようなマイクでブルースが歌いだし、昔のBLUESの録音のようなイメージを醸し出す。この曲は見所の一つだと思う

 そのままマックス(ワインバーグ)は16ビートのリズムでハイハットを刻む。ブルースはナチュラルのテレキャスに持ち替え、ハーフスポークンのヴォーカルが入り、ロイ(ビタン)のピアノのフレーズが絡み付いてくる。何の曲かわかってる観客は歓声をあげ、7曲目は『闇に吠える街』からの「Candy's Room」。これまた会場中歌いまくり。よくここまで歌えるなあと感心するほど・・・。

 間髪入れずピアノのイントロへ。8曲目は同じく『明日なき暴走』から「SHE'S THE ONE」。
 さっきから歌いまくってる後ろのオッサンは思わず「アンビリーバボー」と叫んでる。ボ・ディドリーのリズムに合わせて、バンドはうねるような完璧なサウンドを奏でる。「Oh Oh She's The One!」のところはもちろん大合唱。スクリーンに映るブルースの横顔はどこかしら『闇に吠える街』の頃を髣髴させるようで若々しい。大円団が近づいてくると、クラレンスの待ってましたのサックスソロでまた大歓声。クラレンスがソロを吹いてる間横で笑いながらじーっと見ているブルース!その笑顔がまた最高。
 最後は弾いていたギターを後ろに投げ!(クルーの人がナイスキャッチ!)またもやハープ吹きまくり、そして「ハッ」と叫ぶのにあわせて照明も輝く演出で大盛り上がりの中終了。暗転になるとまたまた「Bruuuuuuce!」コール。

 9曲目は新作から「Livin In The Future」。
ライヴで聴くとまさに『明日なき暴走』の「10th Avenue Freeze Out」のよう。イントロのあとブルースのアジテーション。TODAY SHOWでもやってた、アメリカについて語るところだ。「マックス!」と叫ぶとあのスネアの音。アルバムとちょっとアレンジを変え、歌いだしのところは静かに始まり、その後バンド
全員が入ってくる感じ。ブルースは動きまくり。ステージ裏のお客さんのために、後ろへ行って煽るは、ステージの前方左右にいって観客とコール&レスポンス。
 珍しかったのはスクリーン映像を撮っているカメラに向かってアピールしてて、ブルースがカメラに顔を近づけると、それがスクリーンでドアップに! 最後の「シャララ・・・」はもっと観客と掛け合いをするのかと思ったら、結構あっさり目で終わってしまったのが残念。

 続けて10曲目はこれまた定番中の定番「The Promised Land」。
ナチュラルのテレキャスかかえて、ハープのイントロが始まるとまたもや大絶叫。お約束的なことではあるけど、スティーヴとニルスの2人で奏でるギターフレーズ、クラレンスのサックス(けっこうこれはウルウルきてしまった・・・)、そして観客含めて大合唱・・・ブルースがジャンプして終了。またまたひときわ高い「Bruuuuuce!」コール。

 ここでどうも機材トラブルがあったようだけど(パティの曲か?)、「先に次のやって、それから考えようぜ」と動じないブルース。それで11曲目にやったのが「Darkness On The Edge Of Town」。スクリーンにアップになった顔は目を閉じて真摯に歌いかけてくる。サビではギターを掻きむしるように弾くブルース。

 結局トラブルは解消されなかったようで、そのまま12曲目は『トンネル・オブ・ラヴ』からの「Brilliant Disguise」。これはパティと一本のマイクを分け合って歌う、愛情溢れる感じ。

 13曲目は『BORN IN THE USA』からの最高のR&R「Darlington County」。ひざまづいてギターを弾くブルース。これは本当に楽しい感じでメンバーみんなニコニコ笑顔。ブルースは前方の客にギターを差し出して弾かせるは、クラレンスは踊りだし、それを笑顔で見守るブルース。最後は掛け合いでクラレンス、スージー、ブルース、スティーヴ、ニルス、そしてクラレンス・・・。

 14曲目は新作より「Devil's Arcade」。
シリアスな曲ではやはり後方から赤いスポットが・・・。ドラムのアレンジはどこかコールド・プレイも髣髴させる。スージーのバイオリンが美しく絡むのが印象的。

 15曲目は「The Rising」。
これも赤いライト。この2曲の流れのあたりは何か共通するメッセージ性を感じるものだった。

 続けて、16曲目は新作から「Last to Die」。
スージーのバイオリンのイントロでスタート。そこへニルスとスティーヴのギターリフが。この曲は『闇に吠える街』あたりの曲のテイストに近い気がする。アルバムで聴くよりもパワフルで非常にライヴ映えする曲だと思う

 そして、今回の新作の中でも重要な曲であり、新たなEストリート・バンドのテーマ曲ともいえる「Long Walk Home」の美しいイントロへ。シンプルながらも力強い楽曲がずんずん心に突き刺さるよう。最後全員でコーラスをするところは感動的であった。(左からニルス&クラレンス、ブルース&スティーヴ、パティ&スージーと2人で1本のマイクを分け合う形)。最後はクラレンスのサックスの美しいフレーズで締められる。

 18曲目、最後の曲は「Badlands 」。
“タカトントン、タカトントン"というドラムの音だけで最高潮!もうこれは大合唱の極地。“BADLAND~!“のところではリズムにあわせて照明もカーンと点く。ブルースはもう全力投球!"オー、オーオー、オーオ“のところではもちろん観客は大合唱であるが、ギターを抱えて会場中を見回し「もっとだ、もっとだ」と更に煽るブルース。最後「Is there anybody alive out there?」と繰り返し叫び、あおりに煽って終了。この「バッドランド」は凄かった。

 ブルースのバンドは挨拶をして引っ込んだが、興奮冷めやらぬ観客は、さっきの「バッドランド」の"オー、オーオー、オーオ“を大合唱しはじめる。ずっと歌い続ける。そして今度はそのフレーズにあわせて、持っていた携帯電話をかざし、会場中に蝋燭が灯っているかのような美しさ。

 盛り上がりも最高潮になってきた瞬間、最高のタイミングで再登場。アンコール一発目は新作からの既に名曲「Girls in Their Summer Clothes」。スージーのバイオリンから入り、傍らではニルスが鈴を振っている。ブルースは非常に優しい笑顔。こんな優しいブルースの笑顔をステージで見せるのも珍しいと思う。
 前にいた中学生くらいの女の子がこの曲にあわせてか?一緒に来ていた両親の写真を笑顔で撮ってあげていた。そんな姿がぴったりはまる曲だった。

 アンコール2発目はライヴでやるのは珍しい未発表曲集『トラックス』に収録されていた「Thundercrack」。これは楽しい一面が見事に演出された最高のナンバーだった。ニュージャージーの人々は言われなくても歌う歌う!それを見てブルースもニコニコ。この曲はニルスがここぞとばかりに目だってて、ジミヘンばりの背中ギターも披露。失礼ながらブルースの隣でギターを弾く小僧って感じでとても楽しそう。クラレンスはステージを我がもの顔でノシノシと歩き回り、バンドも観客もみんな笑ってる。楽しさ120%の最高のパフォーマンスだった。

 そして、この瞬間がやってきた!怒涛のアンコール3発目は興奮は絶頂に達する。ブルースの"One ,Two"のカウントで、誰もがおなじみのドラムロールで、既に大絶叫。「Born To Run」がスタートすると、会場中の客電という客電がこれでもかってくらいに点灯し、ステージ、客席全てを照らし出す。究極のロック・エクスペリエンス!ロックのライヴの楽しさ、素晴らしさ教えてくれる瞬間である。みんな知らない人だけど、その夜だけは、その場にいる誰もが、全てが何かつながりをもてたような、究極の一体感を感じられるような瞬間。。。みんな思い思いに周りを見回し、笑顔とともに歌いまくる。途中のブレイクでタメにタメ、ブルースの"1,2,3,4"のカウントも、全員で合唱、ずーっと会場中の人々は歌いまくり、踊りまくりです。

 更に続けて「ダンシン・イン・ザ・ダーク」でも客電点きっぱなしで、もはや興奮のるつぼ。昔はダンスのために女の子をステージにあげてたけど、それはなし。ロック・アレンジでこんないい曲だったのか?と改めて感じるほど。ステージのブルースはピョンピョン跳ねている!

 オーラスはシーガー・セッション・バンドのツアーでも演奏された「アメリカン・ランド」。果たしてEストリート・バンドではどういった演奏になるのか?と思っていたら、なんとロイとダニーがアコーディオン抱えてステージ中央に下りてきた。スティーヴがマンドリン、ニルスとパティはアコギ、クラレンスは縦笛という編成。シーガー・セッション・バンドの誰かがゲストで出てくるのかな?と思ってたら純粋なEストリート・バンドだけでの「アメリカン・ランド」でした。これは普段後ろで静かに弾いてる、ロイとダニーが楽しそうにアコーディオンを弾いている姿がとっても印象的でした。
 最後スクリーンに「Who will find his home as American Land」という歌詞が映し出され、歌にあわせて赤い丸が、歌うべき箇所を、ポンポンと指し示してくれるのが、これまた初めての試みで、やはりこの曲を最後に持ってきた、意味あいを観客にわかってもらおうという意志だったのだろう。

 終了時間22:30。約2時間15分のショーは息つく間もなくあっという間に過ぎてしまった。特に今回はアコースティック・セットのようなセクションもなく、ほとんどロックで突っ走っており、現在9月23日で58歳になったばかりのブルースであるが、そんな年齢を微塵も感じさせないエネルギッシュでパワフルで感動的なライヴ・パフォーマンス。そんじょそこらの若造のライヴなんて比べ物にならない!
 更には毎回同じセットリストではなく、日替わりで、この翌日の10日のコンサートでは、なんとツアー初登場曲を4曲もやったのである。ブルースとEストリート・バンドとのライヴはいつも見るたび「友情」「信頼」「絆」を感じさせてくれるものだが、今回それはより一層強く感じられた。「何十年もの間やってきて、今もみんな元気で一緒に演奏ができるなんて信じられない、ありがたいことだ」というようなことをブルースがどこかのインタビューで語っていたが、素晴らしいことだと思う。
 昔から思ってたんだが、この関係って日本人的なイメージで考えると誰なんだろうか?と。近年のアーティストでは思い浮かばなかったんだけど、こりゃずっと遡って清水の次郎長なんじゃないかなと(ってもちろん見たことはないけれど...)。親分と次郎長一家。親分ブルースの脇には大政クラレンス、小政がニルス、森の石松がスティーヴあたりか?かみさんパティもいて、みんな義理と人情、情けにゃ厚い・・・って感じ。意外に着流しも似合いそうな気もするんだが・・・。ん〜ちょんまげは似合わないな、絶対...。




< October 9 / E. Rutherford, NJ / Continental Airlines Arena >
Radio Nowhere
No Surrender
Lonesome Day
Gypsy Biker
Magic
Reason to Believe
Candy's Room
She's the One
Livin' in the Future
The Promised Land
Darkness on the Edge of Town
Brilliant Disguise
Darlington County
Devil's Arcade
The Rising
Last to Die
Long Walk Home
Badlands

Girls in Their Summer Clothes
Thundercrack
Born to Run
Dancing in the Dark
American Land


< October 10 / E. Rutherford, NJ / Continental Airlines Arena >
Radio Nowhere
Night
Lonesome Day
Gypsy Biker
Magic
Reason to Believe
Adam Raised a Cain
She's the One
Livin' in the Future
Cynthia
The Promised Land
Town Called Heartbreak
Incident on 57th Street
Your Own Worst Enemy
You Can Look (But You Better Not Touch)
Devil's Arcade
The Rising
Last to Die
Long Walk Home
Badlands

Girls in Their Summer Clothes
Thundercrack
Born to Run
Dancing in the Dark
American Land


ライヴ映像はオフィシャルサイトより。収録日時は下記の公演になります
*VIDEO: 「RADIO NOWHERE」
(10/6 Philadelphia, PA Wachovia Center)
*VIDEO:「NO SURRENDER」
(10/5 Philadelphia, PA Wachovia Center)
*VIDEO:「LONESOME DAY」
(10/9 East Rutherford, NJ Continental Airlines Arena)
*VIDEO:「MAGIC」
(10/15 Toronto, ONT Air Canada Centre)
*VIDEO:「LIVIN' IN THE FUTURE」
(10/17 New York, NY Madison Square Garden


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