ところが、そのDCブームは80年代末には勢いを失っていく。これも後に知ったことだが、円高が原因だったようだ。というのも、85年に1ドル=250円だったレートが87年には1ドル=120円になり、急激な円高が進行。海外のブランドもそう高価に感じられなくなり、バブル景気の勢いもあって、ラルフローレンをはじめとする海外のブランド人気が高まった。その反動として国内のブランドの人気が落ち着きを見せ、ブームが収束に向かっていったわけだ。もちろん、そんなことは高校生にわかるわけがなく、ラルフローレンのボタンダウン・シャツに、ブルックス・ブラザーズの紺ブレというスタイルに節操もなく乗り換えていたのだった。その変遷は奇しくもカラフルできらびやかな80'sサウンドから、グルーヴ感を強調したヒップホップやR&Bをはじめとするダンス・ミュージックが主流になっていたのと符合する。